セレナは本当にミニバン販売ナンバーワンなのか?2024年度上半期(2024年4月~9月累計)の国内販売において、「セレナ」が3万9637台を販売し、2023年度下半期に続き、ミニバン販売台数ナンバーワンになったと日産が発表しています。ちなみに、日産は「定員6名以上の国産車」をミニバンと定義して独自に集計した結果がセレナの販売トップとしています。 たしかに、同時期におけるスライドドア車の販売台数を自販連のデータから抜き出してみると次のようになっています(順位は登録車全体における数値)。 3位|トヨタ シエンタ 5万8645台 >>ノアヴォク、セレナ、アルファード…人気の国産ミニバンの公式画像集へ この中で、ルーミーは2列シートで5名乗車仕様しかラインナップしかなく、シエンタやフリードも2列シート仕様がそれなりのボリュームで存在するため、純粋にスライドドアで6名以上の乗車定員(≒3列シート)となると、セレナがナンバーワンなのは間違いなさそうです。 しかし、ほとんどのハードウェアを共有する姉妹車「ノア/ヴォクシー」を合計すればスライドドア車全体のトップとなる約7万台となります。 そこであらためて、Mクラスミニバンカテゴリーの実質的なランキングを整理すると以下のようになります。 1位|ノア/ヴォクシー 6万9383台 じつはセレナと「ステップワゴン」を足しても、ノア/ヴォクシーに届かないほどトヨタのMクラスミニバンは圧倒的なのでした。さらに、キング・オブ・ミニバンの「アルファード」もセレナに肉薄する売れ行きです。 |あわせて読みたい| 販売台数で4台の実力を判断することはできないおそらく、この4モデルを比較試乗してみれば、ミニバンとしての使い勝手に多少の違いはあっても出来映えは甲乙つけがたいもので、これほど販売台数に差がつくとは予想できないと思います。ではなぜ、これほどの差がついているのでしょうか? スペック上で大きく印象が異なっているのは燃費性能です。 ノア/ヴォクシーでもっとも燃費が良いのは1.8LハイブリッドのFF車になりますが、その燃費性能はWLTCモードで23.0km/Lです。 一方、セレナは1.4Lエンジンのe-POWER(ハイブリッド)を搭載していますが、WLTCモード燃費は18.4~20.6km/L。人気グレード「ハイウェイスター」の燃費性能は19.3km/Lとなっています。そしてステップワゴンは2.0Lエンジンのe:HEV(ハイブリッド)でWLTCモード燃費は19.5~20.0km/Lです。 モード燃費がどこまでリアルワールドに近いかといえば疑問もありますが、それでも数字の違いは“燃費性能の差”として検討ユーザーにアピールするはずです。実走行ではわずかな差ともいえますが、購入時に横並びで比べると、トヨタのハイブリッドを選びたくなるのは自然な感情といえるでしょう。 しかも価格帯も感覚的にはかなり違って見えます。以下、それぞれハイブリッドのFF車の価格帯を並べてみます。 ■ハイブリッドFFの価格帯 いかがでしょうか、第一印象ではスタート価格が最も安いノア/ヴォクシーがリーズナブルに見えるのではないでしょうか。 >>ノアヴォク、セレナ、アルファード…人気の国産ミニバンの公式画像集へ |あわせて読みたい| 燃費や価格に加えスタイリングやブランド力も影響ちなみに、いずれのモデルもより買いやすい価格のガソリンエンジン車を設定しています。ノア/ヴォクシーとセレナはそれぞれ2.0L自然吸気エンジン、ステップワゴンは1.5L VTECターボエンジンとなっています。こちらもWLTCモードの燃費性能ではノア/ヴォクシーが優勢です。しかも価格帯も次のようになっていて、やはりノアのコスパが高く見えるかもしれません。 ■ガソリンエンジンFFの価格帯 しかしながら、ノアより価格帯が上のヴォクシーのほうが売れていますし、通称名別でいえば冒頭でも紹介したようにセレナがもっとも人気を集めているのは事実です。 結局のところ、Mクラスミニバンは燃費や車両価格といった経済性だけで選ばれているのではなく、スタイリングやブランド力が商品性の大きな部分を占めているといえるでしょう。そうでなければ、実質的には姉妹車のノア/ヴォクシーにおいて、やや価格帯が上のヴォクシーのほうが売れている理由を説明できません。 「カッコよさ」や「良いモノ感」というのはかなり感覚的なもので、スタイリングの要素を単純化して、どの部分が「カッコよい」と断定するのは難しい面もあるわけです。 ただ、ヴォクシーとセレナに共通しているカッコよさの要因として、大きなフロントグリルの横に多灯タイプのヘッドライトを配している点は注目すべきポイントかもしれません。 >>ノアヴォク、セレナ、アルファード…人気の国産ミニバンの公式画像集へ この4モデルの顔を並べてみると、ステップワゴンが圧倒的にオーソドックスに見えます。つまり、いまのMクラスミニバンでは未来的に攻めたデザインのヘッドライトをもつフロントマスクが人気の秘訣といえるのかもしれません。 (終わり) |あわせて読みたい| <写真:トヨタ、日産、ホンダ> |
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