まずは使い勝手、どっちがいいの?気が付けば人気が急上昇し、いまでは毎月の販売ランキングで上位が定位置となっているコンパクトミニバン。トヨタ「シエンタ」とホンダ「フリード」はどちらも全長4m強のボディに3列のシートを備え、スライドドアを組み合わせたパッケージングが特徴です。 今回は、そんな人気を二分する(というか正確に言えばほかにライバルがいない)2台をガチンコバトルさせて「どこが違うのか?」「どちらが自分には合うのか」を明らかにしていきましょう。 まず両者を比べたときに、使い勝手の面でもっとも大きな違いが3列目の格納方法。 フリードはミニバンで一般的な“左右跳ね上げ式”、シエンタは全く異なり2列目の下に沈み込ませる“床下格納式”となっています。「本当に同じジャンルなの?」と思わずにはいられないくらい、全然違うんですよね。 どっちがいいか? それを言い切るのは難しい。どちらも長所と短所があって、使い方によって印象が大きく異なるからです。 #シエンタ #フリード #ライバル比較 #コンパクトミニバン #3列シート人が頻繁に座るのか、荷室として使うことが多いのか頻繁に動かすのなら、左右跳ね上げとするフリードが有利。シエンタは格納/展開作業時に2列目シートを動かす必要があるので、もうひと手間が必要ですね。 ただ、そんなシエンタのメリットはシートがまるで消え去ってしまったかのようにスッキリと収まること。いっぽうフリードは3列目の窓付近に大きな張り出しとなって残るので、折り畳んでも存在感たっぷり。すなわち3列目格納時における荷室の実用性ではシエンタに軍配が上がります。 結論として、3列目を畳んだときにラゲッジルームを広く使いたいならシエンタ。日常的に3列目を畳んでおくという人もシエンタが向いているでしょう。いっぽうフリードは、3列目を収納/格納して動かすことが多い人に向いていると言えます。 もちろん3列車なので、「本質は3列目の居住性」という人もいるでしょう。そんな人にとってはフリードが最適。広さ、開放感(空間的な広さに加えて窓の広さなどに起因)、着座姿勢、そしてシートの座り心地と、どの要素を見ても人が座るにはフリードのほうが優れていて快適性が高いのです。 3列目周辺に関して端的に言うと「人が座るならフリード、荷室としての利便性でシエンタ」と考えれば間違いありません。 子育てファミリーは注目したい2列目シートの実用性実は、3列目のアレンジだけでなく2列目にも違いがあります。(3列モデルの)乗車定員を見ると、フリードは6人乗りと7人乗りを設定。シエンタは7人乗りしかありません。 果たしてどこが違うのか?それは2列目シートの形状です。 2列目に“2人掛け”と“3人掛け”の2タイプが用意されているフリードに対して、シエンタは“3人掛け”のみ。「乗車定員が多いならそれでいい」と思う人もいるかもしれませんが、実はそれだけじゃないのです。 たとえば子育てファミリーがチャイルドシートを2脚装着するようなシーン。実は、その状態で3列目を使えるのは“6人乗り”だけ。つまりフリードだけの特権。シエンタはそういった環境との相性がよくないのです。 フリードの6人乗りの2列目は「セパレートシート」と呼ばれる、左右が独立したタイプ。シートを折り畳まなくても2列目左右席の間を人が通って3列目へアクセスできるので、チャイルドシートを2列目左右席へ装着していても3列目に無理なく人が座れるというわけ。 たとえチャイルドシートを装着しなかったとしても、シエンタだと3列目乗降時は2列目を畳まないといけませんが、フリードなら2列目を動かす必要がないのでアクセスがイージーです。 だから、チャイルドシートを2脚装着するうえで3列目も使いたい人や、頻繁に3列目を使う人はフリードの6人乗りがベターでしょう。 また実は、両者とも派生モデルとして2列シート仕様が存在します。その利便性を比べると、筆者的にはフリード優勢。理由は、荷室の広さです。 「3列目を取り外しただけ」に近い状態のシエンタに対し、フリードは思いきり床を低くして荷室を拡大。空間を前後方向だけでなく縦方向にも広く活用することで、積載性能が全く違うのです。この2台を「積載能力が高く、スライドドアを組み合わせた背の高いワゴン」と考えたとき、より実用性が高いのはフリードの2列車となるでしょう。 