トヨタブランドでは異例の1000万円超えに2024年12月20日に追加設定されたトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」のPHEV(プラグインハイブリッド車)の本体価格が、ついに1000万円の壁を超えた……と注目を集めています。 >>フォトギャラリーを見る 正確にはアルファードPHEVの本体価格が1065万円、ヴェルファイアPHEVのそれが1085万円。トヨタ伝統の高級車といえばクラウンですが、現行クラウンシリーズで最高額となるクラウンセダン(FCEV|水素燃料電池車)ですら830万円ですから、いかにアルファード/ヴェルファイア(以下、アルヴェル)のPHEVが高額かが分かります。そして、別格の「センチュリー」(セダンが2008万円~)を例外とすれは、国内のトヨタブランド車では初の大台=1000万円カーということにもなります。 実は“割高感”もあるアルヴェルPHEVアルヴェルPHEVのパワートレインは、2.5リッターエンジンと前後2つの電動モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドで、「ハリアー」や「RAV4」、「クラウンスポーツ」のPHEVモデルに搭載されるものと基本的に共通。搭載されるエンジンや前後モーターのスペック、また18.1kWhというリチウムイオン電池の総電力量(アルヴェルPHEVのみ少しだけ小さい約16kWh)もすべて同等です。 ただ、ハリアーやRAV4ではPHEVとベースモデル(2.5リッターフルハイブリッド4WDの最上級モデル)の本体価格差が130万円台なのに対して、クラウンスポーツのそれは175万円の差があります。さらに、アルヴェルPHEVの本体価格にいたっては、同じ「エグゼクティブラウンジ」の2.5リッターフルハイブリッド4WDより183万円高いプライスタグを掲げています。 もっとも、アルヴェルでは、メッキモール付きのサイドマッドガードや本杢をあしらったステアリングホイール、19インチアルミホイールなどがPHEV専用装備として追加されています。 また、ハリアーやRAV4 PHEVの外部充電機能が約3kWの普通充電のみとなるのに対して、アルヴェルPHEV(やクラウンスポーツPHEV)では50kWの急速充電機能(普通充電も6kW)が追加されることは差し引く必要があるのでしょう。 ただ、たとえば先日発売されたホンダ「Nバンe」の場合は、50kWの急速充電機能を約10万円のメーカーオプションで提供していることを考えると、アルヴェルPHEVはやはり、RAV4やハリアーのそれより割高感があるのは否めません。 (次のページ|アルヴェルはなぜ“割高”なのか?) |あわせて読みたい| 強気の価格設定の背景はライバル不在の“一人勝ち”こうした強気(?)の価格設定の背景には、昨今の資材高騰に加えて、アルヴェルには、実質的にライバル不在といえる状況が影響しているのかもしれません。もちろん、アッパーミドルもしくはラージクラスのミニバンが、アルヴェル以外にも存在しないわけではなく、「ホンダ オデッセイ」や「日産 エルグランド」がそれにあたります。 しかし、昨2024年1月~12月の国内販売実績を見ると、その差は歴然としています。アルファードの2024年の年間累計販売台数が7万9374台、ヴェルファイアのそれが3万3105台となっていますが、この2台が実質的に同じクルマで、しかも今では販売網も統一されていることを考えると、2台を合計した11万2479台という数字をアルヴェルの地力として捉えるのが自然でしょう。 >>フォトギャラリーを見る 対して、同時期のオデッセイ国内累計販売台数は1万2006台で、アルヴェルのほぼ1/10にとどまります。エルグランドの国内販売台数は月間平え均で100~150台だそうですから、年間累計は多くて1500台前後と推測されます。つまり、皆さんのご想像通り、このクラスは完全なアルヴェルの一人勝ちなのです。 また、ミニバンのPHEV……という意味では、実はアルヴェルPHEVが国内初となります。アルヴェルPHEVは満充電状態で73km(WLTCモード)のEV走行が可能としており、ガレージに充電設備があれば、平日はほぼ純粋な電気自動車(EV)と同様の使いかたが可能です。