ミニバンタイヤトランパスが3種類に!ライフスタイルの多様化により、クルマも多種多様化が進んでいるが、トーヨータイヤは、多くのクルマに適応する従来通りのタイヤ作りは続けながらも、より特殊性の高いクルマ専用に作りこんだ「専用タイヤ発想」を取ってきた。それが商品として開花したのが、1995年に発売を開始した、ミニバン専用タイヤ「トランパス」だ。 室内の広さや多人数乗車ができることで、当時ミニバンは瞬く間に市民権を得たが、気になることも多かった。全高が高いことによる特有のフラフラ感、ハンドルを切ったときのフニャッとした節度感の無さ、さらにはタイヤが部分的に減ってしまい、比較的短期間にタイヤ交換を余儀なくされる偏摩耗特性など。まさにトランパスは、そのようなミニバンユーザーが抱える悩みを解決する為に生まれたスペシャルタイヤ。 そんな狙いで作られたからには、ミニバンユーザーが満足しない訳が無い。あとは順調な道のりで、ミニバンが勢力を増すに伴い、トランパスも自然と勢力拡大。時代の流れに柔軟かつ素早く適応して成功した商品として、他業種からも注目された。しかし、そんな盤石な商品も、時代に合わせてさらなる変化や革新を行なわなければ、いつかは時代錯誤な商品になってしまう。 そこでトーヨータイヤは、トランパスを大革新した。衝突安全対策やハイブリッド化などにより、どのモデルも近年は車両重量が増しているが、その変化に的確に対応して、今まで以上にミニバンユーザーを満足させ続けようというものだ。 注目は、今までの2つの商品ラインナップを、1つ増やして3つにしたことだ。まず新車登録台数の15%を占めるミニバン全てに適応する専用タイヤとしてトランパス「mpZ」。次に高級ミニバンに向けて、重量への対応と静粛性や乗り心地の向上を盛り込んで2005年より発売されている高級志向タイヤのトランパス「Lu」が「LuII」へと進化。そして注目は、ミニバン以上に前述したミニバン特性が強いとされる、背の高いハイト系軽自動車のためのタイヤとして、「LuK」を新登場させたことだ。 技術を共有化しつつ、重量別に性能を作り込むトランパスは3兄弟になったが、それぞれの商品がサイズ展開を含めて明確にターゲットを分けているから、タイヤ選びに悩むことはない。シンプルに言えば、軽自動車・ミニバン・重量級ミニバンの3種類のために「mpZ」「LuII」「LuK」があるのだ。 そしてこの3兄弟化は、細分化による性能の追求と技術の共有化をもたらし、トランパスタイヤの高性能化の土台を築いたのだ。 と言うのも、今までは2つの商品で軽量から重量級までケアしていたが、これからは3つでケアできる。と言うことは、ひとつずつが受け持つべき重量が細分化されたので、今まで以上に担当する重量を絞った専用の作り込みができ、性能を追求できたということ。 さらに言えば、重量やボディサイズこそ様々だが、背の高いクルマが持つ特性は共通しており、タイヤへの要求性能も同じ。言うなれば、基本技術の共有化が可能になり、開発効率が高められるのだ。 例えば、左右非対称パターンのパターン構造。そもそもタイヤが路面に接地している面を分析すると、内側部と外側部では使われるシーンや負担が異なる。靴で言えば、地面への接し方が、かかと側とつま先では違うのに似ている。内側は真っすぐ走っているときに積極的に使われ、外側は頻度こそ少ないが曲がっているときに激しく使われる。それに合わせてタイヤの外側と内側を作り分けるのが左右非対称であり、タイヤの構造は共有しつつ、3ブランドそれぞれが受け持つ重量に対して最適に作りこんでいる。 また、タイヤ表面に刻まれているタイヤの溝パターンは、グリップなどの性能の他に、運転のし易さを生むハンドルからの手応えや、コントロール性、さらには走行音も大きく左右する。このパターンの設計思想も共有化しており、当然シミュレーションより導き出されたそれぞれのタイヤの太さなどにあったデザインを最終的に導き出しているのだ。タイヤの内部構造も同様で、基本技術は共有しつつ、全てを専用に作り込み性能を洗練させているのが最新のトランパスということになる。 軽自動車用新タイヤ「LuK」に驚いた!前述したような背景により、3兄弟で切磋琢磨したからだろう、3つとも出来が良い。 特に驚かされるのが、軽自動車用に登場した新タイヤ「LuK」。直感で言えば、その性能は「LuII」譲りの上級タイヤとも表現できるもので、「LuII」がターゲットにする高級ミニバンでの静かさや乗り心地を踏まえて開発された技術がそのまま移行された印象を受ける。 具体的には、走っているときの静かさはもちろん、しっとりとタイヤが動く特性が見事。路面の段差を乗り越えても、その振動がすぐに収まる感覚がある。また、軽自動車用サイズのタイヤは、その多くがハンドル切り出しにグニャッとタイヤがつぶれる剛性不足感を感じることが多い印象があるが、このタイヤにはそれがない。これも2トンにも迫る超重量級ミニバンでの安定感を求めて突き詰められた高剛性技術が生きているのだろう。簡単な話が、並みの軽自動車のタイヤなど一蹴できる性能なわけだ。 逆も然りで、経済性意識の高い軽自動車用の「LuK」では、当然の事ながら燃費性能が求められる。そのコンパウンド技術が「LuII」に流れているのか、ストレス無くタイヤが転がる印象が「LuII」にあった。他にも「mpZ」「LuII」「LuK」のどれを取り上げても、フラフラ感はないし、ハンドルがシャキッとしており高速レーンチェンジなどを安心して行える安定感があり、3兄弟ともに総合能力の高いタイヤだ。 ちなみに重箱の隅を付く特性だが、昔のミニバンに多い、足周りがフニャフニャで長時間乗っていると気持ち悪くなるような足回りのクルマだと、タイヤが高剛性過ぎて使い切れない…簡単な話が、タイヤの性能にクルマが付いていけず、突然曲がるような癖などが出る。そのような時は大きめのホイールと組み合わせると、タイヤを使いこなせるようになり違和感が少なくなる。また同時に、サイズ的に履けるからと軽自動車で「LuK」ではなく、「mpZ」などを履くのもお勧めしない。なぜなら、タイヤ性能がクルマを上回るからだ。 それだけ専用に味付け調整されて仕上げられているのが、今回の大革新を迎えたトランパス「mpZ」「LuII」「LuK」の3兄弟なのだ。 |
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