10ベストの選外となった2台のクラウン日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会は2024年11月6日、「日本カー・オブ・ザ・イヤー 2024-2025」の一次選考をおこない、ノミネートされた31台のなかから大賞を授与する可能性がある10台(10ベストカー)を発表しました。 昨年度の大賞に輝いた「プリウス」に続いて2連覇を目指すトヨタからは、2024年4月に発売された「ランドクルーザー250」が選ばれました。 一方、ランドクルーザー250とともにノミネートされていた「クラウン(スポーツ)」と「クラウン(セダン)」については選外となっています。 >>クラウンの各モデルやランドクルーザーの公式画像へ 日本を代表する1台であるクラウンですが、意外にもこれまで日本カー・オブ・ザ・イヤーの大賞を受賞したことがありません。 しかし、2014年に発売された14代目、2018年に発売された15代目、そして2022年に発売されたクラウン(クロスオーバー)はすべて10ベストカーに選ばれており、賞レースにおいてたしかな存在感を放ってきました。 今回の“10ベスト落ち”は、クラウンの凋落を示す実例のひとつと言えるのでしょうか? |あわせて読みたい| クラウンシリーズが選ばれなかった理由この結果について、ある業界関係者は次のように分析します。 「今回、トヨタからノミネートされたのは、『ランドクルーザー70』『ランドクルーザー250』、そして『クラウン(スポーツ)』と『クラウン(セダン)』の4台です。 >>クラウンの各モデルやランドクルーザーの公式画像へ 日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考対象となるためには、前年の11月1日から当年の10月31日までに日本国内で発表または発売されていなければなりません。 たしかに、この4台はすべてその条件を満たしてはいます。ただ、クラウン(スポーツ)とクラウン(セダン)の発売は2023年11月であるため、心情的には『今年のクルマ』と呼びづらいことが票を落とす一因になったかもしれません。 また、過去の10ベストカーの例を見ると、コンセプトや機構面における新規性が重視される傾向があります。 その点で見ると、クラウン(スポーツ)はともかく、クラウン(セダン)は既存のコンセプトや機構を踏襲している部分も多く、新規性が薄いと言わざるを得ません。 同じ理由で、基本設計が80年代のランドクルーザー70も得票を得にくかったものと推測されます。 こうした点を総合すると、ランドクルーザー250に票が集まるのは必然だったのかもしれません」 |あわせて読みたい| 「クラウン」がサブブランド化したことも一因か一方、前出のある業界関係者は「クラウンというモデル自体が変化していることも大きな要因となっている」と指摘します。 「国産高級セダンの代名詞的存在であったクラウンですが、2022年に登場した現行モデルからは、クロスオーバー/スポーツ/セダン/エステートという4つのボディタイプからなるモデル群へと生まれ変わりました。 過去のクラウンにも『アスリート』と『ロイヤルサルーン』といったバリエーションがありましたが、それらはあくまで仕様が異なるだけであり、基本的には『同じクルマ』と呼んで差し支えないものでした。 しかし、新たなクラウンシリーズは『同じクルマ』と呼ぶには少々無理があるほど、それぞれ大きく異なるモデルとなっています。 その背景には、ユーザーの嗜好の多様化、輸入車、そしてレクサスの台頭による『トヨタの高級車』の位置付けの変化などがあります。 それらの結果として、これからのクラウンは『(大衆車ブランドにおける)あこがれのクルマの名前』という抽象的なアイコンになっていくものと考えられます。 クラウンの大胆な変化に対して賛否両論はあるものの、日本自動車史上に燦然と輝くビッグネームの系譜を継ぐことと、現代のユーザーのニーズを満たすことを両立させる方法として、『クラウン』の名称をサブブランド化するのは非常に合理的です。 ただ、日本カー・オブ・ザ・イヤーはあくまでも『今年の1台』を選ぶものです。 クラウン(スポーツ)やクラウン(セダン)は、どちらも『あこがれのクルマ』のひとつの形ではありますが、単独で多くのユーザーのニーズを満たすようには企画されていません。 2つのクラウンが10ベストカーの選外となったのには、こういった要因もあるものと思われます」 >>クラウンの各モデルやランドクルーザーの公式画像へ |あわせて読みたい| 来年の選考ではクラウンエステートの評価にも注目今回発表された10ベストカーを見ると、10台中6台が海外からの輸入車(うち2台は国産ブランドの逆輸入モデル)となるなど、一昔前とはやや異なる顔ぶれとなっています。また、中国車や韓国車が10ベストカーに選ばれているのも特徴です。 クラウン(スポーツ)とクラウン(セダン)が10ベストカーに選ばれなかったことは、カー・オブ・ザ・イヤーの選考基準とクラウンのブランド戦略の相性によるところが大きく、必ずしもクラウンというモデルの凋落を示しているわけではありません。 ただ、目まぐるしく変化する昨今の自動車業界では、クラウンほどのビッグネームであっても安泰ではないことは確かです。 一方、2025年にはクラウンシリーズ最後の一角であるクラウン(エステート)が発売される見込みです。 次回の日本カー・オブ・ザ・イヤーでは、クラウン(エステート)が面目躍如を果たすのかにも注目が集まりそうです。 >>クラウンの各モデルやランドクルーザーの公式画像へ (終わり) (写真:トヨタ) |あわせて読みたい| |
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