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マツダのロータリー復活 究極のエンジン開発中

2014-1-13 11:00| post: biteme| view: 838| コメント: 0|著者: 文:川端 由美/写真:中野 英幸

摘要: マツダのロータリーが復活! 去年、マツダはロータリー・エンジンの量産を休止するという苦渋の選択をした。正確には「RX-8」の生産を終了したのだが、マツダ・ファンに限らず、世の自動車好きはおしなべて、ロータ ...

マツダのロータリー復活 究極のエンジン開発中

マツダのロータリーが復活!

去年、マツダはロータリー・エンジンの量産を休止するという苦渋の選択をした。正確には「RX-8」の生産を終了したのだが、マツダ・ファンに限らず、世の自動車好きはおしなべて、ロータリー・エンジンの灯が消えたかのような嘆きぶりだった。

「ところが」というべきか、「やはり」というべきか、マツダのロータリーの灯火は消えていなかったのだ! 今回、横浜にあるマツダのR&Dセンターで行われた技術説明会で、新設計の330ccロータリー・エンジンが披露された。もちろん、今の時代、ロータリーエンジンだけでクルマを走らせるわけではない。「RX-8」の生産終了の発表時に、山内 孝社長兼CEO(当時)が「次世代ロータリーの開発を継続する」と言っていた通り、レンジ・エクステンダー用エンジンとして、マツダの次世代をリードする形での復活である。自他ともに認める"テック・ヲタク"としては、単にロータリーが復活しただけでも嬉しいのに、従来の半分ほどの排気量で効率を高めた新設計のロータリーと聞いて心が躍った。

もっとも感心したのは、ロータリーの生きる道を発電機に見いだした点だ。ロータリーは燃費が悪いとの固定観念があるが、それは自動車のように加減速で負荷が変わる使い方をするからであって、産業用の分野では高効率の発電機として実績がある。レンジエクステンダーとして使うのであれば、エンジンは効率のよい回転数を保っておいて、発電機を回してやればいい。ここで発電した電気でモーターを回してクルマを走らせるなら、いくら頻繁に加減速をしても、エンジンにかかる負荷は大きく変動しないから、高効率で運転できる。さらに、効率を高めるためにエンジンとロータリーエンジンをベルトでつなぎ、エンジンの2倍の回転数で発電機を回せる。その結果、効率を約5%高めている。

実際に、エンジンのパーツを手に取ると、とにかく小ぶりで軽量なことに驚かされる。あくまでデミオEVをベースに、その巡航距離を延長するための発電機として搭載されるため、最高出力は22kW/4500rpmで十分との判断だ。もし、同じ出力をレシプロエンジンで確保しようとすれば、ざっと見積もっても、1.5倍程度のスペースが必要だろう。ロータリーエンジンに発電機とインバーターを組み合わせて、燃料タンクや触媒までまとめたレンジエクステンダー・ユニットの状態でも、両手で抱えられそうな大きさだ。ラゲッジルームの広さも犠牲になっていない。システムが小さいため、荷室の床下にすべてがおさめられているからだ。

乗って驚きの静粛性

懐が深いことに、世界で一台しかない実験車両のステアリングホイールを握るチャンスを得た。ベースとなる車両は、最高出力102ps/最大トルク150Nmのスペックを持つ「デミオEV」だ。駆動用モーターと制御をするインバーターをフロントに搭載し、20kWhのリチウムイオン電池を搭載することでJC08モードで200kmの巡航距離をマークしている。これには、ベースのデミオが軽く、かつ電力消費率が100Wh/kmと駆動系の効率が高いことも貢献している。

運転席に座っても、実験車ゆえに緊急停止のボタンがついてはいるが、それ以外に普通のデミオEVと違うところはない。Dレンジに入れてアクセラレーターを踏み込んだ瞬間、電気駆動のクルマならではの鋭い加速に圧倒される。理論上、発進時に最大トルクを発揮できるがゆえに、中低速域ではスペックから想像するよりスポーティな走りっぷりだ。もちろん、違和感のない程度に制御してはいる。アクセラレーターから足を離すと、エネルギー回生をはじめて、ちょうどAT車と同じくらいの減速感を感じる。「ミニE」のように0.3Gもの減速を発生するものもあるが、マツダではエンジン車から乗り換えたときの違和感のなさを重要視した設定を選んだ。

