買っても価値が下がりにくいクルマの目安は「残価率」物価高騰の時代は家計のやりくりも大変です。中でもクルマは高価な買い物ゆえ、どうせ買うなら損をしたくない。そんな希望をかなえる方法のひとつが、買った後も価値が下がりにくい車種=リセールバリューの良いクルマを選ぶことでしょう。 クルマのセールバリューの指標としては、新車の購入金額に対する売却時の相場価格をパーセンテージ(%)で表現した「残価率」が良く知られるところです。 価値が残りやすいクルマの条件残価率の高くなる基本条件は、一般的には人気の高いジャンルの人気の高いメーカーのクルマです。 クルマのジャンルでいえば、定番の「SUV」や国内の新車市場で高い人気を誇る「軽スーパーハイトワゴン」が中古車市場でも人気なので、リセールバリューもおのずと高くなる傾向にあります。他にも、現行型が最後の可能性が高い「純エンジンのスポーツカー」や、根強い支持があるのに、選択肢は減少するばかりの「スポーティなMT車」も、最近は残価率が高止まりしています。 メーカーでいうと、やはりトヨタやレクサスが高残価率の上位を占めており、ハイブリッド車やミニバンが総じて高い人気を保っています。 >>記事に登場する残価率最強モデルのギャラリーはこちら 新車登録から5年経過時の残価率を見ると、国産車の平均は40~50%といったところですが、人気車となると80%台に跳ね上がります。さらに、3年以内の残価率だと100%を超える……つまり、購入価格より高い値段で売れるケースまであるのです。 |あわせて読みたい| 高残価率のクルマは、欲しくても買えないのが現状鉄板の高残価率を誇るクルマには、当然ながら、注文も殺到します。特にコロナ禍以降は自動車メーカーも無理な増産はしないようになっており、人気のクルマは事実上の受注停止が常態化する傾向にあります。各自動車メーカーや正規ディーラーの公式ウェブサイトにある“工場出荷時期の目処”などと銘打ったページに「詳しくは販売店にお問い合わせください」などと書かれているクルマの多くは、その時点で受注停止状態にあると考えていいでしょう。 さらに、受注再開の見込みがまったく立たない場合には、メーカーがはっきりと「受注休止」もしくは「受注終了」とアナウンスするケースもあります。 この原稿を書いている2025年2月下旬現在、トヨタの新車は大半が「詳しくは販売店にお問い合わせください」となっていますが、中でも「ランドクルーザー」各車、「アルファード/ヴェルファイア」、「GRカローラ」、「GRヤリス」などは、それが長期にわたっています。レクサスでいうと、「RX」、「LX」、「LBX」が事実上の受注停止状態のようです。 >>記事に登場する残価率最強モデルのギャラリーはこちら そのほか、日産の「GT-R」や「フェアレディZ」、ホンダの「シビック タイプR」も同様です。しかも、この2025年8月の生産を終えることになっているGT-Rの国内受注は停止ではなく終了ですし、シビック タイプRは2023年1月から受注停止が継続していて、この1月に「ブラックレーシングパッケージ」が追加されましたが、それもあっという間に受注休止がアナウンスされてしまいました。 前記のような供給が追い付かないレアな人気車種は、残価率も間違いなく高くなります。ただ、そうした高残価率の超人気車種を手に入れたいなら、とにかく情報をこまめに収集することが肝要です。今この瞬間には受注停止中でも、マイナーチェンジや仕様変更、イヤーモデル、特別仕様車の発売などを機に、受注を再開する可能性があるからです。 ただ、そうした場合も短期間で受注の再停止となってしまうので、注文もタイミングが命です。また人気車種のオーダーは抽選制になることも少なくなく、まずはディーラーと懇意にしておくなど、情報をいち早く手に入れる工夫をしましょう。 さらに、そうした高い残価率間違いなしの超人気車は、運良く注文できたとしても、納車に数年待ちとなることもザラなので、手元に来るまで気長に待つ必要はありそうです。 (次のページは高いリセールが期待できる車種とは) |あわせて読みたい| いま買えて、高いリセールバリューが期待できる車種いやいやそんなには待てないよ……という人のために、ここでは2025年2月現在に普通にオーダーできて、納期も現実的に待てる程度にとどまり、そして3~5年後にも高い残価率が期待できるクルマを、ジャンル別に紹介しましょう。 まずSUVなら、スズキの「ジムニー」と「ジムニー シエラ」(以下、シエラ)です。ジムニーといえば1月30日に発表されたばかりの「ジムニー ノマド」(以下、ノマド)が、いきなり5万台(月間販売計画は1200台)の注文が入ったことで、わずか4日で受注停止となってしまいました。 