今後トヨタではこの「Dynamic Torque Vectoring AWD」(以下「DTV」)が「Dynamic Torque Control AWD」( Active Torque Control AWD よりやや高度)に代わる存在になっていくのでしょうね。仕組みとして最も近いのは、現行国産モデルでは日産JUKEでしょうか。JTEKTの「電子制御カップリング(ITCC)」を後輪左右に取り付けている点は同じですよね。さらにトヨタのDTVはドグクラッチで後輪の駆動系を切り離すディスコネクト機構を備える点で燃費に有利と思います。かつてのランエボの「AYC」は一体型リアデフで左右トルク制御、ホンダの初代「SH-AWD」も同様ですね。現行の「SPORTHYBYID SH AWD」はモーター駆動輪のみ左右トルク制御ですが、今後は他のメーカーもこれが主流になるかもしれませんね。前回と重複になりますが、アウトランダー/エクリプスクロスのAYCはトルク制御型ではなくブレーキ制御型トルクベクタリングになります。スバルの「アクティブトルクベクタリング」もブレーキ制御型ですね。
■最小回転半径
車輪が大きくなると、ホイールハウスのクリアランスの問題も加わり、最小回転半径は大きくなりやすいですね。レジェンドは大きなエンジンを横置になっている影響でもあるでしょうね。欧州車では4WSが大ブームですが複雑高価になり、剛性も不利なので、かつての日本車のように一過性で終わることもあり得ますね。
■トーションビーム
「スカイアクティブ」以降のマツダ車はよくできている代わりに原価率が高いため、価格が高めでかつ利益率が取りにくくなっています。ディーラーでも値引きが少ないのはその理由もあるようです。
特に「マツダ3」はマツダ車の中で最も台数を売るモデルですので原価低減は大命題。そこでリアサスペンションがコストダウン項目のひとつに充てられたようです。デミオやCX-3でトーションビームの実績ありますが、この改良で閾値に到達できると判断したのでしょうね。多分、我々も予備知識なければ、試乗しても従来の独立サスとの区別がつかないのではないかと思います。デザインやインテリアはバージョンアップして、代わりに見えないところでコストダウンして、同じかそれ以上のアウトプットを達成。より簡素なシステムで高性能を実現するというのは技術革新ではありますね。恐らく雪道の後輪制御もラリーでもやらない限りは大勢に影響ないだろうと察しております。