先代はド真ん中狙い過ぎて次第に埋没してしまったガチョーン! 不躾オザワ、新型「N-WGN」で秘かに衝撃を受けてしまったぜ。あれは発表会で古館LPL(ラージプロジェクトリーダー=開発責任者)を直撃した時だ。恐らくオザワだけではないと思うが、まず2013年に出た初代N-WGNについて「それなりに売れてたんだろうな」と勝手に思い込んでいた。 というのもN-WGNは、スズキ「ワゴンR」やダイハツ「ムーヴ」対抗の軽ハイトワゴン。「N-BOX」のような1.7m台の車高や両側スライドドアはないものの、室内は広いしクオリティもN-BOXレベル。黙っててもワゴンR、ムーヴ並みには売れてると信じてたわけ。 どっこい調べてビックリ。2018年販売はムーヴ、ワゴンRどころか日産「デイズ」やスズキ「ハスラー」にも負ける5位グループ常連。それについて開発者の敗因分析がなるほどだった。「初代はジャンルのど真ん中を狙おうと“ホームラン軽”って考え方で、価値観のど真ん中を狙ったんですけどこれが…。発売直後は良かったけど、他に似すぎて次第に埋没しちゃったんです。我々はNシリーズというブランドを築くつもりだったのが、世の中にはN-BOXブランドが出来ていたんです」。 つまり、サザンオールスターズではなく、桑田佳祐とその仲間達みたいな感じ? 「そうかもしれません(笑)」。世の中、成功者が仕事から結婚まで全部成功してるとは限らない。飛ぶ鳥を落とす勢いのNシリーズだけど、明らかな成功者は長兄N-BOXのみ。他は割と苦戦してたのよ。 しかし失敗こそ成功の母。ホンダは2代目で大胆な成功の新ストラテジー(戦略)を描いた。それが「ノールック作戦」、ライバルを見ずにNの良さを必死に磨く戦略である。 エクステリア&インテリアはシンプル、タイムレスに「正直、新型はデザインを含めて他との競争はしてないです。ハスラーやワゴンRを見て、それに負けないようにという発想はなく、いかにNらしさを突きつめるか、お客様の言葉に対してどう反応していこうかを考えました。そうじゃないと自然と他に寄っていっちゃうので」。 まず先代から大きく変えたのがエクステリア&インテリアのデザイン。かつてのムーヴのような線の多いデザインではなく、とにかく「シンプル」「タイムレス」をキーワードに、長く乗れる形を目指して作り込んだ。 具体的には、ライトはシンプルな丸目でグリルはスクエア。全体も無駄なラインを徹底的に省いた箱型デザインで、無印良品的でそっけなく見えるほどだ。お手本となったのはN-BOXのデザイン。兄貴分のシンプルな良さを逆分析して新路線を導きだしたのである。ちなみに今後出てくるNの兄弟車もこっち方向になるっていうから楽しみだ。 同時にバリエーション戦略も大変更。それは本来ワイルドというか、デカい極悪顔になりがちなカスタムモデルを、これまたシンプルデザインにしたのである。グリルは確かに標準より分厚くクロームメッキも効いてる。だが、中身は横長ドットで極悪感はまるでなし。ミニバンを始め、マイルドヤンキー化する一方の箱型デザインに反旗を翻したのである。 インテリアは評判のいい現行N-BOXの延長線上。メーター回りはフタ付き物入れが運転席前にガツンと収まるN-BOXに対し、アナログメーターが大きく配され、ドライバーズカーであることを物語るが、基本シンプルで飽きの来ない上質デザイン。 同時にマテリアルにも凝っており、安っぽくなりがちなシフト回りは登録車顔負けだし、中でもカスタムの本革風シート表皮「プライムスムース」はタッチがいい上、エッジ部はダブルステッチ入り。上級グレードは本革ステアリングも標準で備える。 実用性もなかなかで、リアラゲッジの「二段ラックモード」を始め、3通り使えるように進化。そもそも床の低いNのプラットフォームの美点を生かしたアイデアで、ジミだがなかなか魅力的。 N-BOXや登録車も上回る走りのフィールさらにビックリなのは走りの上質さであり、滑らかさだ。走り出した瞬間に「なにこれ本当に軽?」