Mクラスミニバンは今や400万円級に今の小学生や中学生、高校生は、学校の勉強だけでなく、部活にスポーツクラブ、習い事に遊び……と、大忙しです。そんな忙しいお子さんを日々サポートしなければならない子育て層の定番といえば、Mサイズの背高ミニバン。 小学生でも高学年になれば、体格も大人と変わらないケースが少なくありませんし、近所の友達もまとめて送迎することもあれば、雨の日のお迎えでは自転車も車内に積みたい……。そんな用途には、「トヨタ ノア/ヴォクシー」、「日産 セレナ」、「ホンダ ステップワゴン」クラスの広大な室内をもつ背高ミニバンでないと対応できません。 >>Mクラスミニバンの各モデルをフォトギャラリーで見る 10数年前までは「200万円台のクルマ」というイメージだったMサイズ背高ミニバンですが、今では主流のハイブリッドにアラウンドビューカメラや4WDなどをトッピングすると、あっという間に400万円を超えてしまいます。昨今の物価高の世では致し方ない面はありますが、何かと物入りの子育て世代にとって、できるだけ手ごろな価格で手に入れたいところです。 というわけで、ここではノア/ヴォクシー、セレナ、ステップワゴンそれぞれの最廉価モデルを買い物目線で比較してみます。 各車とも上級モデルはハイブリッドですが、廉価なベーシックモデルは非ハイブリッドの純ガソリンエンジン車となります。トヨタと日産が2リッター自然吸気エンジンなのに対して、ホンダは1.5リッターターボとなります。最高出力は170psのトヨタが強いて言えばトップ(日産とホンダのそれは150ps)ですが、リアルな力強さに直結する最大トルクは、200~203Nmの間に3車がおさまっており、ほぼ横並びと言っていいでしょう。 |あわせて読みたい| ノアとセレナは横並び、ステップワゴンはちょい高め<各モデルのベースグレード> >>Mクラスミニバンの各モデルをフォトギャラリーで見る ノア/ヴォクシーで最も安価なグレードはノアの「X」でFF車の車両本体価格は267万円。ノアとヴォクシーは外観の細部デザインが違うだけの実質的に同じクルマですが、ヴォクシーには中~上級グレードしか用意されていません。 セレナの最廉価モデルも同じく「X」というグレード名で、本体価格は271万9200円。ノアXとの価格差はわずか4万円です。これらに対して、ステップワゴンの最廉価モデルは「エアー」で本体価格は316万9100円と、トヨタや日産より45~50万円近く高めな印象です(価格はすべてFF車)。 ちなみに、この種のミニバンには、2列目が独立キャプテンシートとなる7人乗りと、2列目がベンチシートとなる8人乗りの両タイプが用意されるのが定石で、ノアやステップワゴンも例外ではありません。ノアもステップワゴンもシートレイアウトによる価格差はつけられていないので、好みや用途に合わせて、価格を気にせずに選ぶことができます。 一方、セレナだけは2列目の中央にロングスライド付きの「スマートマルチセンターシート」を備えることで、2列目がキャプテンシートにもベンチシートにもできる独自のシートアレンジが自慢。よって、セレナのXはスマートマルチセンターシート付きの“最大8人乗り”のみの設定となります。 |あわせて読みたい| 装備が充実するセレナ、新世代の設計を活かしたノア最廉価のベーシックグレードといっても、オーディオやナビ(は全車が“レス”が標準設定)、周囲を監視するカメラシステム以外は、オートエアコン+リアクーラー、UVカットガラス、衝突被害軽減ブレーキに全車速アダプティブクルーズコントロール、車線維持機能などを含む先進運転支援システム(ADAS)の基本機能は、どのクルマにも標準装備で、どれを選んでも、特別なメーカーオプションを追加せず普通に乗ることができます。 つまり価格重視のクルマ選びの場合、本体価格だけでノアXやセレナXより50万円近く高価なステップワゴン エアーは、最初に候補から落ちてしまうかもしれません。 ノアXとセレナXの装備内容を比較すると、ノアXにはない本革巻きステアリングや斜め後方を検知するブラインドスポットモニターやRCTA(後退時車両検知警報)などが、セレナでは標準装備となります。 また2ページ目でも紹介したように、セレナの2列目は中央のスマートセンターマルチシートを前方にスライドさせるだけでキャプテンシートに早変わりするのが自慢で、自転車を安定して積むのにも便利。8人乗りと自転車の積みやすさの2つのポイントを重視するなら、一気にセレナが最有力となるでしょう。 一方、ノアXには前走車や前方の信号を検知して、事前に知らせてくれたり緩やかに減速やブレーキングをしてくれるトヨタ独自の「プロアクティブドライビングアシスト」が備わります。これは一度でも効果を実感すると手放せなくなる類いの最新鋭の安全装備です。 また、パワートレインのピーク性能が3台でほぼ横並びなのは前記のとおりですが、WLTCモードのカタログ燃費では、13km/L台のセレナとステップワゴンに対して、ノアは15.1km/L(すべてFF車での数値)と明確な差をつけています。これはパワートレイン単体の効率に加えて、車両重量でもノアXがセレナXより70kg、ステップワゴン エアーより110kgも軽いことも大きいはず。 セレナとステップワゴンのプラットフォームはともに(改良を加えられながらも)4世代連続で使われていますが、ノアはトヨタ最新鋭のGA-Cプラットフォームを採用することで、大幅な軽量化を果たしているのです。 >>Mクラスミニバンの各モデルをフォトギャラリーで見る |あわせて読みたい| コスパはノア Xとセレナ Xが拮抗そんなノア Xとセレナ Xですが、どちらもスライドドアは手動が標準となります。セレナ Xはオプションで電動化できるのは左側のみ、ノア Xは左側のみ/両側それぞれの電動化オプションが用意されています。対して、ステップワゴン エアーは両側パワースライドドアに加えて、16インチアルミホイールも標準装備(ノア Xとセレナ Xは16インチのキャップ付きスチールホイール)となります。 ノア Xの電動パワースライドドアのオプション価格は(スマートキーと抱き合わせで)16万円強で、販売店オプションの16インチアルミホイールは7万円台。つまり、ノア Xで23~24万円相当の大物装備が、ステップワゴン エアーでは標準となるので、実質的には本体価格の額面ほど、ノアやセレナとステップワゴンの価格差は大きくありません。 また、ステップワゴンは3車中で唯一、3列目シートが床下収納(ノアとセレナは左右跳ね上げ式)となるので、「通常は3列目は使わない」という向きには、そ床下にすっきりおさまるステップワゴンはとても使い勝手がいいはずです。 >>Mクラスミニバンの各モデルをフォトギャラリーで見る とはいえ、今回のように価格コンシャスで選ぶなら、それでも実質数十万円安のノアXかセレナXの2択でしょう。そのうえで、ドライバーとして本革ステアリングが必須ならセレナXを選ぶしかありませんが、総合的に考えると、燃費が優れて、オプションで両側パワースライドも装着可能なノアXが僅差で軍配点……といったところでしょうか。 というわけで、優れたコスパが自慢のMクラス背高ミニバンのベーシックグレードですか、最近の子供には必須アイテムともいえるUSB電源が、このグレードではどれも前席に1~2個しか用意されないことは残念です。子育て層のためのファミリーカーとして、ここだけは各社に早急な改良をお願いしたいところです。 (終わり) (写真:トヨタ、日産、ホンダ) |あわせて読みたい| |
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