新車名ルールでA4内燃機関モデルはA5へ統合アウディ ジャパンは2025年2月、新しくなった「A5」「A5アバント」シリーズを発売しました。 A5は、Dセグメントセダン「A4」をベースに開発された2ドアクーペとして2007年にデビューし、今回のモデルチェンジで3世代目となります。 アウディは2024年に行った車名規則の変更で、内燃機関搭載車に奇数のモデルナンバーを、EV(電気自動車)に偶数を与えるとアナウンス。つまり、「A5」はエンジンを搭載していることを意味し、エンジンつきの旧「A4」も統合したシリーズ名となります。 今回デビューする3代目A5では残念なことに、クーペとカブリオレボディが廃止となりました。ですがセダンタイプの「A5」も、ステーションワゴンの「A5アバント」も、そのスタイルは「さすがは最新のA5だね」といった流麗さ。 「やっぱアウディっておしゃれカッコいいな」と素直に褒め称えたくなるプロポーションで、気になるお値段は599~681万円(セダン)、624万円~706万円(アバント)となります。 「PPC(プレミアムプラットフォームコンバッション)」と呼ばれる、やたらと長い名前の内燃機関車用プラットフォームを初めて採用するなど、メカニズム面の進化も大いに気になるところですが、やはり「A5」シリーズといえばエクステリアの美しさに目を奪われます。 今回はアウディがこれまで培ってきた、A5のデザイン性について考察したいと思います。 >>この記事のフォトギャラリーはこちら \あわせて読みたい/ A6のフェイスデザインを一新したのは日本人デザイナーA5の歴史を語るうえで欠かせない存在なのが、工業デザイナーの和田智氏。和田氏は日産で初代セフィーロなどのエクステリアデザインを手がけ日本のカーデザイン界隈に新風を吹き込んだと思いきや、直後の1998年にアウディに移籍。 アウディに躍進のきっかけを与えることとなる「A6」のフェイスデザインに、いまでこそアウディすべてのラインアップが採用し、その代名詞ともなった「シングルフレームグリル」を採用して一躍注目を集めました。 2000年代初頭までのアウディといえば、「中身はイイけど優雅とはいえない」という、やぼったいイメージもありました。 「むしろそこがいい」と、ドイツの合理性を愛する車好きを魅了していたわけですが、ハイブランドで身を包むような人々はBMWやメルセデスを選んでおり、そういった層にアウディは“まだ見つかっていなかった”状態だと記憶しています。 アウディもただ手をこまねいていたわけではなく、BMWの3シリーズやメルセデスのCLKクラスに対抗するため、スポーティかつスタイリッシュなクーペの開発に力を入れていました。 その証拠にアウディは先述の和田氏だけでなく、デザイン部門のトップにイタリア出身のデザイナーで、アルファロメオの伝説的名車「156」をシェイプしたことでも知られているワルター・デ・シルヴァを招聘。 「156」といえば、逆三角形の「盾型グリル」。BMWの「キドニーグリル」やメルセデスの「パナメリカーナグリル」などを引き合いに出すまでもなく、グリルのデザインは自動車ブランドの文字通り“顔”でもあります。 そしてグリルはデザイン面だけでなく、アウトバーンなど高速走行が当たり前の欧州では、合理的な理由でそのデザイン性が重視されていました。 その理由とは「速いクルマが迫ってきたらすみやかに道を譲らないと突っ込まれるから」なのだとか。 >>この記事のフォトギャラリーはこちら \あわせて読みたい/ おしゃれ富裕層がアウディを“発見”したのは2004年ごろ?100km/hで走っていても、300km/hで迫られたら速度差は200km。ミラーに映るはるか後方を走る米粒大のスポーツカーが、たった数秒で背後に迫ってくるわけですから穏やかではないわけです。 そんな事情をどこまでアウディが汲み取ったのかは謎ですが、2004年に和田氏はA6(3代目)に上下に大きく開いたフロントの開口部を一つのフレーム内に収めた「シングルフレームグリル」を与え世に出します。 町中でアウディをよく見かけるようになったのがちょうどそのころだと思いますが、現在のアウディの全ラインアップだけでなく、トヨタの14代目「クラウン」が大型のグリルを採用したことからもわかるように、シングルフレームグリルはフェイスデザインの大きなトレンドにまで到達しました。 シングルフレームグリルは当然ながら2007年にデビューした初代A5にも採用され、「私がデザインしたもっとも美しい車」とVWグループのデザイン統括をしていたシルヴァも思わず自画自賛したとのこと。 かつてのアウディは、「メルセデスやBMWはルームミラーに小さく映った瞬間に車種がわかる。でも、アウディは近づいて来るまで気がつかない」という声もあったのだとか。 「中身さえよければ問題ない」といわんばかりの優等生的なデザインも大いに魅力的でしたが、シルヴァと和田氏はそれまでのアウディにない「官能性」をエクステリアに与えたといわれています。 >>この記事のフォトギャラリーはこちら \あわせて読みたい/ 新型A5でより優雅&スポーティなシルエットにそして2025年に新たに登場したA5は、全体的にエッジをやわらげたつながり感のある面の構成が印象的。A4よりホイールベースが70mm拡張されることで、リアのオーバーハングは切り詰められ、よりロングノーズ&ショートデッキのスポーティなシルエットを実現しています。 そしてそのフェイスをよく見ると、ワイド&ローなスタイルを目指しているせいか、シングルフレームグリルの縦方向が縮まり、アンダーグリルが存在感を増していることに気がつきます。 「これって、もはやシングルフレームとは言えないのでは……」 と、ちょっと不安になってしまいましたが、定義としては「エンブレムとナンバーを直線で大きく囲うようなグリル」ということなのか、同社も「これまでになくフラットで幅広なプロポーションのシングルフレーム」と謳っているので一安心です。 フロントバンパーとフェンダーを継ぎ目なく一体化し、その中にヘッドライトを収めたユニークな「ソフトノーズ」のスタイルなど、「これがシングルフレームグリルの未来なんだな」と一旦は納得しつつ、引き続きアウディの優雅なデザイン進化を見守っていきたいと思います。 (終わり) (写真:アウディ、日産) >>この記事のフォトギャラリーはこちら \あわせて読みたい/ |
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