本来なら、バッテリーに十分に電力が蓄えられている間はEVとして走るのだが、この日は擬似的にSOCが減っている状態に設定されており、発進時からPHVとしての特性を試せるようになっていた。走り始めると、20km/hでエンジンが始動し、車速の高まりとともに40km/h以上では2500rpm、そして70km/h以上では3500rpmと、エンジン回転も高まって行く。Eモードを選ぶと、最高速が通常より10km/h低い120km/hへと抑えられる。チャージモードでは、減速時のエネルギー回生をいくぶん強めに行う。

シングル・ロータリーエンジンゆえに振動を懸念する声もあったが、運転席に座っているぶんには静粛性への課題は感じない。当然のことだが、EVでも風切り音やロードノイズは発生しており、PHV化にあたってはEVで生じるノイズとそう変わらない程度に騒音を抑える努力をしたという。同じくPHVのGM「ボルト」と比較すると、走行中にエンジンがかかって発電している状態では、デミオPHVの方が静粛性が高い。唯一、エンジンがかかっている状態で急加速をすると、インバーターからのノイズとおぼしき「シューン」と甲高い音がする。後席の住人によれば、運転席より後席の方がノイズの聞こえ方は顕著だが、嫌な音ではなく、むしろジェット機の加速音のようで面白く感じたようだ。

"カタログ燃費競争"へのアンチテーゼ

「EVの課題は、航続距離の短さです。実際に一日に走る距離は短くても、70%ほどが不満を持っています。小型かつ静粛性に優れるロータリーエンジンを発電機として搭載することで、EVの魅力をそがずにその欠点を補うことができます。今回のシステムは、ローターを水平方向に回すことで、システムを低めました。エンジンマウントは横方向を柔らかく、縦方向はシステム支える剛性を与えることで、エンジンが横方向に回転することで発生する振動を抑えました」と、PT開発本部・先行技術開発の鈴木敬さんはいう。

実際、20kWhのリチウムイオン電池をフル充電してEV走行できる距離が200kmであることに加えて、約9Lの燃料を積んでロータリーエンジンで発電しながら走ることで+180kmの走行距離を伸ばすことができれば、日常的な使い方では十分に思える。触媒を排気ポートの直近に配置することでエンジンからの排ガスのレベルも、低く抑えることに成功している。

嬉しいことに、今回は試験車の披露に留まっているが、このシステム自体は実用化も視野に入れた開発を進めており、将来的にはガソリン以外の燃料への対応なども考えているという。もちろん、欧州でのCO2排出量の規制や、アメリカ・カリフォルニア州でのZEV規制が進むことへの対策でもあるが、巷間で激化する"カタログ燃費競争"へのマツダとしてのアンチテーゼにも思える。

この思想は、時を同じくして行われたマツダの次世代パワートレインの開発にも共通する。例えば、より実用燃費に近いと言われるアメリカの環境省にあたるEPAの燃費ランキングでは、マツダはハイブリッド車なしでも2年連続でトップを獲得している。2013年はさらに27.5MPGに燃費を向上させて、3年連続1位を達成した。

マツダでは、2020年に向けて電動化が拡大するものの、その段階でも市販の自動車の90%は内燃機関を積んでいると予測し、エンジン、シャシー、ボディを基礎技術として磨くことを進めてきた。限られた投資や人材のリソースを効率よく活用する「モノ造り革新」を掲げ、ミッション、エンジン、シャシーを同時に刷新することにも成功した。これまでに14:1の低圧縮比で後処理システムなしに最新の排ガス規制をクリアしたディーゼル・エンジンと、過給ダウンサイズ流行に棹さすのではなく、ダウンスピード自然吸気のガソリン・エンジンを軸に据えた「SKYACTIV-G」の技術群に加えて、キャパシタを採用した減速エネルギー回生「i-ELOOP」や、トヨタのハイブリッド機構を搭載した「アクセラHEV」、そして前述のデミオBEVの導入をもって、マツダの「ビルディングブロック戦略」は完了した。

究極の内燃機関、HCCIに向かって

しかし、それはマツダの次世代パワートレイン戦略の序章に過ぎない。今回発表された次なるパワートレイン戦略の本当の目玉は、「HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)」の開発だ。2000年代中盤から後半にかけてかなり騒がれたから、耳にした人も少なくないだろう。通常、ディーゼルは自然着火するが、ガソリンはプラグで点火する必要がある。HCCIでは吸気時に燃料と空気を均一に混ぜ、その混合気を圧縮することで一気に自然着火させる。一気に燃えて燃焼速度が速いため、プラグ点火より燃料を薄くすることができ、燃費性能が向上する。良く混ざるので排ガスもクリーンと良いこと尽くめのように見える。しかし、シリンダー内の温度や圧力といった条件を整えないと着火しない。また、全域でHCCIの燃焼ができるわけではないので、通常の燃焼との切り替え時に空燃比が飛んでしまうと、大きなショックが出てしまう。それゆえ、現段階では実用化には至っていない。

