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アウトランダーPHEVがマジ改良。中古狙いでも新型は要チェックだ

2018-10-1 07:00| post: biteme| view: 941| コメント: 0|著者: 文:五味 康隆 /写真:篠原 晃一

摘要: 登場5年で要のPHEVシステムに本格的テコ入れ 2013年にPHEVの可能性を世界に先駆けて示し、累計16万台を世界で販売してきた「三菱 アウトランダーPHEV」が大幅マイナーチェンジされた。重量級SUVが想像以上の加速と共 ...

アウトランダーPHEVがマジ改良。中古狙いでも新型は要チェックだ

登場5年で要のPHEVシステムに本格的テコ入れ

2013年にPHEVの可能性を世界に先駆けて示し、累計16万台を世界で販売してきた「三菱 アウトランダーPHEV」が大幅マイナーチェンジされた。

重量級SUVが想像以上の加速と共にこんなに静かに滑らかに走るのか…という登場当初に感じた驚きは、今回比較のために用意された従来モデルに乗っても感じられた。しかし約5年が経ち、世のSUV勢も大幅に走りを進化させた今となっては、足回りのプルプル感や走行振動や静粛性、さらにはハンドル操作に対する反応やダイレクト感では若干の古さを感じてしまう。

逆に、走りの質にそれほどこだわらない、というなら中古市場で従来モデルを探すのも得策かもしれない。今回のマイチェンでは見た目の変化はほとんどない。正確にはフロントフォグランプ周りにクロームパーツが付いたりしているが、オーナーでもなければわからない程度で、なおさら既存の中古モデルを選択肢に入れたくなってしまう。

でも結論から言うと、その予想は新型に試乗して覆された。ここまでPHEVシステムを大幅に改良してきたとは想像していなかった。そしてもちろん、もう一歩頑張って欲しかったという部分もある。以下掘り下げていこう。

シートの高級感や操作性などをアップデート

まずはエクステリアだが、ラジエターグリル、フォグランプベゼル、LEDヘッドライト、前後のバンパー周りなど、オーナーでもないと変更に気がつかないレベルで、保守的な変更がやや残念だ。

一方、インテリアや装備には攻めを感じる。印象的なのはダイヤキルティング加工が施された本革シート(上級グレード)だ。後席には空調の吹き出し口も追加された。また、普通&急速充電中にエアコンを使えるようになるなど(今までできなかったの? と言われそうだが…)、登場当初のコスト感では手を出せなかったアメニティも充実させてきた。

操作性ではメーター周りのデザインが変わったのが大きい。“これ以上アクセルを踏むとエンジンが掛かる”という領域が一目でわかるパワーメーターになり、EV走行の維持が楽になった。後述するが、新型アウトランダーPHEVは走行中にエンジンが掛かったことがわからないほど静かなので、知らずにエンジンを掛けて走ってしまうこともあり、人によっては損をした気分になるだろう。意外に重要な改良ポイントだと思う。

プラグインHVに航続距離を求めるのはナンセンスだ

いよいよ核心に入る。まずバッテリーが12kWhから13.8kWhへと約15%容量アップを果たした。航続距離はカタログ値で60.8kmから65kmに増えたが、試乗した限り、容量アップの狙いはEV航続距離ではなく、走りの質や扱いやすさと実燃費や電費の向上にありそうだ。

プラグインハイブリッド(PHEV)の適正な航続距離についてはこの先も議論が続くが、明快な答えは出ないだろう。人それぞれクルマの使い方は違うし、発電も駆動もできるという理由で(重たい)エンジンを搭載しているPHEVに、EV航続距離を求め続けるのはナンセンスだからだ。今後のバッテリー性能の向上を考慮すれば、エンジンを積まないピュアEVで実用的な航続距離が出せる時代になりつつある。

プリウスPHVを所有して、実生活で使ってみると、従来型のカタログ値60kmの7~8割程度という実質のEV走行距離はすでに十分過ぎるほどで、3~4km程度増えたところで、国の補助金などのボーダーラインが関係してこない限り、それほどの意味はないと思う。

モーターやボディの改良で走りも乗り心地もグレードアップ

新型はバッテリー容量が15%アップ、バッテリー出力は10%向上している。リアモーターの最大出力も10kWプラスの70kW(95ps)になった。最大トルクに変化はないので、回転上昇と共に発生トルクが落ち込む率を改善でき、伸びのあるモータートルク特性になった。

