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I-PACEはジャガーの思想が反映されたクルマ屋らしい完成度を持つEV

2019-4-23 07:30| post: biteme| view: 923| コメント: 0|著者: 文:岡崎 五朗/写真:菊池 貴之

摘要: EVである前にジャガーである これまでテスラの独壇場だったプレミアムEV市場。ドイツメーカーを中心とした参入計画が相次ぐなか、一番乗りの刺客は意外なことにドイツではなくイギリスからやってきた。ツイードのジ ...

I-PACEはジャガーの思想が反映されたクルマ屋らしい完成度を持つEV

EVである前にジャガーである

これまでテスラの独壇場だったプレミアムEV市場。ドイツメーカーを中心とした参入計画が相次ぐなか、一番乗りの刺客は意外なことにドイツではなくイギリスからやってきた。ツイードのジャケットを着た英国紳士の乗るクルマから、よりモダンでスポーティーでダイナミックなブランドへとイメージの刷新を図っているジャガーにとって、EVは新生ジャガーをアピールする絶好のチャンスと映ったのだろう。

ジャガー初のEVであるI-PACE(アイペイス)が積む前後2つのモーターは合計400ps/696Nmを発生し、2.2トンの重量級ボディを停止状態からわずか4.8秒で100km/hまで加速させる。容量90kWhのバッテリーが生みだす航続距離はカタログ値(WLTC)で438km。外気温や走り方にもよるが、試乗時(3月末)の平均電費は4.4km/kWだったから、ヒーターやエアコンを多用する季節でも300kmは余裕で走れそうだ。逆に条件が整えば500kmも十分に狙える。テスラやリーフe+もそうだが、大容量バッテリーの登場によって、EVの泣き所である航続距離問題はここにきてほぼ解決されつつあると言っていい。

とはいえ、1000万円クラスのプレミアムEVにとって十分な航続距離や優れた動力性能は必要最低条件であって、雌雄を決するのはトータルの魅力だ。単に電気で走るだけではダメで、舌の肥えたユーザーに「これはいいね」と感じてもらえなければ成功は見込めない。その点、テスラは初モノであること、大型タッチスクリーンを配した独特のインテリア、通信を使った主要機能のアップデートなど、自動車メーカーが考えもしなかった新鮮なアイディアで成功を収めた。ならばジャガーがつくるEVは何をアピールポイントにしているのか。端的に言えば「クルマ屋がつくるクルマである」こと、さらに言うなら「EVである前にジャガーである」となるだろう。

非ジャガー的フォルムの違和感をSUVというフィルターで薄めた

キャビンがグッと前にでたショートノーズを特徴とするI-PACEのフォルムは、ロングノーズにコンパクトなキャビンを組み合わせた正統派スポーツサルーンという従来のジャガーデザインとは明らかに異なる。エンジンの時代、長いボンネットフードはその下に大きく強力なエンジンを搭載している=高性能であることの象徴だった。

しかしEVは違う。エンジンよりはるかに小型で補機類も少なくて済むモーターは長いノーズを必要としない。むしろ制約となるのはバッテリーで、運動性能を考えると大きく重いバッテリーは車体中央のできるだけ低い位置に置きたい。衝突時の保護という観点でも前後タイヤの間に収めたい。そこから導き出されるのが床下搭載だが、大量のバッテリーを積むためには大きな床面積が必要になる。となればホイールベースは長く、オーバーハングが短くなるのは自明の理。実際、I-PACEの全長は4695mmと5ナンバーサイズ枠内に収まっているものの、ホイールベースは2990mmもある。

EVとしては理にかなっている反面、「非ジャガー的」なフォルムをいかにジャガーに見せるか。I-PACEのデザインでもっとも苦労したのはその点だったと、チーフデザイナーのイアン・カラムは言っている。顔とお尻は紛れもなくジャガー流の仕立て。しかしフォルムは超が付くほど斬新。ちなみにジャガーらしさの表現として採用した特徴的なグリルは冷却用ではなく空力のためであり、入った空気は整流されつつフードから抜けていく。そんなI-PACEのデザインを果たしてユーザーはどう評価するだろうか? 往年のジャガーファンのなかには「ジャガーらしくない」と感じる人もいると思う。僕自身、もしこのクルマがサルーンだったらそんな印象をもったかもしれない。