「エンジンを開発するとき、いじれる要素は圧縮比、比熱比、燃焼期間、燃焼開始時間、熱伝達、吸排気の圧力差、機械抵抗のたった7つしかありません。ポンピングロスの低減に加えて、ガソリン・エンジンではさらなる高圧縮比化と希薄燃焼が、ディーゼルでは燃料の均質化が、高効率化のカギです。この段階ではまだ第二世代のSKYACTIV-G/Dですが、その次のステップとしては高断熱とすることで、ガソリンもディーゼルも同じHCCIというゴールを目指します」というのは、SKYACTIVの技術を牽引する人見光夫執行役員だ。

彼の開発方針は非常にユニーク。パワートレイン開発においては、いくつもの課題がシーソーの右と左のように絡み合って、トレードオフの関係にあることが多く、いずれかの特性を妥協せざるを得ないことがある。が、人見氏は、例えば、SKYACTIV-Gを開発するにあたって、圧縮比を15に高めたエンジンを設計して回してみたという。ノッキングしないように制御すれば、当然、トルクが低下する。しかし、人見氏は「トルクの低下」とは考えずに、「上死点より後に点火しているが、低温酸化反応により、仕事量はあまり落ちていない」と考えた。その結果、欧州プレミアと比較しても、全域で高いトルク曲線を描きつつ、燃費性能もディーゼルエンジン並みに向上した「SKYACTIV-G」が開発できたのだ。高圧縮比を目指したため、10.5くらいでノッキングしやすくなってしまう過給ダウンサイズ・エンジンではなく、自然吸気エンジンを選んだ。

ディーゼル・エンジンでは反対に低圧縮比で問題を解決した。通常、ディーゼルではプラグなしで自己着火するため、上死点付近で着火させると、NOxやPMといった排気ガスが出やすくなるので、タイミングをずらして着火させている。圧縮比を低めれば、上死点付近で着火できて、一回の爆発の仕事量が増えて、高効率化につながる。後処理装置なしで、厳しい日本や欧州の排ガス規制もクリアできる。そこでコストを節減した代わりに、ツインターボ化してトルクを高めた。一方で、シリンダーの中の圧力を下げることができたため、エンジンを軽量化し、抵抗を減らし、レブリミットを5500rpmまで高めることにもつながった。

「これ以上の燃費向上のためには、リーンバーンをやるしかありません。リーンバーンで成層燃焼しても、ダメ。全体を均質に混ぜて、空燃比40~50(理論空燃比は14.7)というスパークプラグでは燃えないくらい薄い状態にしないと、燃費改善は望めません。空燃比が35を超えると、NOxも出ません」と人見氏は語る。

当然、HCCIの領域が狭く、SI(通常の火花点火)とHCCIの切替が難しく、高温/高圧に伴って冷却損失が出るなどの課題はある。現段階で、他社の方式では44%程度の領域でHCCI燃焼を行っているが、マツダでは動弁系を工夫することによって、その倍程度の領域でHCCI燃焼が可能になるという。また、EGR(排気ガスを再び吸気に混ぜスロットルロスやエミッションを抑える技術)の比率が60%超えると、燃料の成分の違いによる影響を受けないこともわかっている。HCCIが実現すれば、SKYACTIV-Gの第一世代と比べて、30%の燃費向上が見込めるという。加えて、マツダではこれまで排気損失を減らしてきたが、反対に冷却損失が増えてきている。そこで、断熱を行うことで、冷却損失を止めれば、さらに燃費は好くなると見ている。

「自動車の電化」は世の主流ではあるが、マツダでは発電所で発生するCO2まで計算に入れ、内燃機関の高効率化だけでもEV並みのCO2排出量に減らすことを目指している。まずは、内燃機関の高効率化を進め、苦手な領域を減らした段階で電化に向かえば、モーター/バッテリーを小型化できるというわけだ。もちろん、これほど思い切った戦略をどの自動車メーカーでもできるというわけではない。年産100万台程度の小さな自動車メーカーだからこそのユニークな戦略ではある。開発陣の力だけではなく、これほど思い切った開発戦略をさせる経営陣の英断があってこその技術革新といえるだろう。


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