内も外も新世代フォルクスワーゲン仕様に変身グローバルで累計760万台を販売したフォルクスワーゲンのミドルサイズSUVの「ティグアン」が7年ぶりにフルモデルチェンジし、日本へ導入された。 新型はボンネットの位置が従来よりも高くなった分、フロントマスクの面積が増し、先代よりもやや押し出しの強い立派な顔つきとなった。といってもあくまで先代と比べてのことであり、般若のようなデザインの他社のSUVやミニバンよりはずっと端正で控え目。 両サイドのヘッドランプを繋ぐ細いLEDランプは最新のフォルクスワーゲンに共通するモチーフだ。エアロダイナミクスを重視したデザインとし、Cd値を従来の0.33から0.28へと向上させた。 異なるサイズのモデルを作り分けることができるモジュラー式のプラットフォームを使って乗用車を開発するのは今では当たり前だが、フォルクスワーゲンの「MQB」はその走り。新型はその発展版である「MQBエボ」を用いて開発された。 MQBエボの恩恵は多岐にわたるが、まずアダプティブシャシーの「DCC」が「DCCプロ」へと進化した。iPhoneかっての! DCCは路面状況に応じて足まわりの特性が常に変化し、例えばコーナリングでは減衰力を高めて踏ん張り、荒れた路面では減衰力を落としてソフトな足になるという代物だが、プロとなって、ダンパーの伸び側と縮み側のオイル回路が別系統となったことでよりきめ細かい制御ができるようになったという。 またインフォテインメントシステムと操作系が刷新された。メインディスプレイが15インチの大画面となり、走行モードの選択などを含む多くの操作をタッチパネルで行うようになった。その結果、ダッシュボードからセンターコンソールにかけて物理的なスイッチが減り、すっきりとしたデザインを実現した。 センターコンソールに何か足りないな……と思ったらATセレクターがない。ステアリングコラムに移動しひねるタイプのセレクターとなった。こうしたエレクトロニクス系及びコネクティッド系の機能はプラットフォームに大幅に手を入れないと盛り込むことができない。 >>【50枚】新型ディグアンのインテリアなどフォトギャラリーはこちら |あわせて読みたい| 1.5Lガソリンターボは活発で静か日本仕様のパワートレインは、1.5L直4ガソリンターボエンジン(最高出力150ps、最大トルク250Nm)+48Vマイルドハイブリッドの「eTSI」と、2L直4ディーゼルターボエンジン(同193ps、同400Nm)の「TDI」の2種類。eTSIはFWD、TDIは4WDとなる。 なお同時期に登場した「パサート」には1.5L直4ガソリンターボエンジン+プラグインハイブリッドの「eハイブリッド」もあるが、ティグアンには現状設定されない。 生産タイミングの違いにより、ディーゼルモデルは来年前半のデリバリー開始となるそうで、今回はeTSIのみの試乗となった。試乗したのは「エレガンス」という中間グレード。「シプレッシーノグリーンメタリック」という新色で、ひと目で気に入った。 アップダウンの激しい箱根の山道を走らせる。2LのTDIじゃないと箱根はキツいのではないかと心配していたが、1.5LのeTSIは小排気量であることを感じさせない活発さを味わわせてくれた。 フォルクスワーゲンに限らず最新のエンジンはディーゼルとガソリンの力強さの差が縮まってきた。ガソリンモデルでも低回転域から十分な力強さを感じさせる。 感心するのは、静かさ。長い登り坂で高回転までエンジンを回しても不快な音が高まることはない。このあたりはプラットフォームの改善と同時にサイドガラスに合わせガラスが採用されたことも大きいはずだ。 周囲を大型トラックが走行しても静かなのは印象的だった。地味だが重要な改善だ。 >>【50枚】新型ディグアンのインテリアなどフォトギャラリーはこちら |あわせて読みたい| ソルトンのおすすめ仕様は?ボディ剛性がしっかりしているので乗り心地も良好。eTSIの場合、前述のDCCプロは上級グレードの「Rライン」にしか装着されないので、どちらかを立てればどちらかが立たないはずだが、コーナーで車体を大きくロールさせても、荒れた路面を通過しても不満はなかった。どちらかというとスポーティーさを重視していて、DCC付きなら荒れた路面をもっと快適に通過できるだろう。 エレガンスに備わるファブリックシートは、地味な色合いだが、身体が常時接する部分はマイクロフリースの滑りにくい素材となっていて、身体をしっかりとホールドしてくれる。 途中でリラクゼーション(マッサージ)機能のスイッチを見つけ、使ってみたらこれが実に気持ちよくてニヤけてしまった。背もたれ部分に6つのエアバッグが仕込まれていて、空気を出し入れすることで指圧してくれるのだ。 オプションのレザーシートパッケージを選べばエアバッグの数が10に増え、より広範囲を指圧してくれるという。うーん、買うならぜひとも選びたい。 「アクティブ」というベーシックグレードもあるが、かなり簡素な仕様となるため、eTSIでオススメしたいのは今回試乗した中間グレードのエレガンスか上級グレードのRラインだ。 試乗してみてDCCプロのよさを実感したらRライン、そうでもなかったらエレガンスでよいと思う。予算に余裕があってより力強い走りを望むならTDIを選ぶべし。そうすればグレードを問わず4WDの全天候性が手に入るし、DCCプロも全グレード標準装備となる。 新型ティグアン、派手さはないが、全体からモノの良さを感じ、ほどよい満足感が長期間持続するはずだ。 <おわり> 写真:編集部、フォルクスワーゲングループジャパン >>【50枚】新型ディグアンのインテリアなどフォトギャラリーはこちら |あわせて読みたい| |
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