レヴォーグ レイバックを“生きた道”で確かめるスバルのクロスオーバーSUV「レヴォーグ レイバック」に一般公道で試乗した。 発売時に行われた試乗会ではクローズド状態の山坂道しか走ることができなかったわけだが、今回、そのへんの幹線道路や高速道路などをごく普通に走ってみての印象は「やはりこの車の乗り心地は『ちょっとおかしいのではないか?』と思えるほど良好である」というものだった。 乗り心地の良さに関して、レヴォーグ レイバックは間違いなくクラストップレベルである。本当に素晴らしい。だが同時に「……これを買う人の数は、そう多くはないのかもしれないな」と思わせるものもあった。 ご承知のとおりレヴォーグ レイバックとは、ステーションワゴンである現行型スバル「レヴォーグ」をベースとするクロスオーバーSUV。 具体的にはレヴォーグの最低地上高を200mmに高めたうえで、サスペンションや電動パワーステアリングシステムなどに専用セッティングを実施。そして専用のエクステリアも与えたというモデルだ。 なおベース車両であるレヴォーグには1.8Lターボと2.4Lターボという2種類のパワーユニットが用意されているが、レイバックは最高出力177ps/最大トルク300Nmの1.8Lターボのみになる。 >>スバル レヴォーグ レイバックの内外装をフォトギャラリーでチェック |あわせて読みたい| 電子制御ダンパーを超える乗り心地の良さで、ごく普通の幹線道路および高速道路を40~120km/hほどの速度で走行する際のレヴォーグ レイバックは「ほぼ魔法のじゅうたん」だ。 路面に大きめなうねりや段差などがあったとしても気づかないぐらい――と言ってしまうとやや大げさだが、事実はそれに近い。うねりも段差も「なかったこと」にして、レイバックはひたすらスムーズかつフラットに進み続けるのである。 この不思議な感触は、もちろんそっくりそのままではないものの、過去に試乗したベントレーの「ベンテイガ」というプレミアムSUVに近い。 ……あちらはざっくり3000万円級の超高額SUVであり、こちらはざっくり400万円弱のお買い得クロスオーバーSUVだ。だからこそ筆者は「この乗り心地は、さすがにちょっとおかしいのではないか?」と思ってしまうのである。 筆者は電子制御ダンパーが採用されているレヴォーグに日頃乗っているが、その電子制御ダンパーを「コンフォート」にした際よりも、レヴォーグ レイバックの非電子制御ダンパーのほうが「イイ!」と感じる。 >>スバル レヴォーグ レイバックの内外装をフォトギャラリーでチェック |あわせて読みたい| ほどほどなエンジンパワーがちょうどいいそして乗り心地がきわめて良好というかジェントルであるため、パワーユニットは1.8Lターボで十分であるとも感じる。このジェントルな世界観に、2.4Lターボの怒涛のパワー&トルクはいささか似合わないのだ。 筆者は電子制御ダンパーを採用するレヴォーグを2台乗り継いだことで「電子制御サス最高!」という感じの“電制信者”になっていたのだが、これは考えが浅かったとしか言いようがない。 スバルのエンジニア氏に確認したところによれば、「『後からいろいろ調整できるから、電子制御サスはそもそものセッティングが雑になる』ということはもちろんありません。しかし、関連するすべての要素を詰めに詰めまくって『その車にとっての固有のベスト』まで持っていけた非電子制御の足回りは、決して電子制御サスに劣るものではないのです」ということだった。 筆者は自動車工学の細部について無知な人間だが、エンジニア氏の言うことはよくわかる。いやわかるというか、感じる。 詰めに詰めまくられたレヴォーグ レイバックの足回りは、ことコンフォート性においては確かに「レヴォーグSTI Sport」および「STI Sport R」以上だったのだ。 >>スバル レヴォーグ レイバックの内外装をフォトギャラリーでチェック |あわせて読みたい| 気になるのは燃費とデザインということで、魔法のじゅうたんあるいはベントレーのように(?)乗り心地が良く、1.8Lターボエンジンのパワー感も十分で、CVTにもCVTっぽさはあまりなく、そして400万円を切る車両価格であるにもかかわらず「ハーマンカードンサウンドシステム」も「アイサイトX」も標準装備となるレヴォーグ レイバック リミテッド EXは、ただただひたすらお買い得で素晴らしいクロスオーバーSUVなので、みなさんぜひ買いましょう! ……という感じで原稿を締めたい気持ちはあるのだが、そうもいかない事情はある。ひとつは「燃費」だ。 レヴォーグ レイバックのライバルと目されるSUVのWLTCモード燃費は、例えばトヨタ「ハリアー」のハイブリッド車(4WD)は21.6km/Lであり、ホンダ「ZR-V e:HEV 4WD」は21.5km/L。 それに対してレヴォーグ レイバックは13.6km/L。いささかというか「かなり見劣りする」と言って差し支えない数値だ。これと同じエンジンを積んでいるレヴォーグに乗っていた経験から言うと、実燃費は(東京都内在住の場合)10~12km/Lぐらいになるだろうか。 そして――これはもちろん人それぞれの主観に基づく話でしかないが、少なくとも筆者は、レイバックのエクステリアデザインは野暮ったいと感じる。 スバルはこの車を「スバル車特有の“土の匂い”が少ない都会派クロスオーバーSUV」にしたかったそうだが、個人的にはむしろ土の匂いを突き詰めて強調したほうが、近年の都市部住人には逆に刺さる一台になったのではないかと思う。 とはいえ、以上2つの欠点(?)を補って余りあるほどの魅力がレヴォーグ レイバックにはあると、筆者は判断している。しかし「あなた」がどう判断するかはわからない。 こればっかりはご自身で試乗し、ご自身の価値観や美意識、あるいはおサイフの状況などに基づいて判断するしかないのだ。 だがひとつだけ確実に言えるのは、「この変態的なまでに良好な乗り心地は、一度でいいからぜひ体感してみてほしい!」ということだ。 >>スバル レヴォーグ レイバックの内外装をフォトギャラリーでチェック (おわり) |あわせて読みたい| |
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