軽スーパーハイトワゴンの帝王N-BOXという存在夏にふさわしい激アツバトルがやってきたぜ。今や新国民車とも言える超人気クラス、軽スーパーハイトワゴンの頂上決戦だ。 そもそもこのクラスは2003年登場の初代「ダイハツ タント」が元祖。当時珍しい1.7m台の高すぎる車高と2mの長すぎる室内長から来るあり得ない便利さにド胆を抜かれたもの。加え07年デビューの2代目がまた凄く、助手席側ピラーレス×スライド式のミラクルオープンドアに、当時「レクサス LS」を超える2.16mの室内長を獲得。強烈なスマッシュヒットを放った。 ところが横幅を上回る異様な背高ノッポボディや、当時業務用の匂いが残るスライドドアがアダとなり、「スズキ ワゴンR」や「ダイハツ ムーヴ」ほどには売れなかった。独特のアットホームムードからか、子育てヤングママ向けに留まっていたのだ。 しかし、2011年に画期的高効率プラットフォームとリッターカー並みの質感を持つ初代「ホンダ N-BOX」が登場。瞬く間に、タントやライバル「スズキ スペーシア」を上回りクラストップの販売数。それどころか一昨年さらに進化した2代目「N-BOX」は、全乗用車セールスランキングで「日産 ノート」や「トヨタ プリウス」を上回り、2年連続で国内トップの座に君臨。直近6ヵ月を見ても月販2万台超えが4回! ハッキリ言ってライバルを月あたり5000台以上平気で突き放すバカ売れ確変モードに入っている。 果たして前チャンピオン、タントは4代目で驚異のN-BOXにどう対抗するのか? そこが最大の焦点なのである。 ステアフィールはタント、快適&静粛性はN-BOX肝心の実車だが、なるほどふふーん、N-BOXとガチバトルしている部分としてない部分がある。まずはスタイルと骨格、ここは力が入っている。今回ダイハツは完全新設計の新世代プラットフォーム、DNGAを初投入。見た目から一新させた。ネーミング的には親会社トヨタのTNGAのダイハツ版だが、単なるブラッシュアップじゃない。10年先を見込んで電動化や自動化も考えた新骨格で、相当気合の入った造りだ。 ただし、勘違いしちゃいけないのは決して狭い視野からのN-BOXガチ対抗ではないこと。今後のダイハツ全体の生き残りを賭けての質感アップであり、効率化だ。 具体的にはフレームの通し方や高張力鋼板の使用量を変えただけじゃない。かつて軽自動車、Aセグメントコンパクト、Bセグメントコンパクトとバラバラだった設計思想を一本化。質を上げつつ、開発効率全体を上げている。 それはまず走り味に出ていて新型タント、ノンターボモデルもターボモデルも低速でのステアリングフィールが超ダイレクト。ここはN-BOXを上回ったと言っても過言ではなく、ボディのしっかり感も上々。高速での直進性、安定感に繋がっている。 その一方で低速でのゴツゴツ感、きめ細やかなタッチ、静粛性でN-BOXを超えたとは言い難い。この辺りはそれほどお金をかけられなかったのかもしれない。 軽っぽさが残るタント。N-BOXは全体の質感が違うさらにデザインというか見た目品質だ。新型タントは新世代プラットフォームもあり、今までのグラスエリアが広く、バスっぽく見えていたエクステリアの上下バランスを変えてきた。ウェストラインが高くなり、より乗用車っぽく見える。 フォルム全体も今まで以上にシンプルで優雅。一時期の野暮ったいデザインから抜け出している。オマケにギラギラとメッキ感が強かったカスタムモデルもよりシンプル化。 だが正直、「ホンダ フィット」からの買い換えも辞さないN-BOXの上質感であり、“軽っぽくなさ”があるかというとどうだろう? 実は2代目N-BOXオーナーでもある小沢。正直、新型タントはまだまだ軽の香りが残っているし、N-BOXほどの一歩抜けた感はないと感じた。無論そこにはダイハツとホンダのブランドイメージもあるが、なにより全体の質感が違う。 インテリアも同様。確かに樹脂の質感は上がり、メーター類は露骨に上質化した。アナログメーターは廃止され、カラー液晶とモノクロ液晶の組み合わせになったし、センターモニターも大型9インチに拡大。 しかし、ATセレクター周りの質感といい、カラーパネルといい、ドアハンドル周りの処理といい、細かなダイハツっぽさは拭い切れてない。 かたや室内の広さはN-BOX同等とみた。厳密に新作プラットフォームはホンダN-BOXのスペース効率を超えてないかもしれないが、乗って広さにほとんど差は感じない。 同時に運転席の着座位置をN-BOXほど高くしておらず、既存ユーザーを大切にしている姿勢も伺える。 子育てママ狙いのタントは別の道を行くそれは動力性能にも伺え、パワーや燃費でことさらガチンコ勝負はしてきてない。売れ筋の660ccノンターボは52psのピークパワーをそのままにピークトルクを少し上げて60Nmに。660ccターボの64ps&100Nmも同様だ。またJC08モード燃費はノンターボが27.2km/Lで、ターボ25.2km/L。ノンターボでタントがわずかに勝ち、ターボでN-BOXが逆に勝っているが、どちらも大差ない。 その一方でタントは今までにない2系統の伝達システムを持つD-CVTを初採用。発進時のダイレクト感は明らかに向上していてパワー&トルクで勝るノンターボのN-BOXを追従。力強さで負けて、CVTのダイレクト感で勝った感じだ。 先進安全だが、こちらは4代目タントがやや有利。N-BOXのホンダセンシングも優れものだが、タントの新世代スマートアシストは追従オートクルーズが渋滞時に完全停止するだけでなく、車線維持機能もレーンのセンターを完全にトレースする。この点でN-BOXを先行したと言ってよく、正直N-BOXオーナー小沢としちゃ悔しい。イマドキ軽でも高速は良く走るし、渋滞時の完全停止は絶対的にラクだからだ。 という具合に時に勝ち、時に負けてるタント vs N-BOXのガチバトルだが、それは個別性能のみだ。最近両者は住むタナがますます異なってきている。それは価格戦略に露骨に伺え、タントはなんと旧型ほぼ据え置き。具体的にはノンターボモデルが122万円台スタートで、これはスマートアシスト非装備の営業車向けかもしれないが、標準装備車でも130万円台スタート。かたやN-BOXは138万円台スタート。高いほうのグレードを見ても、タントカスタムRSの4WDモデルが187万円台に対して、N-BOXカスタムG EXターボの4WDモデルは208万円台と大台突破で20万円以上の開きがある。 タントは明らかに従来通りの軽自動車ユーザー狙いで安さ重視。かたやN-BOXはリッターカーからのダウンサイジングユーザーが中心で安さより品質。一部は重なるが似て非なるクルマなのだ。 それは新型タントがあくまでも助手席ピラーレスのミラクルオープンドアの使い勝手を伸ばすべく、運転席ロングスライドシートや助手席イージークローザー、人が近づくとドア開くウェルカムオープン機構などを付けたことからも伺える。 タントはやはり子育てヤングママを狙い、かたやN-BOXは高品質路線を狙う。おそらく今回のタントもモデル通期の販売台数ではN-BOXを超えないに違いない。だが、それでいいし、両車はそれぞれ別のポリシーを貫くからこそ今後も売れ続けるのだ。 スペック【 X 】 【 カスタム RS 】 |
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