未来を前借りできなかった悲運なクルマたちあれは時代を先取りしすぎた。今だったらもっと売れたと思うけどなあ。デビューが早すぎたよ……。 かつて日本で販売されていたクルマのなかで、そう思わずにはいられないモデルってありますよね。マーケティング力の勢いで先読みしすぎちゃったというか、時代がついてこられなかったというか。今回はワタクシ自動車ライター工藤貴宏が考える「時代を先取りしすぎちゃったクルマ」を紹介しましょう。 #パジェロミニ #eKアクティブ #スカイラインクロスオーバー #プレーリー #クロスロード #ジムニーノマド #デリカミニ #フリード #三菱 #日産 #ホンダ三菱「パジェロミニ」今ならさらに爆売れ!のハズ。まずは三菱「パジェロミニ」から。 1994年末に発売されたスズキ「ジムニー」のライバルと言えたのが三菱「パジェロミニ」。1998年にはモデルチェンジして2代目も登場しました。 ジムニーのような軽自動車規格のオフローダーで、縦置きエンジンにFRベースで副変速機付きの強靭な4WDシステムを組み合わせたけっこうガチなヤツだったんです(後輪駆動モデルもあった)。 ジムニーと違ってラダーフレーム構造ではないし、サスペンションもジムニーに比べるとややオンロード寄りだったりと多少のキャラ違いはあるけれど、軽自動車としては珍しいオフローダーとして存在感は抜群。 当時ブームだった「パジェロ」の弟分としたのもよかったんじゃないでしょうかね。そして何を隠そう、販売的にはしっかりヒット。決して不人気ではありませんでした。約17年の生涯で48万台を売り、それって同じ期間のジムニーよりも多い台数なのですから。 でも……続かなかった。シャシーをはじめ専用メカニズムが多い設計を考えると、それなりの販売ボリュームがあってもあまり効率のいい商売ではなかったのかもしれません。 でも、販売終了から12年が経って周囲を見回してみると、ジムニーがバカ売れするという当時は考えられない状況。「デリカミニ」のように、パジェロのイメージを上手に生かしたデザインで新型を出せば当時よりもっともっと売れると思いませんか。 そして小型車化した「パジェロイオ」をベースとしたロングボディ5ドアバージョンを出せば、「ジムニーノマド」のように大ヒット間違いなし! というわけで、もしかするとダイハツは今こそ「テリオス」と「テリオスキッド」を復活させる絶好のタイミングかもしれませんね。ジムニー人気の立役者ともいわれている「ジムニー女子」を奪っちゃいましょう。 \あわせて読みたい/ 三菱「eKアクティブ」続いては三菱繋がりで、デリカミニの大先輩である「eKアクティブ」。でも、その車名を聞いてどんなクルマかイメージできますか?きっとできない人が多いかもしれません。超イケてるクルマだった(と思う)のですがメジャー路線にはなれませんでしたね。 デビューは2004年5月。軽自動車のハイトワゴン「eKワゴン」をベースに、アウトドアテイストに仕立てた派生モデルです。ボディ下部にグレーのガーニッシュを装着してスタイリングをラギッドに演出。ひとことでいえば「SUVスタイルのハイトワゴン」で、つまりは「デリカミニ」とかスズキ「スペーシアギア」とかダイハツ「タントファンクロス」といった、今をときめくSUV風ワゴンの先駆けと言っていいでしょう。 何よりすごいのは、eKワゴンに対して車体をリフトアップしていたこと。見た目だけじゃなくてサスペンションやタイヤも違うんだから結構凝っているんです。さすが三菱。 だけど……早すぎた。15年早かった。斬新すぎたし、時代を先取りしすぎて誰もこの感覚についてこられなかったんですよね。まさか20年後に甥っ子のデリカミニがメジャーデビューするなんて、誰も想像できなかったでしょうね。残念。 \あわせて読みたい/ 日産「スカイラインクロスオーバー」自動車メーカーは「次にどんなトレンドが来るのか?」を一生懸命考えているわけですが、時には「方向性はあっているのに、先取りしすぎた」ということも(この記事のクルマは基本的にそうですが)。 