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マセラティの急先鋒、ギブリに酔いしれる

2014-4-30 11:01| post: biteme| view: 925| コメント: 0|著者: 文:岡崎 五朗/写真:中野 英幸

摘要: イタリア人にしか作れないクルマ 今年、創業100周年を迎えるマセラティ。スーパーカー世代にお馴染みなのはボーラやメラク、カムシンといった70年代のモデルだろう。当時のマセラティは、フェラーリやランボルギーニ ...

マセラティの急先鋒、ギブリに酔いしれる

イタリア人にしか作れないクルマ

今年、創業100周年を迎えるマセラティ。スーパーカー世代にお馴染みなのはボーラやメラク、カムシンといった70年代のモデルだろう。当時のマセラティは、フェラーリやランボルギーニのひとクラス下に位置するスーパーカーメーカーという中途半端なイメージがあったが、クルマに詳しい人ならそれが一面だけを見た誤解であることをご存じのはずだ。60年代までのマセラティは、F1を含むモータースポーツ界において輝かしい歴史をもつ名門中の名門だった。その長い歴史をもとに、フェラーリよりも格上のブランドだと考えている人も少なくない。

ただしビジネスはあまり上手ではなく、シトロエンやデ・トマソ、フィアットの傘下を経て、2008年にはフェラーリの直轄となった。これを機にフェラーリの高度な生産技術が導入され、悪名高かった信頼性は大幅に改善。もともと持っていた高いブランドイメージとフェラーリの技術の融合は、マセラティに新たな生命を吹き込んだのだ。

そんないきさつを経て、現在のマセラティは、貴族的な香りを漂わせるクルマを作らせたら天下一品のメーカーになった。なかでも2ドアクーペのグラントゥーリズモは世界でもっともキザなクルマだろう。美しく情熱的なエクステリア、やたら派手なのになぜかとびきりセンスがいいインテリア、甲高いサウンドを奏でるフェラーリと共通ブロックのV8エンジン……そこには単なるスポーツクーペの域を超えた“粋”と“官能”がみっちりと詰まっている。フェラーリ同様、マセラティもまたイタリア人にしか作れないクルマである。

そんなマセラティが、再び新たなステージに向け一歩を踏み出した。その中心となるのが新型ギブリだ。

ちょうどいい塩梅

マセラティは、2012年に6300台だった世界販売台数を、2015年に5万台へと引き上げる計画をぶち上げた。数にしておよそ8倍! それはつまり、ごく一部の限られたユーザーを対象としたハイブランドから、より多くのユーザーの獲得を狙うプレミアムブランドへの変貌を意味する。

となれば当然、販売も生産もマーケティングもブランディングもクルマ作りも……すべてにおいて変化が求められるわけだ。2015年に予定されるマセラティ初のSUV「レヴァンテ」もその一環だが、前哨戦として新型ギブリには非常に重要な役割が課せられた。それは、メルセデス・ベンツやBMW、アウディといったドイツのプレミアムサルーンから顧客を奪い取ること。1000万円を切るというマセラティとしては画期的な価格設定(ギブリS=940万円)は、Eクラス、5シリーズ、A6の上級グレードを強く意識したものだ。

そんな狙いはエクステリアデザインにも表れている。シャープな面構え、長いノーズ、絞り込まれたキャビン、短いリアオーバーハングなど、全体的にはマセラティの持ち味である「スポーツ性」を強く反映しているが、グラントゥーリズモや先代クワトロポルテがもっていたイタリア貴族的なイメージは薄れた。とくに後部から眺めると、どことなくドイツ車っぽい雰囲気すら感じる。インテリアもそう。お約束のナツメ型アナログ時計は付いているものの、全体的には機能性に配慮したモダンな方向性だ。

熱烈なマセラティファンからは「マセラティらしくない」という声が上がるだろうが、僕が思うにこれは明らかな確信犯。人は見慣れないものをなかなか受け入れられないもの。ドイツ車からユーザーを奪うには、イタリア味、マセラティ味が強すぎない方がいい。かといって同じでもダメで、ちょうどいい塩梅にイタリア味、マセラティ味をまぶすのが重要だ。そんな観点からギブリを眺めて思ったのは、なかなかうまいところを突いてきたなぁということ。ドイツ車と違いすぎず、かといって同じでもない。マセラティの狙いが正しかったのは、ギブリの販売が世界的に絶好調であることが証明している。

ポジティブな驚きがあるドライブフィール

新型ギブリは、エンジンやシャシーといった多くの部分にクワトロポルテと同じパーツを使っているが、ボディはひとまわり小さい。しかしそれでも全長は4970mm、全幅は1945mmという堂々たるサイズ。重量も後輪駆動の「ギブリ S」で1950kg、4WDの「ギブリ S Q4」になると2トンを超えるのだが、走り始めると、サイズやウェイトをまったく感じさせない軽快でスポーティなドライブフィールに驚かされることになる。

エンジンは410psという最高出力と、550Nmの最大トルクを発生する3LV6ターボ。グラントゥーリズモのV8と比べるとサウンドは抑え気味だし、音質も低音域を重視したタイプ。なにやら特別なエンジンを操っている、という感覚は希薄だ。僕としては、せっかくマセラティに乗るのなら痺れるようなサウンドに酔いしれたいなと思ったが、どうやらこれもメーカー側の狙いのようだ。その証拠に、車外ではそうとうハイピッチないい音が聞こえる。おそらく、遮音性を高めるためにあえてコックピットに届く音量を抑えているのだろう。これも、ドイツのライバルと対抗するための「チューニング」である。

ただし、アクセルを深く踏み込んで積極的に回転を上げていくと、少々控えめではあるものの、クォォーンというピッチの揃ったサウンドを発し、神業調律師がいまなお健在であることを知らしめてくれる。もちろん、動力性能面で不満を感じるケースなどあるはずもなく、いついかなる状況からでも右足の動きひとつでおよそ2トンのボディを強烈に加速させる。トルク特性はフラットだが、粘りのあるトルク感……というよりは、硬質でパンチの効いた印象だ。

フットワークにも同じことが言える。路面にヘバりつくような接地感はないものの、ステアリング操作に対するノーズの動きはとにかくシャープ。長いノーズがスパッと気持ちよく向きを変える。ワインディングロードでギブリを操っていると、大きさや重さのことなどすっかり忘れ、まるでスポーツカーに乗っているような感覚になる。このあたりは、ドイツ勢にはないギブリならではの魅力だ。

快適性や安心感ならメルセデスが上だし、コーナリング性能ならBMW、高速直進性ならアウディに軍配があがるだろう。けれど、視覚やドライビングを通して伝わってくる官能性においてギブリには非凡な実力が備わっている。ドイツ車には散々乗ったから次は目先を変えて……という消極的な理由から選ぶのも大いにアリだが、4ドアサルーンにさらなる官能性を求めたい人にとっても、ギブリは大いに注目すべき存在だ。


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