第一印象はしなやかな足回りが好印象ホンダは「国内の新車販売において30年に100%電動化(うち20%がBEV/FCEV)を果たし、35年にBEV/FCEVを80%とし(残り20%がHEV)、40年にBEV/FCEVを100%とする」という野心的な目標を掲げる。仮に目標が順調に進んだとしても、その道のりにおいてHEVは当面は重要なテクノロジーだとわかる。 彼らのハイブリッドテクノロジーであるe:HEVの最新版を採用した新型「アコード」が発売された。6年後である目標の第一段階を見据え、新型はHEVのみの設定だ。 >>新型アコードのギャラリーをチェックする 試乗拠点は箱根・芦ノ湖のホテルだった。つまりワインディングロードを走ってくれというメッセージだが、アップダウンを伴う周辺の道路は、ふさわしいクルマで走らせれば最高に楽しいが、パワー不足やハンドリングの良し悪しを浮き彫りにする。 ともあれ試乗した。山道に到達する前に通る舗装の荒れた区間を走らせて低速域での乗り心地を確かめる。フロントがマクファーソン・ストラット、リアがマルチリンクのサスペンションは動きがしなやかで、剛性感のあるボディと組み合わせられることで快適な乗り心地を味わわせてくれた。よい第一印象となった。 >>アコードってどんなクルマ? 価格やスペック情報はこちら 山道でもパワフル、変速制御風のステップ加速が快感山道でパワートレインの実力を測る。2L直4ガソリンエンジンとハイブリッドシステムの組み合わせという意味では先代と同じだが、新世代のエンジンが搭載され、バッテリーの制御も進化している。最高出力147ps、最大トルク187Nmというエンジンのピーク性能は先代とほぼ変わらないが、燃焼効率のよい領域が広がって、より幅広い回転域で有効に電力を生み出すことができるようになった。 その結果、速度域を問わず、どの状態からでもアクセルペダルを踏めば十分なパワーを発揮してくれるようになった。トルクの分厚い扱いやすいパワートレインと言える。モーターの最高出力は184ps、最大トルクは335Nmだが、同等のスペックのICE(内燃機関車)よりも明らかに力強い。電動車はピークパワー、ピークトルクの数値からクルマの実際の力強さを推し量るのが難しい。 力強さの理由はエンジンの進化だけによるものではない。バッテリーの制御を変更し、経年劣化を遅らせるためにもたせていたマージンを減らし、実質的に使える電力量を増やした。それでも経年劣化を基準以内に抑えられる制御ができるようになったから採用したという。つまり新型はエンジンの発電能力が上がり、バッテリーの実質的な容量も増えたのだ。 >>新型アコードのギャラリーをチェックする その性能向上は主にハイブリッドの本懐である燃費性能向上に充てられているが、ドライバーを心地よくさせる方向にも使われている。登坂区間や高速道路への合流時など、長時間負荷がかかる場面で、あたかも有段の変速機が存在するかのようにステップ制御されるのだ。この制御はわずかに燃費効率を落とすが、HEVの一番のネガである、エンジンの回転数が上がっていないのに車速が上がっていく気持ち悪さを軽減してくれる。数日後にこの制御が入っていないオデッセイに乗ってわかったが、ここは走らせて楽しいかどうかに大きく影響する。アコードのWLTC燃費は23.8km/L。 走行性能もパッケージも優秀。最新のホンダが味わえる心地よいパワートレインのおかげでワインディングロードでのペースは自然と上がる。足まわりは硬いわけではないが、腰砕けることもなく、路面状況やスピードを問わず車両姿勢を安定させてくれる。特にリアの安定感が高く、旋回時の安心感が高い。気持ちよく走らせてくれるので、もう少しホールド性が高いシートが欲しくなった。 >>新型アコードのギャラリーをチェックする 珍しいのは、多くのPHEV車に備わるバッテリーチャージモードがHEVにもかかわらず備わる点。EV走行スイッチを長押しするとエンジンが積極的にかかって走行中にバッテリーを充電する。HEVのアコードのバッテリー容量は多くのPHEVの10~20分の1なので、すぐにバッテリーは満充電になるが、好きな時に満充電にしておくことで、エンジンをかけずに走行できる数キロをつくりだすことができる。ま、エンジンがかかっていてもさほどうるさくないクルマではあるのだが。 新型は全長4975mm、全幅1860mm、全高1450mm、ホイールベース2830mmと堂々たるサイズだ。リアシートに座ると膝前に広大なスペースが確保され、居心地がいい。さらにトランクスペースは左右幅、奥行きともに余裕があり、ゴルフバッグだろうとスーツケースだろうと入れ放題だ。ホンダセンシング360の最新版が備わっており、市販車最高レベルの先進安全装備が備わる。 >>クルマで“Google”使えます。新型アコードは「自分好みにカスタマイズ」が楽しいかも 開発陣も認めていたが、日本におけるセダン人気は低迷しており、ほぼオワコンだ。たとえ満点のセダンを販売しても販売ランキングの上位にくるとは想像しにくい。けれどもアコードはグローバルモデルであり、ホンダにとってシビックと並ぶビッグネームでもあって、ディスコンにしたり手を抜いたりすることは許されない。そして今回アコードに採用された最新のe:HEVは今後他のモデルにも展開されるはずだ。最新のホンダを味わうことができるのが新型アコードだ。 >>アコードってどんなクルマ? 価格やスペック情報はこちら (終わり) |
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