2LエンジンにハイブリッドとPHEVを組み合わせるボルボ「XC90」は世界の主要市場で多くのライバルと販売競争を繰り広げているSUVだ。ボルボというのは昔からモデルチェンジサイクルが長いブランドだが、XC90の現行型も本国で2014年に登場し、16年に日本導入されたロングセラーだ。 今回、内外装が刷新され、大幅にリフレッシュされた。つまりまだしばらくはこの型の販売が続くということだ。コロコロ変わらず中身を進化させながら同じ姿のクルマを売り続けることは魅力となっている。 全長5m、全幅2mになんなんとし、車重2トンを超える車体をもつが、搭載されるエンジンは横置きの2L直4ガソリンターボだ。それがボルボのもつ一番大きなエンジンだからだ。 2トン級の車体にターボとはいえ2Lだとさすがに非力だと思うかもしれないが大丈夫。バッテリーとモーターが組み合わせられていて、パワーをアシストする。小さなバッテリーを搭載したマイルドハイブリッドのB5と、外部充電可能な大きなバッテリーとモーターを搭載したプラグインハイブリッドのT8がある。今回試乗したのは後者。 \ 動画でもチェック / >>新型「XC90」を写真で詳しくチェックする ◎あわせて読みたい: 新意匠の前後ライトやグリルでスッキリ今風にシルエットは変わらないが、ディテールは結構変わった。中央にアイアンマーク(ボルボのエンブレム)とおなじみの斜め線が置かれるフロントグリルは従来縦線だったが、斜線を用いた幾何学的なデザインとなった。 同社が「トールハンマー」と呼ぶ「T」を寝かせたデザインのヘッドランプユニットは健在だが、Tがよりくっきりした。こってりしていた顔つきだったが、なんというか散髪したてのようにスッキリした印象。その他リアコンビランプやアルミホイールのデザインも変わった。 最高出力317ps、最大トルク400Nmと、2Lターボとしてはパワーを絞り出したスペックをもつエンジンは、前輪の駆動を担うとともにバッテリーを充電するためにも使われる。電力で駆動するモーターはフロントが同70ps、同165Nm、リアが同145ps、同309Nmを発揮する。バッテリーの総電力量は18.8kWh。 多くのPHEVはフロア後部の床下にバッテリーをレイアウトすることが多いが、XC90は左右乗員の間に配置する。このほうが2、3列目シートのレイアウトが自由になるというのが彼らの主張。実際、3列目シートの足元にも空間が保たれていて、体育座りのようにはならなかった。それでいて2列目フロア中央もさほど盛り上がっているわけではなく、3人掛けも苦にならない。 >>新型「XC90」を写真で詳しくチェックする ◎あわせて読みたい: 熟成された駆動系と高められた静粛性走りはどうか。基本となるドライブモードは「ハイブリッド」で、これを選んでいると、電力が十分にあればEV走行し、アクセルを深く踏み込むなど、大きな負荷をかければエンジンがかかって加勢する。 EV走行中は当然静かで振動がなくスムーズに走行できる。エンジンがかかった瞬間の音と振動もよく抑え込まれており、かかった瞬間に興ざめといった感じではない。変速ショックも一切ない。 マイナーチェンジでエンジンと乗員を隔てる部分に遮音材が足され、ウインドウガラスも全面的に合わせガラスとなり静粛性が増した。マイチェン前モデルの記憶がないが、絶対評価すると十分に静かだ。パワーは十分で、巨体を痛痒なく動かすことができる。 もっとパワーが必要なら「パワー」モードを選べばOK。モーターが基本、エンジンがアシストという走行スタイルは変わらないが、エンジンがしょっちゅうかかって加勢してくれる。 「AWD」というモードを選べば常にエンジンがかかっているので、連続的に負荷がかかる悪路などで便利だ。「ピュア」モードを選べばエンジンは掛からずEV走行をキープする。早朝、家族に内緒でゴルフに出かける時に便利だ。玄関で音を立てなければ大勝利! >>新型「XC90」を写真で詳しくチェックする ◎あわせて読みたい: 大柄ボディで13.3km/Lのハイブリッド燃費は魅力的スペック上は満充電で73kmのEVが可能だ。実際には50km前後か。もっと電力量の大きなバッテリーを搭載し、より長距離のEV走行が可能な他社モデルもあるが、大きなバッテリーを搭載すれば重くなって効率(燃費)は落ちるので、PHEVは一概にバッテリーの電力量が大きいほうがいいとも言えない。 実際、XC90のハイブリッド燃費は13.3km/Lと健闘している。今のご時世に13.3という数字だけを見ると大したことないように思えるが、他社の2トン超のPHEVの燃費と比較してみると大したものだとわかるはず。 相変わらずボルボのインテリアの質感と色づかいは素晴らしい。特にウッドの使い方がうまい。いつも乗ると落ち着く。 乗り心地も快適だ。PHEVのT8モデルには22インチの大径タイヤが装着されているが、よくできたエアサスによって路面状態を問わず快適性が保たれていた。 実証していないけれど、ボルボの衝突安全性は長年の実績によって信頼できる。ADAS(先進運転支援システム)も充実している。今全車に採用されている衝突被害軽減ブレーキを最初に実用化したのはSUBARUとボルボだ。 最近のMacみたいに見た目は大して変わらないが、中身は常にアップデートされていて、買い時を気にせず買えるのがボルボだが、XC90は今回見た目も結構変わったので、今が買い時だ。 (終わり) >>新型「XC90」を写真で詳しくチェックする ◎あわせて読みたい: |
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