燃費はシエンタ優勢も両車ハイレベル、走りはお好みでさて、燃費や走りはどうか。 燃費で優れるのはシエンタ。両者とも販売の主力はハイブリッドモデルですが、カタログ燃費値(WLTCモード計測)で28.2~28.8km/Lを叩き出すシエンタに対し、フリードは21.1~25.6km/Lとちょっと控えめ。とはいえここまでレベルが高いと、もはやフリードの数値で十分と思えてしまうのは、きっと筆者だけではないでしょう。 ちなみにガソリン車だと、シエンタが18.3~18.4km/Lでフリードは14.4~16.5km/L。こちらもシエンタ優勢ですね。 いっぽうでドライバビリティに関しては、ハイブリッドシステムの違いから好印象なのはフリード。より滑らかかつダイレクト感があって爽快なフィーリングです。 対してシエンタは、先代に比べるとずっとダイレクト感が増しましたが、フリードに比べるとやや緩さを感じるのは否めないところ。とはいえこれは好みとも大きくかかわる部分なので、優劣で語る(というか単純に優劣では語れない)のではなく購入時に実際に自分で運転して確かめるべきポイントです。 同様に、ハンドリングもそれぞれ方向性に違いがあって面白いところ。「大人っぽい乗り味」のフリードに対し、シエンタは「楽しいハンドリング」となっています。 具体的に言えばフリードは落ち着きのあるフラットライド感が特徴で、乗り心地も上質。ひとまわり大きな車体のミニバンに乗っているような感覚です。 いっぽうシエンタは、ハンドル操作に対する反応がダイレクトでソリッド。車体が小さく感じ、キビキビと動きます。まるで対極ですね。 乗り味はパワートレイン同様に完全に好みとのマッチングの問題なので、自分の好きなほうを選べばいいでしょう。 「できるだけ安く買いたい」ならシエンタ圧勝だが…ただ、完全に勝負が分かれてしまっているのが価格。フリード(派生車の「クロスター」を除くFFモデル)の価格帯は250万8000円から309万1000円。いっぽうシエンタ(3列車のFFモデル)の価格は、203万5200円から303万6600円。ボトムの価格がけっこう開いているのです。 「できるだけ安く買いたい」となればシエンタ圧勝ですが、上位仕様を比べるとフリードにはリヤエアコンが備わることもあって一見したところフリードの価格も互角に思えます。ただ、それだけで話は終わらないのです。 大きな違いがあるのはナビ。フリードは全車ともナビがオプションとなるので、ナビで約16~32万円、スマホを接続してスマホのアプリをナビとして使うディスプレイオーディオで約10万円の追加出費が必要。 いっぽうシエンタは中間グレード「G」や上級グレード「Z」であればナビが標準装備なのでオプションの追加は必要なし。そこがコスパにおける両者の大きな違いと言っていいでしょう。バリュー度ではシエンタ優勢となっているのです。 自分がどこを重視するかでチョイスも変わりそうまとめると、3列目の居住性と2列目の使い勝手を求めるならフリードにアドバンテージだけど、3列仕様で荷室を重視するならシエンタが魅力的。 走りに関しては、キビキビとしたハンドリングを求めるならシエンタで、上質な乗り味ならフリード。こちらは好み次第で。 ハイブリッドは爽快感でフリードが魅力的ですが、燃費ではシエンタ優勢。そしてコストパフォーマンスに関してはシエンタのリードとなるでしょう。 というわけで、似ているキャラクターだけど実はけっこう違う面もあるこの2台。選ぶ際は、どんなシーン(3列目の居住性or荷室の広さなど)やポイント(燃費など)を重視するかで見え方がかなり変わってくるので、まずは自分がどこを重視するかをしっかり考えることが成功するクルマ選びの近道。もちろん、見た目(スタイリング)の好みも大切ですけどね。 なかには、見た目が好みなら「あとは気にしない」という“一目惚れ方式”でクルマを選ぶ人もいるでしょう。それもそれでアリだと思いますよ。だって、どちらもよくできているクルマなのは間違いないですから。 (終わり) |
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