今回の進化の本当の価値は中身にこそある変更前モデルのオーナーは、相当に悔しいはず! なぜならレクサスCTは単なる実用性重視のコンパクトカーではなく、他には無い価値を求めるユーザーの為につくられたプレミアムコンパクトカーだからだ。今回の変更内容のひとつ、口を大きく鋭く開けたようなスピンドルグリルを採用したフロントマスクによって、威厳さえ感じる迫力と存在感を見る者にもたらし、プレミアム性を高めたと言えるだろう。 これは乗る前から目に飛び込んでくる魅力であり、オーナー満足度を飛躍的に向上させると容易に想像できるし、レクサスは高級を追求したモデルで他のコンパクトカーよりも若干高めの価格設定だが、その価格にも自然と納得できるはず。しかし、今回の変更・進化の本当の価値は、実は乗り味などの中身にこそある。 端的に言えば、CTがそもそも持っていた高級車に相応しい上質な乗り味が、大幅に洗練された。まずは、先代モデルのオーナーならタイヤのひと転がりで解るのでは? と思えるほど、しっとり感や滑らかさが向上。その違いは路面が滑らかになったかのような錯覚を抱くほど明確だ。リアハッチドアの開口部を中心に、スポット溶接箇所を増やしてボディをガッチリさせただけでなく、構造用接着剤を使ってさらなるガッチリ感を確保。それにより、走行振動の発生そのものを抑えている。 さらに、それでも発生する走行振動に対しては、パフォーマンスダンパーというボディの微振動を吸収・収束させるアイテムを驕り、剛性向上や作動適正化で効果を高めて対処している凝りようだ。 静粛性もワンランク格上げされたそこまでするか? という徹底した走行振動対策の効果は、しっとりと上質にクルマを走らせるだけでなく、外界と遮断されたかのような静けさをも新型CTに与えた。 もちろん、振動対策だけでなく遮音や吸音だけで約100箇所の改善を行った効果も見逃せないが、クルマが上下動するような路面のギャップを乗り越えたときの音や、補修の時期を迎えた目が荒く痩せたアスファルト路面、さらには空気伝播する(空気を伝わる)ブロックが回転して空気を切り裂くパターンノイズなど、いかなる環境や音域でも静粛性がワンランク格上げされている。 さらに覗き込まないと見えない箇所ではあるが、ボディ下面を含めて空力の整流アイテムが付き、車両の走行安定性はもちろん高速走行時のボディによる風切り音が小さくなったのも見逃せない。特定の周波数帯の音ではなく、全音域での対策が施された印象で、上質・高級・スポーティをキャラクターとするCTだが、ハイサルーンカーのような落ち着き感を得たのは好印象。 と、ここまでの進化であれば走り好きユーザーには響かない進化かもしれないが、安心して欲しい。スポーツ性もしっかり向上していたのだ! Fスポーツが激おススメ基本性能を底上げするボディ剛性向上を狙った改良は、1ページ目で述べたリアハッチ部の開口部だけでなく、フロントガラスを支えるAピラーの付け根にも及ぶ。 ここはフロント周りの剛性に大きく関与する部位で、ハンドル操作に対する素直な反応やダイレクト感、さらにはグリップの変化を正確にドライバーに伝えるための重要なセクションだ。ここが補強されたからこそ、結果として変更前のモデルよりも太いタイヤを装着した“かのような”手応えや高いグリップ感が生まれ、絶えず安心して走れるようになったのだ。 別の視点で見ると、ボディを強固にすることで、パフォーマンスダンパーや足回りなどのアイテムが効果的に働き出し、スポーツ性はもちろんのこと、乗り心地や快適性、そして上質感までも同時に高められたのが今回の変更の要点であり、みごとな進化である。 乗り味にとことんこだわるユーザーに向けてワンポイントアドバイスをしておくと、今回の進化で、ノーマルとFスポーツのグレード差が明確になり、結果としてFスポーツが激おススメのグレードになった。すでにノーマルを購入した方には申し訳ないが、今回の進化は「全性能をバランスよく備えていたノーマルがさらに全性能を向上」させたインパクトよりも、「スポーツ性を強化していたFスポーツが今まで無かった快適性や上質さを備えた」というインパクトのほうが大きい。 もともとCTは包まれるようなコクピットや小さめのハンドルなど、スポーティ性の強いドライビングポジションも魅力で、これらの雰囲気ともFスポーツは一層相性が良くなったと言えるだろう。 |
GMT+9, 2025-1-20 22:53 , Processed in 0.149154 second(s), 17 queries .
Powered by Discuz! X3.5
© 2001-2025 BiteMe.jp .