ジャガーの巧みなところは、SUVというフィルターを通すことで違和感を薄めてきたことだ。I-PACEは決して典型的なSUVではない。むしろクーペテイストを採り入れたクロスオーバーモデルという表現が相応しいとすら思う。そんなモデルにSUVであることを示す「PACE」というネーミングをあえて付けてきたのは、いまSUVが売れ線であることに加え、新しいフォルムを受け入れやすくするための環境作りという狙いがあるのかもしれない。

プレミアムカーらしいラグジュアリーな室内は特筆もの

3メートル近いホイールベースの持ち主だけに、室内は広い。大柄な男性4人が乗り込んでも問題なしだ。ラゲッジスペースも十分に実用的。3列シート前提のテスラ・モデルXはもちろん、セダンのモデルSと比べると、後席の床面がフラットでないとか、前後あるうちのフロント側ラゲッジスペースが小さいとか、実用面でのディスアドバンテージはある。しかし、だからといって狭苦しいとか荷物が積めないとか、そんな苦情が出るようなレベルではない。荷室容量はフロントが27L、リアが656L。後席を倒せばリアは1453Lまで拡大する。

特筆したいのがインテリアの質感だ。シートの形状、レザーのタッチ、メーターやダッシュボード、センターコンソール周りのデザインなど、あらゆるところにジャガークォリティとレンジローバーテイストが注入されている。大型タッチスクリーンをポーンと置いたテスラのシンプルさもあれはあれで衝撃的だったが、I-PACEのようなラグジュアリー感はない。ホテルになぞらえればリッツ・カールトンとマリオットぐらいの違いがある。1000万円級のプレミアムカーを買う人にとって、この部分は間違いなくI-PACEの大きなアドバンテージになるだろう。

クルマ屋らしい完成度、テスラとは異なる思想がある

今回の日本での試乗に先駆け、昨年6月にポルトガルで2日間、みっちり試乗しているのだが、驚いたのはコース設定だった。あちこちに凸凹がある舗装の傷んだ一般道からワインディングロード、さらにはサーキットにオフロードと、ジャガーはありとあらゆるシーンを用意してくれていた。まさかサーキットでの全開走行や渡河までやらせてくれるとは思っていなかっただけに、開発陣の自信の大きさやプライドが伝わってきた。あらゆる状況で走れてこそクルマ屋がつくるクルマなんだよ、ということを伝えたかったのだろう。

そんな試乗を通して感じたのは、EVである以前に、一台のクルマとして極めて高い完成度をもっているということだった。まずボディ剛性がとんでもなく高い。オプションの22インチタイヤを履いていたが、ポルトガルの穴ぼこだらけの舗装路を走ってもボディはミシリともいわない。突き上げは瞬時に減衰され、大きく重い22インチタイヤ&ホイールもバタ付き知らず。正直、この洗練された乗り味には驚いた。ちなみに、I-PACEのボディ剛性はジャガーの中でも最高レベルであり、スポーツカーのF-TYPEに匹敵するという。なお、熟成が進んだためか、先日乗った日本仕様車はさらに乗り心地のしなやかさが増していた。22インチのエアサス仕様はもちろん、20インチの金属ばね仕様でもI-PACEの優秀性は9割方享受できる。

重量は2トンを超えるものの、低重心と50:50の前後重量配分がもたらすハンドリングもきわめて優秀。重さを感じさせることなく、ワインディングロードはおろかサーキットでも思い通りの走りを楽しめた。もう一点、サーキット走行で感心したのは、全開走行を続けてもモーター出力やブレーキのタッチにほとんど低下がみられなかったことだ。アクセル操作に即応して沸き上がる豊かなトルクはコーナー出口でボディを力強くかつスムースに押し出し、ストレートでは200km/hをマークした。テスラで同じような走りをしたら2~3周でパワーもブレーキもへこたれてしまう。そもそもテスラはサーキット走行をした時点で保証対象外だ。

