品質でも走りでもテスラよりコスパがいいアウディは電動化に対しては先陣を切ったはずだったが、その後は一貫性に欠けたモデル戦略でテスラにはもちろん、メルセデス・ベンツやBMWに対しても遅れを取った感があった。 しかしポルシェと共同開発したプレミアム・プラットフォーム・エレクトリック(PPE)をベースにした「Q6 eトロン」で再び注目を浴び復活をアピール。今回紹介する「A6 eトロン」ではスポーツバックセダンとステーションワゴンのアバントが設定され、品質でもドライビングプレジャーでもテスラよりも明らかにバリュー・フォー・マネーな存在になりそうだ。 今回テストしたA6 eトロンは全長4.93×全幅1.92×全高1.49mの流れるようなボディラインに加えてフラットフロアコンセプトを採用。Cd値では0.21という記録的な空力特性を打ち立てたが、4cm高いアバントでも0.24を達成しているというから驚く。 効率のみのデザインではなく、美しく洗練されてもいる。フロントは最小限のエアインテークを除いてほぼ閉じられており、ブランドアイコンであるシングルフレームグリルは単に象徴的な存在だ。エアカーテンなどの幾何学的なエアダクト、スリムなライン状のLEDヘッドライトはスポーティに仕上がっており、オプションのマトリクス式デイタイムランニングライトは様々なパターンで周囲とのコミュニケーションをとることが可能だ。 リアも3次元の遊び心のある照明パターンを備えたOLEDライトがボディ幅一杯にレイアウトされている。先にも述べたように、このライトシステムは事故発生などの際に後方車両に警告する機能ももっている。 中央のフォーリングスはオプションで初めてLED照明が組み込まれるようになった。特にリアゲートが垂直に近いアバントでは、フォーリングスとライトストリップの組み合わせが印象的だ。 スポーツバックでは、リアウィンドウがトランクリッドと融合して流れるような一体感を形成している。フロントとリアの短いオーバーハング、凹型ドアハンドル、クーペのようなルーフラインを備えたエレガントなサイドビューは、美観とエアロダイナミクスに貢献している。 さらに空気抵抗の少ないオプションのカメラ式のバーチャルエクステリアミラーがそれを強調する。画像はダッシュボードの両脇にある小さなスクリーンに投影されるが、鏡の実像と違うので慣れが必要だ。また、ルーフラインが後方に傾斜しているため、背の高い乗客にとって後席は少し窮屈に感じるかも知れない。 |あわせて読みたい| #A6 #e-tron年 #eトロン #アウディ #新型 #スポーツバック #アバント #電気自動車 エンジンモデルの美点が引き継がれたハンドリングコックピットは、Q6 eトロンと同じ4つのスクリーンで構成されており、11.9インチのバーチャルコックピットとオプションの14.5インチのタッチスクリーンを組み合わせたMMIパノラマディスプレイをはじめ、オプションで10.9インチのフロントパッセンジャーディスプレイやARヘッドアップディスプレイも用意されている。 室内の素材やスペースレイアウトも印象的で、ディスプレイ、操作系、サーフェイス、装飾を含むインテリア全体が高品質に仕上げられている。また、オプションのパノラミックグラスルーフは液晶技術によって透過率を変化させることが可能だ。 ホイールベースは2.95mで後部座席でも足元には十分なスペースがある。アバントのトランク容量は通常502リッター~最大では1422L、スポーツバックでも最大1330Lで実用性に劣ることはない。またフロントフード下のスペースは27リッターで充電ケーブルや小物の収納スペースを提供する。 A6 eトロンはPPE(プレミアムプラットフォームエレクトリック)が採用されており、800Vの電源システムで超高速充電が可能である。ベースモデルはグロス容量83kWh、他のバージョンではグロス容量100kWの電池が搭載されている。 A6 eトロンは当初、270kW(367PS)の後輪駆動、と370kW(503PS)を発生するクワトロ(四輪駆動)の「S6」が販売される。ダイナミック性能はS6が0-100km/h=3.9秒、最高速度は240km/h。A6 eトロン パフォーマンスは5.4秒、210km/hと発表されている。 電気自動車であるA6 eトロンにも、アウディの伝統的なドライビングダイナミクスは継承されていた。オプションのエアサスペンションはSUVの兄弟モデル「Q6 eトロン」よりもやや硬めでスポーティに調整されており、コーナーでは一層シャープで軽快な動きを提供する。 S6はもちろんのこと後輪駆動のA6でさえも、精緻なステアリング特性によってワインディングロードでの敏捷性に驚かされた。ダイナミック、バランス、そしてコンフォートの3つのモードにより、スポーティなハンドリングも快適なハンドリングも楽しませてくれる。ダイナミックモードではタイトなコーナーではリアがわずかに外側に押し出されるが、常にコントローラブルだ。 日常の使用では、道路の凹凸が十分にいなされるバランスモードが理想的な選択となる。アウトバーンでもA6 eトロンは安定しており、長距離ドライブでも余裕をもってリラックスした運転を楽しむことができた。 |あわせて読みたい| 現実的な航続距離は500km前後。価格感は?航続距離は車種やドライビングスタイルによって変化する。アウディは、WLTP規格で最大750kmであることを謳っているが、今回の試乗では500km前後が現実的な数値であることが分かった。 電力消費量は丘陵地帯でのダイナミックな走りと回生効果が相殺された結果100kmあたり約25kWhだったが、よりフラットなルートでは20kWhも可能で、ボディサイズを考えれば許容できる値といえる。特筆すべきは充電能力で、270kWの超急速充電器を使えば最大310kmの航続距離を10分の充電でカバーできる。 さらに21分で、充電状態は10%から80%に跳ね上がる。ただし、家庭用または公共のAC充電の場合、現状では11kWの充電電力しか提供されておらず、後で22kWのオプションを提供する予定だ。 価格例※19%の付加価値税込み 決して安い買い物ではないが、競合他社の「BMW i5」(7万200~9万9500ユーロ)あるいは「メルセデス・ベンツ EQE」(7万1000~10万4000ユーロ)と比べても、とくにエントリーグレードはリーズナブルかもしれない。 (終わり) |あわせて読みたい| |
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