ノマド以外のジムニーとシエラは2018年の発売直後から長い納期が話題となっていましたが、近年は1年前後の納車待ちで安定していました。しかし、販売現場にノマドの導入が伝わると、納車待ち中のシエラからノマドにオーダーを切り替えた例も少なくなかったそうで、結果的にジムニーとシエラの納期が短縮されているようです。実際、現在のジムニーの納期は平均8~9ヵ月、シエラのそれは平均7~8ヵ月だとか。 このようにジムニーとシエラは納期が短縮傾向にあるとはいえ、絶対的には短くありません。そうした根強い人気に加えて、スズキ自身がまだまだ現行型を作り続けることを明言していて、5年経過時の残価率も80%前後が見込まれています。 スポーツカー/スポーティカーなら、まず「トヨタ GR86」が狙い目といえます。これ以外にGRを冠する「GRヤリス」やGRカローラ、そして生産終了が発表された「GRスープラ」は、現在は事実上、受注が停止しているようです。 一方、GR86は過去に何度か受注停止していますが、トヨタ公式サイトの工場出荷目処によれば、現在の納車待ちは数ヵ月程度。少なくともピュアなエンジン車としての86は現行型が最後といわれており、将来的にマニアの間で珍重される可能性があります。現行型の3年経過時の残価率は、ライバルともいえるマツダ ロードスターよりちょい高めの平均80%ほど。さらにいうと、ATよりMTの方がリセールは良好です。 また、受注停止中のタイプRよりは手ごろで日常的なホンダスポーツとして、「シビックRS」もおススメです。発売されたばかりなので残価率は不明ですが、シビックは先代も現行型も3~5年経過時の残価率が70%以上を維持していますし、台数が少ないMTの残価率は高止まりの傾向にあります。そう考えると、MTオンリーで、シャシーやエンジンなどがこれまで以上に凝った内容を持つシビックRSは、より高い残価率が期待できます。 >>記事に登場する残価率最強モデルのギャラリーはこちら (次のページは高いリセールが期待できる車種とは) |あわせて読みたい| N-BOXやレクサスLMも“高リセール”が期待できそう定番の軽スーパーハイトワゴンはメーカーを問わずに、残価率は高めです。例えば「ホンダ N-BOX」は一昨年秋にフルモデルチェンジしてからの販売に以前ほどの勢いが感じられないのは懸念材料ですが、いまだに国内販売1位の座は堅守しています。 いずれにしても完成度が高いド定番グルマだけに、中古市場でのニーズも手堅いものがあります。先代の5年経過時の残価率は標準モデルの上級グレードで60%以上、カスタムなら65~70%とさらに高めを維持。そうでありながら、N-BOXは現在の納期が1~2ヵ月と短いのも魅力です。 >>記事に登場する残価率最強モデルのギャラリーはこちら 最後にミニバンというジャンルは、平均して残価率が高く、リセールバリューでは優等生グルマが多いです。ただ、王者アルファード/ヴェルファイアを筆頭に、「ノア/ヴォクシー」、「シエンタ」といったトヨタのミニバンは、残価率も鉄板ですが、現在は事実上の受注停止状態といいます。また、日産「セレナ」も純ガソリン車の納期は1~2ヵ月ですが、高い残価率が期待できるハイブリッドのe-POWERは「詳しくは販売店にお問い合わせください」状態です。残念。 その中で、世界屈指の最高級ミニバンであるレクサス「LM500h」は、まさにみんなの憧れ的存在といえるでしょう。さぞかし激しい争奪戦が!?……と思いきや、現在の工場出荷目処は2.5~3.5ヵ月ですから、買うなら今がチャンスかもしれません。 ただ、前例のないクルマなので長期的な残価率は読めない部分もあります。しかし、、レクサスという人気ブランドで、基本構造を共有するアルファード/ヴェルファイアの例を見れば、残価率はそれなりに維持できるのではないでしょうか。新車としては4人乗りの「エグゼクティブ」の方が上級ですが、リセールバリューを考えると、より使い勝手のいい6人乗りの「バージョンL」の方が残価率は期待できます。 もっとも、実際に売却する時の価格は、クルマ自体の人気に加えて、その個体のコンディションに大きく左右されます。クルマの楽しみ方は人それぞれで、リセールなどは気にしすぎずに自由に楽しむのが一番ですが、ことリセールバリューや残価率だけを考えるなら、距離をできるだけ伸ばさず、カスタマイズも控えて、普段からきれいに乗ることを心がけるのが大切です。 (終わり) |あわせて読みたい| |
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