と思うレベルで、無駄なノイズや振動が少ない。ここは兄弟車N-BOXはもちろん、一部は登録車のフィットを越える部分もあり、まずはアクセルを踏んだ時の滑らかさに驚く。 ステアリングフィールも印象的だ。2代目N-BOX譲りのプラットフォームは剛性感が高く、低い屋根もあってそれが高まっているのだろう。ついでにコーナリング中のロールが背高のN-BOXより明らかに小さく、高速道路でもあまり恐さがない。 一方で加速感だが、ここは確かに軽自動車の限界あり。車重は全車1トン以下と軽めではあるが、登録車を凌駕するほどではない。とはいえ軽自動車内ではピカイチと言える。まずはターボだが、エンジンのピークパワーは64psと自主規制枠内なものの、ピークトルクは104Nmとムーヴ、ワゴンRのターボに対して6Nm以上のアドバンテージありだ。 ノンターボモデルもなかなかで、ライバルが軒並みピークパワー52psなのに対し、N-WGNは58ps。ピークトルクも他が60Nm程度なのに65Nmある。正直に言えば高速ではターボを選びたくなるが、それでも普通に走っている程度ではアクセルをベタ踏みにする必要はなく、十分に使えるレベル。 というか実は小沢は同じノンターボエンジンのN-BOXを所有中だが、高速で特別遅さを感じたことはナシ。それより重量が軽いN-WGNならば実用上は全く問題ないはずだ。 質だけでなく価格もライバルより高めだがってなわけで、従来にない“軽”らしからぬ上質シンプルデザインに、上質かつ滑らかな走り、クラストップの加速感を得たN-WGN。これだけでもライバル無視のホンダ新ノールック戦略が伺えるが、装備レベルも結構新しい。 今回、先進安全の「ホンダ センシング」を全車標準装備しつつ、サイドエアバッグやカーテンエアバッグも全車標準。これはライバル、ワゴンRやムーヴが取ってない戦略なのだ。ついでにホンダ センシングも結構進化していて、電動パーキングブレーキを標準装備。結果、現行N-BOXでは時速30kmまでしか対応してなかった前車追従オートクルーズが全車速対応、つまり渋滞時の完全停止が可能になった。これはオザワも体験済みだが、使ってみるとかなり便利。高速でラクチンだ。 ただしその結果、価格帯は大きく変わっていて、ライバルのワゴンRが107万円台、ムーヴが111万円台のスタートのところを、新型N-WGNは127万円台スタート。車種によっては20万円も差があるわけでこの違いは大きい。 新型N-WGNは明らかに質、価格共にライバルよりひとクラス上に行ってしまった。この部分こそが真の勝負であり、ライバルが安さ優先でこれまでの軽自動車客を中心に狙うのに対し、N-WGNはダウンサイジングユーザーも狙っている。アニキ分のN-WGN同様、リッターカークラスからの買い換えでも見劣りしない値段と品質なのだ。 問題は果たしてこれが成功するか…? なのだが、ズバリN-BOXレベルまでは無理としても、ある程度は成功するはず。なぜならそのデザイン、質、装備の良さに加え、価格も言うほど高くはない。ワゴンRも「デュアルセンサーブレーキサポート」を付けたグレードでみると結構高いし、実は一足先にフルモデルチェンジした日産デイズにおいては、最新の先進安全機能「プロパイロット」装備モデルは156万円台スタート。そう考えると、ホンダN-WGNは中身を考えると安いのである。 なによりホンダの軽が少々高めでも、シンプルで上質というテイストが広く受け入れられている今、ホンダの新ノールック戦略はありだとオザワには見て取れるのである。 スペック【 Nワゴン L ホンダセンシング(FF) 】 【 Nワゴン カスタム L ターボ ホンダセンシング 】 |
GMT+9, 2025-4-4 02:44 , Processed in 0.074537 second(s), 17 queries .
Powered by Discuz! X3.5
© 2001-2025 BiteMe.jp .