“10ベスト圏外”にも見どころのあるクルマは多い2024年12月5日、「第45回 2024ー2025 日本カー・オブ・ザ・イヤー」の結果が発表されました。ご存じのように2024年のイヤーカーはホンダ「フリード」が選ばれています。 ◎あわせて読みたい: 5ナンバーサイズを基本としたコンパクトなボディ、スライドドアの使いやすいミニバンが選ばれたことは庶民的に共感できるというユーザーも多いのではないでしょうか。 それはともかく、日本カー・オブ・ザ・イヤーは基本的に対象年(前年11月1日~当年10月30日)までに国内で発表・発売された一般ユーザー向けのモデルが選考対象となります。 2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤーでは31台が対象としてノミネートされ、そこから「10ベスト」として10台に絞られ、その10台からイヤーカーを選ぶというフローになっています。 つまりノミネートされても10ベストにさえ残れなかったモデルが21台も存在しているわけです。そうしたモデルたちはハズレなのかというと、そんなことはないはず。 そこで、あらゆる賞レースとまったく関係のない筆者の立場から「なぜ10ベストにさえ残らなかったのか不思議でならない」モデルを独断と偏見で5台チョイスしてみました。 賛否両論あるでしょうが、2024年の新車市場を振り返るきっかけにしていただければ幸いです。 >>“10ベスト圏外”だった「いいクルマ」を写真でチェックする ◎あわせて読みたい: #カー・オブ・ザ・イヤー #フリード #クロスター #新型 #評価 LMやクラウンは高級車像の変質を象徴している最初に紹介するのは、レクサス「LM」です。トヨタ「アルファード」によってミニバンを役員車などのショーファーカーとして活用することは当たり前になりました。 かつてLLクラスのミニバンは「高価格車ではあるけれど、高級車ではない」と批判的に評価されることもありましたが、時代は完全に変わりました。いまやLLクラスのミニバンこそVIPがリアに座る高級車のあるべき姿であって、ステータスシンボルとなっています。 そうした変化を象徴するのが、トヨタのプレミアムブランド「レクサス」から登場したスライドドア車「LM」であることは間違いありません。クルマ社会の変化やトレンドを重視するのであればレクサスLMこそ2024年を代表するモデルとしてふさわしいと思うのです。 ◎あわせて読みたい: >>“10ベスト圏外”だった「いいクルマ」を写真でチェックする 同時に、日本における高級車の象徴として長年ポジションを確立してきたトヨタ「クラウン」の変質も、そうしたトレンドの変化を示しています。 たとえば、2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤーには「クラウン(セダン)」と「クラウン(スポーツ)」がノミネートされていましたが、いずれも10ベストに選ばれることはありませんでした。 そして、ハッチバックボディのクラウン(スポーツ)については、明るいレッドをイメージカラーとするなどクラウンらしからぬ部分があり「違う名前でよかったのでは?」という声もあるようです。 たしかにリアシートは広いわけではありませんし、スタイリングもクロスオーバーSUV~ホットハッチといったイメージで、クラウンの要素は感じづらいかもしれません。 しかしながら、クラウン(スポーツ)のハイブリッドモデルの運転席に座ると、クラウンオーナーにはおなじみの装備が助手席の側面に確認できます。そうです、助手席のリクライニングやスライドの電動調整スイッチが、クラウン伝統のポジションに残っています。外から見ていると「クラウンらしくない」と思うかもしれませんが、クラウンオーナーが乗り換えると「おお、これはクラウンだ」と感じる作り込みがされています。 そして、クラウン(スポーツ)のような、クラウンオーナーに向けた新しい選択肢が生まれた背景には、前述したLMのような高級スライドドア車がが受け入れられるようになった影響も無視できません。高級車のカタチが変化していく中で、パーソナルユースでクラウンを選んできたようなオーナー層へ向けた新提案が必要になったと言えます。 その意味で、LMとクラウン(スポーツ)が同じタイミングで登場したことはセットで理解したほうが良い、注目すべき動向なのかもしれません。 ◎あわせて読みたい: クルマのIT化や、高級車像の大衆化も始まっているさて、2024-2025のイヤーカーとなるフリードを生み出したホンダからは、伝統的モデルである「アコード」もノミネートされていました。 グローバルサイズの堂々としたボディをもつオーソドックスな4ドアサルーンを、2.0Lハイブリッドで走らせるメカニズム自体に目新しさはなく、10ベストに残れなかったのは順当である……という見方もあるでしょうが、アコードには注目すべき機能が搭載されています。 それが「Googleビルトイン」です。国内向けのホンダ車として初めて搭載された同機能は、Googleマップなどのアプリをネイティブに利用できるだけでなく、Googleアシスタントによって様々な音声操作が可能になっています。 たとえばシートヒーターのオン・オフもGoogleアシスタントによって操作できるほどで、2020年代におけるクルマとのパートナー感を高めるモデルとして、注目すべきではないでしょうか。 ◎あわせて読みたい: >>“10ベスト圏外”だった「いいクルマ」を写真でチェックする 2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤーでは10ベストに選ばれた「フロンクス」のほか、巷で高評価の「スイフト」もローンチするなど勢いのある高いスズキですが、スーパーハイト軽自動車「スペーシア」シリーズもノミネートされていました。 このクラスではホンダ「N-BOX」という絶対王者が君臨しているのですが、2024年5月には単月の統計データながらN-BOXを超えたこともあるほどトップに肉薄しているのが、スペーシアです。 そのストロングポイントは、軽量ボディ&マイルドハイブリッドによる経済性の高さもありますが、ユーザーへの提案としては後席に採用された「マルチユースフラップ」が一番の注目でしょう。 荷物を固定するモード、実質的に座面を伸ばして乗員の体型にアジャストするという2つのモードは運転中に役立ちます。フラップを目一杯伸ばしたオットマンモードは駐車時に脚を伸ばして休めるもので、軽自動車とは思えない快適な休憩空間を生み出してくれます。 車格としては真逆ですが、冒頭で紹介したLMのような高級ミニバンが出てきた影響で、軽自動車のスペーシアでもオットマンモードが利用できようになってきたことは、ホテルや飛行機のビジネスクラスのような快適さを追求する高級ミニバン的な価値観の大衆化が始まっていると見ることもできそうです。 ◎あわせて読みたい: ラストは「なぜ10ベストに選ばれないの?」という1台最後に、筆者がもっとも「なぜ10ベストに選ばれないの?」と感じたモデルを紹介しましょう。それがヒョンデ「コナ」です。 日本ではBEV専業ブランドとして展開しているヒョンデからはハイパフォーマンスBEVの「アイオニック5 N」が10ベストに選ばれていました。 しかし、価格的に身近で、なおかつBEVらしいグリルレスのスタイリングを実現したコナのほうが庶民的には“新しさ”を実感できるモデルであろうと思います。 BEVとしての使いやすさでもコナは見逃せないポイントがあります。普段は自宅の普通充電で運用していても、遠出のときにはサービスエリアなどで急速充電器を利用することもあるでしょう。日本での整備状況を見る限り、急速充電ポートはフロントにある方が使いやすいのです。 「アイオニック5」がリアフェンダーに急速充電ポートを配置しているのに対して、コナはフロントグリルの部分に置いています。その使いやすさと、ルックスへの悪影響を抑えたスタイリングの提案は、もう少し評価されて良かったように思います。 (終わり) >>“10ベスト圏外”だった「いいクルマ」を写真でチェックする ◎あわせて読みたい: |
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