最後まで売れ続けた先代フリードホンダ「フリード」がモデルチェンジして3代目となった。初代が2008年に登場し、16年に2代目に切り替わった。 2代目はモデル末期の23年度(23年4月~24年3月)であっても7万4681台(10位)も売れて人気を保っていたが、8年ごとのスケジュールを守ってこの度刷新された。 全長4mちょっとの車体に3列シートをレイアウトするコンパクトな“箱庭”ミニバンは、道路も駐車場も狭い日本市場にぴったりなカテゴリーだが、うまく作るのが難しいのか、参入するメーカーは多くない。ライバルはトヨタ「シエンタ」。 初代シエンタが登場したのは03年と初代フリードより少し早いが、フリードは01年に登場したモビリオの後継モデルなので、その頃からこのカテゴリーはずーっとホンダ対トヨタという図式だ。一時期日産キューブにも3列シート版があったが、やがて撤退した。 >新型フリードの内外装フォトギャラリーはこちら |あわせて読みたい| >>先代 フリードの価格やスペックはこちら 大きさほぼ変わらず、3列目が広くなった新型には、いわば標準仕様のエアーとタフでワイルドなルックスが与えられたクロスターが設定された。エアーは3列シート仕様のみ、クロスターは2列シート仕様と3列シート仕様がある。 新型は若干大きくなった。全長は45mm伸びて4310mm、全幅は1695mmと5ナンバーサイズが維持されたが、これはエアーの数値であり、新設されたワイルドなルックスのクロスターだと1720mm。 全高は1755mmとスペック上は45mm高くなったが、これは新型がシャークフィン型アンテナを採用したためで、ボディ自体の高さはさほど変わらない。ちなみに2代目はルーフアンテナで、立てた状態だと新型より逆に105mm高くなる。 車体を大きくすれば車内を広くするのは簡単だが、コンパクトであることが価値なので、そのせめぎあいなのだが、2列目シートの膝前、頭上スペースは2代目と同等、3列目シートのそれらは2代目を上回る余裕が感じられた。 2列目が左右独立シートの場合の中央のウォークスルーのしやすさも確保されている。3列目シートは使わない時には折りたたんで左右に跳ね上げて格納するが、格納する位置が低くなり、直立して格納されるようになって張り出しが小さくなった。 >新型フリードの内外装フォトギャラリーはこちら |あわせて読みたい| >>先代 フリード+の価格やスペックはこちら 待望の新ハイブリッドシステム搭載モデルチェンジの主眼は動力性能、燃費性能、環境性能をアップデートするためのパワートレインの刷新だ。 現在、同社のハイブリッドシステムは2モーターのe:HEVがフィットからアコードまで幅広く採用されるが、唯一フリードのみ前世代のi-DCD(1モーター)のままだった。ホンダ車の動力性能と静粛性を一気に引き上げたe:HEVの採用によって、フリードの走行性能も一気に洗練された。 新旧ハイブリッドシステムの違いは、駆動がエンジン主導かモーター主導かの違い。エンジンを中心に駆動し、必要に応じてモーターアシストするタイプだったi-DCDから、モーター駆動が中心で、明らかにそっちのほうが効率(燃費)がよい一定速での巡航時のみエンジンが駆動するe:HEVとなって、発進加速がスムーズかつ力強くなり、加減速時の変速ショックから解放され、全域で静かになった。 e:HEVは年々進化し続けていて、後から登場するe:HEV搭載モデルほど電気自動車っぽい、つまりは静かでスムーズな走りを味わうことができる。 先日マイナーチェンジした同社のコンパクトSUVのヴェゼルに試乗してあらためてそのことを実感した。最新のフリードはたまたまモデルチェンジのタイミングのためにi-DCDから一気に最新のe:HEVを搭載することになったので、新旧モデルの体感的な進化の度合いが大きいといえる。アクセルを目いっぱい踏んだ時の動力性能は大きく変わらないが、日常的な領域では3代目のほうがはっきりと力強い。 >新型フリードの内外装フォトギャラリーはこちら |あわせて読みたい| >>先代 フリードハイブリッドの価格やスペックはこちら ガソリンタンク容量増は地味に嬉しいニュースガソリンモデルはハイブリッドモデルほど新旧での違いはないが、CVTの制御が最新のものとなった。具体的には加減速の際にステッププログラムが入り、有段のATのように変速しているかのように回転数が変化する。 本来この動きがないからCVTは効率が高いのだが、ドライバーが心地よいと感じる動きを優先させている。長年MTやATを運転してきた僕(ら世代)にはありがたいが、モーター駆動車で運転を始める世代が増えれば意味を失う技術かもしれない。 パッケージングを煮詰めることによって、ハイブリッド、ガソリンともにFWD車のみながらガソリンタンク容量が36Lから42Lへと増え、給油の頻度を減らせるのはグッドニュース。 舗装の悪い区間を新旧モデルで走行比較した際、新型のほうが明らかに乗り心地がよいと感じたのは、前輪の足まわりの可動部のフリクションを低減させたり、パワーステアリング用モーターの容量をアップしたりと、車台を流用しながらも細かく手を入れたことが理由だろう。 新しいスタイリングをまとうだけでは、この先また8年間(かどうかはわからないが)売れ続けさせるのは難しいことをホンダはちゃんとわかっている。また売れるんだろうな。 <おわり> >新型フリードの内外装フォトギャラリーはこちら |あわせて読みたい| >>先代 フリードハイブリッド+の価格やスペックはこちら |
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