2.5Lストロングハイブリッドと1.8Lターボを用意新型フォレスターがいよいよ日本でも発売される。すでに大市場の北米では発売されており、日本のファンは一日千秋の思いで待っていたが、ついにその時がきた。 新型の姿が明らかになった時点でスバルは「今春の日本発売」をアナウンスしていたので、いつ出るんだ? という不安を抱えることなく、現行および旧世代のフォレスターからにせよ他車種からにせよ、買い替え(るかどうか)を考えることができたのはよかった。 新型は「プレミアム」、「Xブレイク」、「スポーツ」の3グレード構成。それぞれに装備が充実したEXグレードが設定される。プレミアムとXブレイクには「クロストレック」に採用された、2.5L水平対向4気筒ガソリンエンジンにTHS(トヨタハイブリッドシステム)由来のシステムを組み合わせたストロングハイブリッドが搭載され、スポーツには引き続き1.8L水平対向4気筒ガソリンターボエンジンとCVTが載る。 新型は一見して立派に見え、サイズも大きくなったように見えるが、全長4655mm、全幅1830mmと、現行型に対しそれぞれ15mmしか拡大していない。全高は1730mm、ホイールベースは2670mmで現行型と同じ。220mmを誇る最低地上高も変わっていない。立派に見えるのは水平基調の大型化したフロントグリルが一番の理由だろう。 現行型が“生き物”の顔を感じさせるデザインだったのに対し、新型は宇宙人顔だ。宇宙人も生きているか。リアも左右をガーニッシュで繋いだリアコンビランプをはじめ、水平に広がりを感じさせるスタイリングによって大きく見える。スッキリとした、意地悪く言えばそっけないスタイリングとなった。 現在のスバルの全社的な課題は悪路に強そうな(だけの)イメージからの脱却で、悪路に強いまま都市部でも受け入れられる存在の開発を車種を問わず目指している。新型のデザインからも、またプレミアムというグレードの新設定からもそれがわかる。 >>この記事のフォトギャラリーはここからチェック! |あわせて読みたい| 2つのパワーユニット、どちらも好印象今回、プロトタイプをサーキットで試乗する機会を得た。気になるストロングハイブリッドは、昨年クロストレックで一般道を走らせ、実用域での十分な力強さと、従来のスバル車に対する燃費の大幅向上を確認しているが、それが車体の大きなフォレスターに搭載されるとどうか。 ひと言でいえば、1.7トンを少し超える車重の新型であっても十分に力強さを感じることができた。現行型の「e-BOXER(イーボクサー)」に対しては段違いの余裕を感じさせる。 THSのトヨタ車同様、原則として停止状態からモーターで発進し、ある程度速度が上がるとエンジンが始動して駆動を担う。大きな負荷をかけるとエンジンの回転数は上がり、モーターを駆動する電力を発電し、同時に駆動も担うという仕組みなのだが、大きな負荷をかけても、2.5Lという大排気量のおかげでエンジンの回転数の上昇が抑えめで、結果として静粛性が高い。 スバルのストロングハイブリッドは、THSのE-Fourのように後輪をモーター駆動するのではなく、フロントのモーターおよびエンジンが生み出した動力をプロペラシャフトを通じて後輪に伝えるシステムを採用するのが特徴。これによって後輪に安定して動力を伝えたり、必要が生じた場合に遅れなく動力を伝えることができるのだが、床下で大きなシャフトを回すことになるので音と振動が発生するのがネガ。 これに対してスバルのエンジニアは工場内に新たな工作機械を導入し、より精度の高いギアの生産と組み立てを行うことで音と振動の発生を最小限にとどめたという。これも静粛性の高さに貢献しているはず。ただこの日は雨が降っていたので、スプラッシュノイズによって正確にはわからなかった。 ただし、ストロングハイブリッドはサーキット走行での魅力を高めるものではなく、連続的に中途半端な負荷をかけたり抜いたりする一般道で痛痒なく走らせ、さらに効率を高めるためのもの。 それを踏まえ、スピードを上げたり下げたりといった負荷変動を繰り返してみたところ、わずかなアクセル操作に対して正確に過不足なく反応してくれる電動車のよさをしっかりと感じることができた。あくまで今回のプロトタイプの値だが、WLTC燃費18.4km/L(19インチ)、18.8km/L(18インチ)と、燃費も従来のe-BOXERに対し大幅に向上するのもありがたい。 スバルは遠くない将来、ソルテラに続く本格的な電気自動車の投入を計画しているが、それだけだと困る、あるいは嫌だという多くのユーザーを、このストロングハイブリッドは満足させることができるだろう。ようやくといった感じだ。クロストレック、フォレスターに続いて、そのうちレヴォーグにも投入されるのは間違いないが、フィットしない理由を思い付かない。 従来同様1.8Lガソリンターボを搭載するスポーツも少し走らせたが、(装備差もあって)ストロングハイブリッド搭載モデルよりも約100kg軽く、これはこれでなんの不満も感じさせない。同じパワートレインだからこそ、新型の車体剛性の高さをしっかり感じることができた。今回は平滑な路面のサーキットのみでの試乗だったため、乗り心地については断定的なことをお伝えできない。 >>この記事のフォトギャラリーはここからチェック! |あわせて読みたい| 価格上昇は機能的にも物価的にも妥当か価格は現行に対してスポーツが約55万円高、Xブレイクが約88万円高になるようだ。スポーツはエンジンはそのままながらアイサイトの進化、デジタルマルチビューモニターやサイクリスト対応歩行者保護エアバッグの採用、メインディスプレイの大型化などがその理由。 Xブレイクは従来スポーツよりも廉価なグレードだったが、今回パワーユニットが根本的に進化したことに加え、スポーツ同様の進化代がのっかっての値上げとなる。新旧の変化の度合いと昨今の物価上昇を考えると妥当といえる。 なお、新型にはサイクリストにも対応した歩行者保護エアバッグが採用される。サイクリストは歩行者よりも高い位置で車両に衝突することになるため、頭部が車両Aピラーあたりに達する可能性があることを踏まえ、左右Aピラーの上部までカバーするU字形状のエアバッグが備わった。 また本格的なハイブリッドとなったことで、エンジン停止時や始動直後の冷間時にも空調を機能させることができるようになったほか、荷室に1500Wまで使えるAC100V電源プラグが設けられた(プレミアムにオプション設定)。スバル車の走行性能を気に入りながら、このあたりの便利機能がないことで泣く泣く他社のモデルを選んでいたユーザーを呼び戻すのに貢献するだろう。 <おわり> >>この記事のフォトギャラリーはここからチェック! <おわり> |あわせて読みたい| |
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