I-PACEの0-100km/h加速は4.8秒。これでも十二分に速いが、テスラ最速のモデルS P100Dルーディクラスパフォーマンスは驚異の2.6秒。アクセルペダルを踏み込んだ瞬間のガツン! という加速感はテスラに及ばない。しかしその分、I-PACEはパフォーマンスの持続時間が長い。おそらくバッテリーやモーター周りの冷却能力が高いのだろう。

以前テスラ・モデルXをサーキットで走らせたことがあるが、全開加速テスト10回目で0-100km/h加速は10秒を超えた。もちろん、これは考え方の違いであり、どちらがいいとか悪いという話しではない。普通のユーザーはサーキットなど走らないわけで、日常的なサプライズを重視するのはある意味合理的とも言える。重要なのは、そういう違いがあることを知ったうえで選択すること。いずれにしても、過酷な連続走行や渡河などにきちんと対応させてきたあたりはクルマ屋らしい仕事である。

充電環境の整備は必要だがチャレンジする価値はある

ジャガーらしさを残しつつEVに最適化した新鮮なスタイリング、プレミアムなインテリア、上質な乗り味、パフォーマンスの持続性、実用的な航続距離、そしてもちろんEVならではの優れた静粛性とパワーフィール。I-PACEはあらゆる点で素晴らしい実力を備えたEVだ。

しかし、だからといってすべての人に諸手を挙げてオススメできるかといえば、そう単純な話しではない。959~1312万円という価格は、内容を考えれば決して高くない。むしろ専用開発したプラットフォームに90kWhもの大容量バッテリーを搭載していることを考えれば利益はほとんど出ていないのではないか。問題となるのは、やはり充電にまつわる不自由さだ。自宅で充電できる人なら、常にバッテリーの腹を満たしておけるから、よほどのロングドライブ好きでもなければほぼ問題なく使えるはずだ。しかし、マンション住まいなどで自宅では充電できない人が、急速充電器頼みでこのクルマを運用するのはかなりの無理がある。このあたりは独自の充電ネットワークを設定しているテスラに分がある。

I-PACEの資料には、CHAdeMOの50kW急速充電を使えば約85分で0%から80%までチャージできると書いてある。ただし多くのCHAdeMO充電器は1回30分の制限があるため、混雑状況によっては2回、3回と連続占有するのは難しい。しかもCHAdeMOには50kWだけでなく20kWタイプもある。20kWタイプの30分チャージで入る電力量などたかがしれている。単純計算で40km程度。お茶を飲んでいる間に充電すればいいんだよね、などと甘く見て購入すると痛い目に遭うのは必至だ。

また、クルマ側で最大7kWまで対応する普通充電も、一般的な3kWタイプでは空の状態から満充電にするとなると一晩では足りない。できれば6kWタイプの設置が望ましい。ただし6kWは200Vで30Aだから、自宅の電力契約の上乗せや宅内配線のやり直しも必要になってくる。もちろん、こうした面倒なことを乗り越えた先には、いままで体験したことのない素晴らしい世界が拡がっている。一歩先を行くクルマの楽しさ、モーターが生みだす新しいジャガーの世界を味わいたいなら、チャレンジする価値は大いにある。

スペック

【 I-PACE HSE(エアサス仕様) 】
全長×全幅×全高=4695mm×1895mm×1565mm
ホイールベース=2990mm
駆動方式=4WD
車両重量=2240kg
最高出力=294kW(400ps)/4250-5000rpm
最大トルク=696Nm/1000-4000rpm
駆動用バッテリー=リチウムイオン電池(90kWh)
航続距離(WLTCモード)=438km
サスペンション=前:ダブルウィッシュボーン式、後:インテグラルリンク式
タイヤサイズ=前後:245/50R20
価格=1162万円


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