無骨な見た目とウラハラの超気持ちいいハンドリング乗るなりビックリですわ。予想以上のメルセデスの“オイシイとこ取り力”に。まず衝撃を受けたのは無骨な見た目とはウラハラのスポーツカー顔負けの超気持ちいいハンドリング! 特にダイレクト感あるステアリングフィールには脱帽ですよ。マジメな話、本格スポーツのベンツSLもかくやの生々しさ。こりゃお値段1500万円台スタートでも、買っちゃいますわ、お金持ちは。 歴史を振り返ると今回のメルセデス・ベンツGクラスは、かつて「ゲレンデヴァーゲン」と呼ばれた高級本格クロスカントリー4WDの代名詞です。原点は39年前の1979年に生まれたNATO軍向け軍用車。その民生版がゲレンデヴァーゲンだったわけで、独特のあり得ないゴツゴツ感と本物感が魅力でした。 先代は圧倒的に真四角なスクエアフォルムが半端じゃなく、フロント、サイド、リアともに窓は全面的に平面ガラス。これ1つとっても空力や安全性にウルサい今の自動車じゃあり得ません。平面ガラスは衝撃に弱いし、空力的にも有利じゃないので。 ディテールも凄くていかにも後付けなフェンダー上の四角いウィンカーに、ドアヒンジは前後外付け! オマエは戦車かトタンのボロ家か! ってディテールこそが白眉。ドアを閉めると同時にガチャン!と響く金庫を閉めたようなドア開閉音と、ガッチャン!! と響く電動ロック施錠音に感激しました。まさにイメージ通りの民間向け戦車でしたよ。 巨大化しつつも見た目を極力変えない戦略しかし今回は表向きフェイスリフトとか言ってますけど、その実態はフルモデルチェンジ。これまで引き延ばし引き延ばし、39年間基本骨格を変えてなかったGクラスですが、衝突安全性にせよ空力にせよ排ガス性能にせよ既にギリギリ。今の厳しい法的要求には応えられません。よって今回は骨格からエンジンからディテールまで初の全取っ替えなのです。 とはいえ矛盾するのはGクラスの魅力が古いデザインと古いテイストなこと。いわば39年間、昔の液に継ぎ足し継ぎ足しつないできた伝統の焼き鳥のタレを全取っ替えするようなもので、いかにメルセデスとはいえ戸惑います。昔のファンが離れていくんじゃないか? 味が変わったと言われちゃうんじゃないか? そこでやったのは見た目を極力変えない戦略と一部のディテール移行。実は今回ただ3点、新型Gクラスは旧型から変えていません。それは「ドアハンドル」とリアの「スペアタイヤカバー」と「ヘッドライトウォッシャーノズル」。ホントはウィンカーやサイドミラーも変えたくなかったはずですが、そこは涙を呑みなんとか3つを残したのです。 それからビックリするのが外観デザイン。全長×全幅×全高を見ればわかるように新型は4817×1931×1969mmと53mm長く、64mm広く、15mm高くなっています。ホイールベースも2890mmと40mmも巨大化(※G550、欧州参考値での比較)。しかし一般的にサイズがデカくなるとデザインも丸くモダンになりがちですが、驚くほど真四角さをキープ! よく見るとウィンドウは平面に見えますが湾曲しており、ボディ各部の角も取れてます。しかしパッと見、ライトが一層のLED化でキラキラしているところ以外さしたる変更は感じないのです。 インテリアも全面モダン化。先進安全技術も搭載かたや絶妙なのがインテリア。こちらも大元は戦車のような素っ気ないデザインが良かったのですが、近年は欧州のリファインされた古い家屋のようにかなり上質化してきていました。外観以上にモダン化が進み、大型センターモニターは当たり前の世界。 今回それがさらに進み、本格クロカンの証明たる助手席前のグラブバーや直線基調のデザインを残し、全面モダン化。車載スピーカーやエアコン吹き出し口もGクラス独特のウィンカーや丸型ライトを模していてシャレが利いてます。 中でもその象徴が遂に導入された運転席前からセンターに繋がる12.3インチ×2枚の超ワイドディスプレイと最新先進安全テクノロジー。今回から追従式クルーズ・コントロール機能たる「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」、走行中にナナメ後ろをケアする「ブラインドスポットアシスト」、車線逸脱を警告して必要な際は車線内に戻す「アクティブレーンキーピングアシスト」などを備えていて、この辺りが事実上のフルモデルチェンジの最大の効果。メルセデス独自の予めシートベルトを締め付けるプレセーフ機能も付いてます。ただし、Sクラス同様のステアリングを自動操舵する機能までは付いてません。このあたりはまだ本格4WDならではの限界があったのでしょうか。 見た目と走りの乖離に唖然。走って楽しいクロカン4WDそれより驚いたのは冒頭の走り味と各部の触感。新型Gクラスは、外板へのアルミ材、超高張力鋼板使用などで170kgも軽量化してますが、ボディ骨格は相変わらずのラダーフレーム方式。こちらも新設計されてねじれ剛性は55%アップしてますが、仕組み自体は昔と変わりません。本格クロカン特有のデフロック機構やスーパーローギアも健在だし、よって独特のだるさやショック吸収時のプルプル感は残ってるはずと思ってました。 ところが乗ってみるとネガはほとんど感じません。それどころかイマ風のフロントのダブルウィッシュボーンサスペンションや、ラック&ピニオン式電動ステアリングの効果が出ていて、ホントにスポーツカーはだしのダイレクト感。小沢は、マジでこんなに走って楽しいクロカン4WDに乗ったことありません。 加速もノーマルのG550ですら422psの4リッターV8ツインターボ+9Gトロニックを搭載していて気持ちいい気持ちいい。ボディは軽くなったとはいえ、2トン超えは変わらずでそれなりですが、そもそもスポーツカー用の4リッターV8ゆえフィーリングは格別。 さらに585psで最大トルク850Nmを発生する4リッターV8ツインターボ搭載のAMG G63になるとホント、オレは一体どういうクルマに乗ってるのか? とばかり見た目と走り味の乖離に唖然とします。見た目は相撲取りなのに走りは短距離選手というか。ホントに不思議なクルマ。加えてさらに不思議なことにドア開閉のガチャリ! 感やドアロックのガッチャン!! 感も残してあってまさに究極のオイシイとこ取り。 見た目は限りなくクラシックなのに、要所要所に先進安全と最新快楽スポーツカーテクノロジーが採り入れられていて心憎い出来映え。これぞ新お金持ちキラー。見て乗ってこれが欲しくならないリッチマンがいたら逆にインタビューしたいくらい。それくらいオイシイ要素が揃った超エロい新ワイルド4駆になってるんですわ。 スペック【 G550 】 【 メルセデス AMG G 63 】 |
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