ホンダ・日産の経営統合の“検討”がスタート2024年12月23日、ホンダと日産は両社が経営統合に向けた検討を開始したことを発表しました。 かねてより報じられていた両社の経営統合案について、両社より正式に発表されたかたちとなります。会見では、共同持株会社の設立を軸に両社の経営統合についての検討が進められることが明らかとなりました。 共同持株会社とは、ホンダと日産がそれぞれ出資する新会社が誕生し、既存のホンダ(本田技研工業)や日産(日産自動車)はその新会社の子会社になるというものです。 そのため、一方の企業がもう一方の株式を取得するいわゆる「合併(吸収合併)」とは異なり、それぞれの法人格が残ることが大きな特徴です。 そのため、経営統合する両社はあくまで対等な関係であることが前提となります。 >>経営統合は成功なるか? 会見の様子を写真でチェックする ◎あわせて読みたい: 三部社長が漏らした「難しいな……」の真意一方、今回の経営統合は「ホンダによる日産の救済」という見方が強いことは、すでに多くの場所で指摘されている通りです。 実際、2024年上期の決算では日産が大幅な減収減益となったのに対し、ホンダは増収増益となっています。また、時価総額で見ても、現時点ではホンダが日産を上回っています。 そのような中、会見後の質疑応答では「こいつと一緒にやっていきたい、ここに惚れたという部分は?」という記者からの質問に対し、ホンダの三部敏宏社長が「難しいな……」と言葉を詰まらせるシーンがありました。 恐らく、あくまで対等な関係であるはずの日産に対して「上から目線」のような質問が飛んできたために「(適切な回答をすることが)難しいな…」という意味だったのかもしれません。 ただ、この部分はインターネット上でまたたく間に拡散し、多くのユーザーが「ホンダは日産と経営統合することにメリットを感じていない」という文脈で捉えられてしまいました。 >>経営統合は成功なるか? 会見の様子を写真でチェックする ◎あわせて読みたい: 日産を救済する余裕がいまのホンダにあるのかこの点について、ある業界関係者は次のように話します。 「『難しいな……』という部分についての三部社長の真意は不明ですが、少なくともホンダには日産を『救済』するほどの余裕はないと思います。一見すると好調に見えるホンダですが、四輪部門の利益率はかなり苦戦をしています。 また、今後シェアが伸びていくことが確実視されているBEVについて、重要市場である北米、欧州、そして中国で存在感を示せていないのが実情です。 その背景にあるのは、やはり中国系自動車メーカーの台頭です。 例えば、BYDは2024年の世界新車販売台数がホンダと日産を超える見込みです。 かつては日本車が高いシェアを誇っていた中国南部や東南アジアでも、中国系自動車メーカーのシェアが急速に伸びていることを考えると、ホンダとしても『次の一手』を求めていた部分はあるのではないでしょうか。 恐らく、両社の経営統合の絵図を描いたのはホンダではないと思います。ただ、経営統合案がひとつの選択肢として浮上した中で、ホンダとしてもそれを受け入れるメリットはあると判断したと私は見ています」 >>経営統合は成功なるか? 会見の様子を写真でチェックする ◎あわせて読みたい: 「経営統合」を成功させるしかない現実一方、前出のある業界関係者は「このままスムーズに経営統合が進むとは思えない」とした上で、次のように続けます。 「言うまでもないことですが、大企業の経営統合は簡単ではありません。 例えば、自動車メーカーのように多くの従業員を抱える企業同士の経営統合の場合、それぞれの従業員同士の関係が非常にデリケートなものとなります。 特に、多くの人々が『ホンダによる日産の救済』というイメージを抱いている今回のケースでは、経営陣がいくら対等な関係をアピールしたところで、従業員の間に上下関係のようなものが出てしまうことは避けられません。 経営上のメリットがあることはもちろん重要ですが、従業員同士の感情についても十分にケアしないとこの経営統合は上手くいかないと思います。 ただ、ホンダ、日産、そして日本の自動車産業にとっては、どれだけ苦難の道のりであったとしても、経営統合を成功させなければならないのは確かです。 それぞれ思うところはあるかもしれませんが、『やるしかない』という気持ちで、なんとしても経営統合を成功させてもらいたいですね」 >>経営統合は成功なるか? 会見の様子を写真でチェックする ◎あわせて読みたい: 鍵を握る三菱の存在今回の会見には三菱の加藤隆雄社長も出席し、ホンダと日産の経営統合に三菱が参画する可能性があることを示しました。 前出のある業界関係者は次のように話します。 「今回の会見ではやや控えめな立ち位置だった三菱ですが、もし3社によるアライアンスが成立した場合、三菱の持つ役割はかなり大きいと思います。 具体的には、PHEVのノウハウを持っている点、そして東南アジアを中心とする新興国で大きなシェアを持っている点は、ホンダや日産にはない三菱の強みです。こうした強みをうまく活かすことができれば、3社のアライアンスが魅力的なものになることは間違いありません。 とはいえ、現時点ではアライアンスの話自体が消滅する可能性が全くないわけではありません。この件について今後さまざまな報道がなされると思いますが、まずは冷静になることが大切です」。 (終わり) >>経営統合は成功なるか? 会見の様子を写真でチェックする ◎あわせて読みたい: |
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