日産の「スカイラインクロスオーバー」なんて最たる例。セダン&クーペを展開していたスカイラインのシリーズとして「SUVクロスオーバー」を展開したのです。 デビューは2009年。当時はまだSUV大ブームの兆しもなく、トヨタ「ハリアー」など都会向けのラグジュアリーSUV的なモデルこそあったものの、さらに背を低くして、室内の広さも求めないクーペ的なスカイラインクロスオーバーほど斬新なモデルは国内にありませんでした。世界観は素晴らしかった……のですが、デビューが早すぎましたよね。 SUVのボリュームが格段に増えてバリエーションも広がった2025年の今なら、もっともっと売れたはず。まさか15年後にトヨタ「クラウン」から同じようなタイプのクロスオーバーが出るなんて誰が予想したでしょうか。 とにかく、ただただ時代より早すぎた…。 \あわせて読みたい/ 日産「プレーリー」先に断っておくと、このクルマは決して「不人気車」なんかじゃありません。でも、今ならもっと売れたと思うのですよ。その名は「プレーリー」。 初代デビューは1982年。4mちょっとの全長に3列シート、そして両側スライドドア。さらにいえばドアオープン時はBピラーレス構造。なんとキラキラした特徴なのでしょうか。 バブル経済絶頂期の1988年には2世代目にフルモデルチェンジ。車体が大きくなったものの、全長は約4.3mだから今の基準でいえば十分にコンパクトです。 なにが言いたいかといえば、これが日本における昨今の超人気ジャンルであり、今の日産に求められている「5ナンバーコンパクトミニバン」だということ。 プレーリーはそこから幾度か改名して最後は「ラフェスタ」としてお星さまになってしまったわけですが、今こそ復活すべきじゃないでしょうかね。4.3mほどの全長で背の高いパッケージングにすれば、ホンダ「フリード」やトヨタ「シエンタ」のライバルに相当するというわけです。 それにしても、2代目前期型(「プレーリージョイ」になる前)の丸みを帯びたフォルムは今でも通用しそうな秀逸なデザインじゃないですか?相当イケてたと思うんですけどね(あくまで筆者の感想)。 \あわせて読みたい/ ホンダ「クロスロード」最後にピックアップしたのは、こういう企画をやるたびに登場する“時代を先取りしすぎたクルマ”のナンバーワン。今なら絶対に大ヒット確実のホンダ「クロスロード」です。 といっても、ランドローバー「ディスカバリー」のOEMモデルのことじゃありません(実はホンダディーラーでランドローバーが買えた時代があったのですよ!)。2007年に登場した、ホンダ自身が開発したコンパクトSUVです。 クロスロードのどこが凄いか。まず、今の新車市場の中心的存在となっている「コンパクトSUV」だということ。2代目の全長はわずか4.3m。これだけで今ならヒット街道への最短ルートみたいなものです。 しかも、そんなコンパクトボディにもかかわらず3列シート。SUVでも3列のシートを持つのはやっぱりポイント高いです。 加えて、当時は口の悪い人からハマー「H4」なんていわれた定規だけでデザインできそうなカクカクボディも、ジムニーがこれだけファンを引き付ける今なら大いにアリ。売れない要素が見当たらないんですよ、2025年ならば。 そんなクロスロードは絶不調すぎて、わずか4年弱で裏道へ逸れてしまったのですが、とにもかくにもホンダは早すぎたんです。あと15年待てばよかったのに……! えっ⁉いま新車で販売しているクルマのなかで“時代が早すぎたクルマ”はどれかって? そんなこと言えるわけありませんってば。だって、こういうのは後出しじゃんけんで決めることなのですから。 (終わり) (写真:トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、ダイハツ、三菱) \あわせて読みたい/ |
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