これは箱根の山道を登り始めてすぐ体感できた。EVモードでの停止状態からの走り出しでは、従来モデルと新型にはそれほど差は感じない。そこからモーターだけで加速していくと、徐々に従来モデルは速度の伸びが甘くなるのに対して、新型はもうひと伸びが体感できる。速度が上がった領域でEV特有の滑空感や速度の伸び感を体感できて爽快だ。

爽快感はシャーシの改良も関係する。従来モデルではSエディションのリアゲート周りにしか使用していなかったボディの構造用接着剤を、全グレードに採用し、さらに左右4枚ドアの開口部周りにも使用。これで足が的確に動くようになり、ダンパーも見直した結果、しっとりと上質な乗り味が手に入った。従来モデルでは大きい路面ギャップで感じた硬さも抑えられている。

また、マフラーやエンジンなどの動力系がブルブルと振動する感覚も、エンジンが2.0Lから2.4Lになり、同時に吸排気系の見直しやマフラー周りの重量バランス取りなどが的確になって抑え込まれた。

バランスがいいのはSエディションではなくノーマルグレード

ハンドリングが良くなったのも見逃せない。ステアリングの取り付け剛性の問題なのかダイレクト感は改善していないが、ハンドルを切り出してからの反応は良くなった。おそらくベクタリングのチューンやステアリングのギアレシオがクイックになったことと、前述したボディ剛性向上が関係しているのだろう。結果として、従来モデルよりもハンドル操作量が少なくなり、連続するカーブが走りやすい。

ちなみにビルシュタインの足回りを装着したSエディションはやや硬い。ボディ振動減衰が的確に働き出しているので、個人的には乗り心地とのバランスを踏まえるとノーマル派だ。

強く加速する際にエンジンが絶えず一定音で唸るのは残念だが、2.4Lエンジンになって加速力自体も上がった。前述したようにエンジン振動が少なくなっている。そのため新型は走行中にエンジンが掛かっても気づきにくく、緩加速時などはEVドライブが続いているように感じるほどだ。従来モデルではチャージモードのエンジン音が大きかったが、新型では停車時でも我慢を強いられず使えるほど静かになった。他にもバッテリー容量アップにより電気の瞬間受け入れ能力が増して、実燃費、実電費の向上にも繋がっている。

運転がギクシャクするスポーツモードは不要では?

一方、“?”が付くのがスポーツモードだ。新設された機能だがレスポンスが良すぎて運転がギクシャクする。ノーマルモードでさえ十分なレスポンスを発揮しているので、それ以上のレスポンスだと姿勢変化ばかりが誘発される。増強されたリアモーターが積極的に使われるのだが、アクセルを踏むたびにその動きが強すぎてフロントが浮き車両が後ろに大きく傾く。もう少しフロントモーターで引っ張ってフロントが浮くのを抑えた後に、姿勢変化を抑えつつリアモーターで加速させて欲しいと思った。

将来は個人の好みに合った調整もある程度出来るようになるのかもしれないが、改めて電気駆動の可能性も感じられた。本格的にテコ入れされたアウトランダーPHEVが魅力的なモデルであることは間違いない。ルノー日産グループは三菱とともに魅力的なアイテムを手に入れたものだ。

スペック

【 アウトランダーPHEV G プレミアムパッケージ 】
全長×全幅×全高=4695×1800×1710mm
ホイールベース=2670mm
最低地上高=190mm
車両重量=1900kg
駆動方式=4WD
エンジン=2.4リッター直列4気筒DOHC
エンジン最高出力=94kW(128ps)/4500rpm
エンジン最大トルク=199Nm(20.3kg-m)/4500rpm
モーター最高出力(前/後)=60kW(82ps)/70kW(95ps)
モーター最大トルク(前/後)=137Nm/195Nm
バッテリー=リチウムイオン電池(13.8kWh)
ハイブリッド燃料消費率(JC08モード)=18.6km/L
EV走行換算距離=65.0km
使用燃料=レギュラーガソリン
サスペンション=前:マクファーソンストラット式
        後:マルチリンク式
タイヤサイズ=前後:225/55R18
価格=479万3040円


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