また、アルヴェルは企業の役員や政治家などのVIP用の移動手段としても多く使われており、中でもPHEVは「環境に配慮しています」というアピールにもなる利点があります。 つまり、アルヴェルのようなクルマのPHEVにはさまざまなメリットがあります。しかし、ライバルのオデッセイはいわゆるフルハイブリッドのみ、エルグランドにいたっては純エンジン車しか用意がありません。 (次のページ|“意外なライバル”とは?) |あわせて読みたい| 最新3列SUVの「CX-80」が意外なライバルに前記のとおり、ミニバンのPHEVは現在アルヴェルにしか存在しませんが、VIP用の移動車、あるいは3列シートを持つPHEVということなら、昨年発売されたばかりの「マツダ CX-80」もPHEVをラインナップしています。実際、毛籠(もろ)社長を筆頭とするマツダの役員車にはCX-80(かつてはCX-8)が使われます。 >>フォトギャラリーを見る CX-80 PHEVの全長×全幅×全高=4990×1890×1710mmというスリーサイズは、全高を除けばアルヴェル(4995×1850×1945mm)と同等といっても過言ではありません。 また、2.5リッター自然吸気ガソリンエンジンを源流とするプラグインハイブリッドシステム、4WDのみという駆動方式(ただし、CX-80のそれはメカニカル)、そして18.0kWhというリチウム電池の総電力量……といった各スペックもアルヴェルPHEVに近いものがあります。また、CX-80 PHEVの満充電時のEV走行距離は67km(WLTCモード)で、この点でもアルヴェルPHEV(同じく73km)と拮抗しています。 一方、性能的には真正面からライバル関係となりそうなCX-80とアルヴェルのPHEVですが、価格には明確な差があります。CX-80 PHEVは最高級グレードの「プレミアムモダン」でも本体価格は712万2500円と、アルヴェルPHEVよりも300万円以上も安いのです。そこで、次のページではアルヴェルPHEVとCX-80 PHEV プレミアムモダンの装備内容を比較してみましょう。 (次のページ|CX-80と装備内容を比較する) |あわせて読みたい| 2&3列目の快適装備はアルヴェルPHEVの圧勝どちらも日本では高級車といわれるクルマだけに、1、2列目のシートヒーター/ベンチレーターをはじめ、ステアリングヒーター、AC1500W電源などを標準装備していますが、アルヴェルPHEVの14インチというセンターディスプレイは、CX-80の12.3インチよりも大きく、サウンドシステムのスピーカー数もCX-80よりも3個多い15個となっています。 そしてVIP用移動車としては最大の見せ所となる2列目の快適装備はアルヴェルPHEVの独壇場で、オットマンやマッサージ機能を有した「エグゼクティブラウンジシート」や14インチの後席用ディスプレイ、電動サンシェードなど、快適装備はまさに至れり尽くせり。こうした装備は、いずれもCX-80 PHEVには用意されません。 >>フォトギャラリーを見る 3列目にもUSB電源(タイプC)を備えるなど、最新の3列シーターらしい工夫も見られるCX-80 PHEVですが、2~3列目の広さや居住性ではラージクラス・ミニバンのアルヴェルPHEVに敵わないのが現実でしょう。逆にいえば、全高が低く、スライドドアなどを持たないSUVならではスタイリッシュなデザインは、ミニバンのアルヴェルPHEVがもちえぬ魅力です。 性能や豪華な装備内容から見ると、高い価格も納得のアルヴェルPHEVですが、ひとつ心配なのは最近のトヨタの人気車に共通する納期の長期化問題です。アルヴェルPHEVの正式発売はこの1月31日とされていますが、2025年1月現在のメーカー公式ウェブサイトによると、CX-80の工場荷時期めどが「全グレード1ヵ月程度」なのに対して、アルフヴェルはグレードを問わず「販売店にお問い合わせください」となっています。 ネットなどのリアルな情報によると、特にPHEVを含むエグゼクティブラウンジは台数も限られており、現在は受注を停止している店舗もあるとかで、注意が必要です。 (終わり) (写真:トヨタ、日産、ホンダ、マツダ) |あわせて読みたい| |
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