標準モデルより22ps力強く、0-100km/hで0.2秒速いメルセデスにAMG、BMWにMがあるように、カーメーカーはエッジの効いたモデルをラインナップしたがるようだ。アストンマーティンもその例に漏れず、続々とその手のモデルを増殖させている。 ことの始まりは昨年のジュネーブモーターショー。「ラピードAMR」と「ヴァンテージAMR Pro」のコンセプトカーが発表された。AMRはアストンマーティン・レーシングの頭文字で、文字通りレース活動の集団。ご存知のようにル・マン24時間レースなどの耐久レースで多くの輝かしい実績をおさめている。そしてその経験を市販車にフィードバックさせたのがAMRモデル。なので、どこからどう見てもレーシーな作りとなる。 今回、ニュルブルクリンク側にあるアストンマーティン・パフォーマンスセンターを起点にして行われた国際試乗会はそのニューカマーのために行われた。名前は「DB11 AMR」。「DB11」をさらにチューニングしたシロモノだ。 目玉はやはりエンジン。5.2リッターV12ツインターボは、608psから630psにスープアップ。0-100km/h加速をスタンダードよりも0.2秒速い3.7秒にしている。最高速度は334km/h。スーパーカーを超えレーシングカーそのままのスペックといった印象だ。 ただ、この領域になるともはや一般道での試乗で違いを見いだすのは難しい。トップスピードは引き出せないし、そもそも軽量化を進めているアストンマーティンは低速からの加速もハンパなく速い。 AMRらしい乗り味&エキゾーストサウンド今回エキゾーストサウンドに手を入れているのでそこは容易にわかった。ドライブモードをスポーツやスポーツプラスにすると、「え、ここはサーキット?」という音が響きわたる。標準のGTモードもそれなりに思えたが、その差は大きい。3000回転から奏でられるエキゾーストノートとドライバーを一気にやる気にさせるブリッピング音は、クルマ好きにはたまらない。頬が緩む瞬間だ。 スポーツとスポーツプラスモードはこのほかATのシフトタイミングや乗り味、ESPなどのデバイスのセッティングが変わる。とは言え、乗り心地が極端に悪くなることはない。オススメはスポーツモードで、サウンドを含めAMRの世界観が感じ取れた。ドライバーが期待する味付けだ。 これに対し、デフォルトとなるGTモードは想像以上に乗り心地がいい。今回は一人で4時間くらいステアリングを握ったが、長く乗れば乗るほどGTの快適な足のセッティングにカラダが馴染んだ。助手席に友人を乗せるときは、きっとこのモードが役に立つだろう。 ちなみに、開発の責任者にエコモードについて訊いてみたが、その発想はないと頭から否定された。アストンマーティンというブランドとオーナーが期待する中に、エコモードは必要ないらしい。まぁ、確かにオーナーは複数台所有しているのだから、アストンがそこにこだわる立場でもないのかもしれない。 流行のライムグリーンに塗られたキャリパーも目印実際の走りで特筆したいのはハンドリングだ。今回の試乗コースは全体的にアウトバーンが少なく、ワインディングが長くコーディネイトされていた。そこではアンダーステアにもオーバーステアにもならないハンドリングがどこまでもクルマを安全にかつ気持ちよく走らせる。若干の“手アンダー“であればESPとデフがナチュラルにラインをトレースする。またコーナー出口でオーバーステア方向に向かわないのもなかなかの高等テクニックだ。 この辺の味付けはレースのフィードバックのひとつだろう。とっさの時のハンドルさばきにもクルマの挙動が大きく乱れない懐の深さを感じた。 外観の特徴だが、おもだったところではグリルや前後のライト類が挙げられる。ライトユニットの一部をブラック化したりスモーク化することで見た目の印象を変える。そのほかで目についたのはライムグリーンに塗られたブレーキキャリパー。もちろん、このクラスのクルマは標準装備なんてあってないようなもの。キャリパーひとつとっても何色にも塗ることができるが、今回このライムグリーンは印象的だった。最近AMGやポルシェ、ベントレーもクルマのカラーリングにライムグリーンを取り入れているからだ。きっとレース業界のひとつのトレンドなのだろう。内装では、カーボンむき出しのダッシュパネルとオリジナルシートが目についた。 といったのがDB11 AMRのファーストインプレッション。見た目だけでなくいま思うとAMRの個性がひしひしと思い浮かぶ。いいクルマは本気で走っても軽く流しても気持ちのいいものなんですね。 ※無音映像です スペック【 アストンマーティン DB11 AMR 】 |
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