色々とバランスの良いクルマだが果たして国民車としてはどうか?筆者は「新時代の国民車について考える」という趣旨の試乗レポートを不定期に寄稿している者だが、本日は私物である「2017年式スバルXV」という車について思うところを述べてみたい。というのも「隗(カイ)より始めよ」ではないが、「そもそも自分の車は国民車たりえるのだろうか?」と、ふと疑問に思ったからだ。 スバルXVについての詳細すぎる説明は不要だろう。30歳前後と思しき女性が「XVでワタシは変わった!」とか言いながらサンドバッグをバシバシ殴っているCMでおなじみの、あのクロスオーバーSUVである。 駆動方式はフルタイム4WDのみで、パワートレーンは水平対向4気筒 2.0Lと、同じく水平対向4気筒 1.6L、さらに最上位モデルとして水平対向4気筒 2.0L+モーター(e-BOXER)があり、トランスミッションは全てにCVTが組み合わせられる。運転支援システムはおなじみの「アイサイト」で、車台にはスバルの最新作である「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」が採用されている。 これらの相乗効果により、スバルXVというのはまあとにかく素晴らしい車だ。 真っ直ぐ走るのも曲がるのも(SUVとしては)大の得意で、のんびり走るのも、そこそこ速く走るのもお上手。そしてアイサイトを活用した超絶楽ちん半自動運転も、一度慣れてしまうと後戻りできないほど快適かつ安全だ。で、個人的には外観デザインも(スバル車にしてはめずらしく)素晴らしいと思っている。 もちろん素晴らしいと思ったからこそ購入したわけで、もしも可能なら全国民にあまねく「XVはイイよ! なんなら次の車として買ってみてはどうだい?」とおすすめしたい気持ちはある。 だが冷静に「国民車候補」として考えると、つまり「老若男女を問わずすべての(18歳以上の)国民におすすめしたいか?」と問われれば、答えは「No」となるだろう。 水平対向エンジンは燃費を追求するのには向いていないまずは燃費だ。 メカニズムに関する細かなうんちくはさておき、水平対向エンジンというのは「燃費を追求する」という面では決してベストな方式ではない。そのためか、筆者が乗るスバルXV 2.0i-Lのカタログ燃費は16.4km/L(JC08モード)とクラス標準ぐらいなのだが、実際のそれは12km/L前後である。 もちろんこれは使用環境や使用方法などによっても大きく変わる数字だ。ネットの掲示板などによれば、ほぼカタログ通りの数値や、それどころかカタログ以上の燃費を叩き出しているXVユーザーも多いと聞く。 だが、そういったユーザーというのはやはりいわゆる地方在住である場合がほとんどの模様。筆者のように「都内在住で、たまに遠出もするけど、基本的には都内および近郊の移動が中心」という場合、平均16km/L台は夢のまた夢だ(ちなみに筆者は決して飛ばすタイプではありません)。 いずれにせよ「都内で実燃費12km/Lぐらい」というのは、そこそこの図体を持つ4WDのクロスオーバー車としては「悪くはない」といったニュアンスかもしれないが、「国民車」として見るなら少々厳しいだろう。国民車の場合は、なんとなくだが「都市部でも15km/L以上」はマークしてほしい。 本体価格だけ見ればなんとかなりそうだが…そしてもうひとつの問題点が「価格」である。 筆者が乗っている2.0i-Lというグレード(ホイールが18インチじゃなくて17インチのほう)の場合、車両本体価格は税込250万5600円。しかし筆者が提唱している新時代の国民車の価格基準は「100万円台でまるっと買えるのが望ましく、それが難しい場合でもせいぜい200万円台前半ぐらいまで」となっている。 その意味で250万5600円はちょい予算オーバーなのだが、まぁギリギリ目をつぶることもできなくはない価格だとは思われる。 しかしご存じのとおり、車というのは車両本体価格だけでは買えない。 筆者の場合、諸費用+オプション装備で見積もり総額はいつの間にか330万円を超え、そこからの摩訶不思議な値引き交渉により、最終的には「300万円ちょい」という支払総額に落ち着いた。いずれにせよ、新時代の国民車としてはちょい高いと言わざるを得まい。 以上が、「ちょっといい感じのクロスオーバーSUV」ではなく「国民車候補」として見た場合のスバルXVの実像だ。 …若干とりとめのない内容となってしまった可能性もあるが、言いたいことは「オプション、高っ!(特にナビ)」ということである。「つるしの価格」でとりあえず客の目を引く商売は平成も終わろうとしている今、もはや古くさいと思うのだが、どうだろうか。 で、全日本国民車評議会(通称:国民車会議)議長としての勝手な評価まとめは以下のとおりだ。 【スバル XV 2.0i-Lアイサイト(4WD)=250万5600円】 国民車とは?今、「新時代の国民車」が待たれている。いや、それを待っているのはわたしだけという可能性もあるわけだが、筆者が考える新時代の国民車とは以下のようなクルマだ。 「安価だが高機能かつ低燃費で、それでいておしゃれ感もある、程よいサイズの実用車」 100万円台でまるっと買えるのが望ましく、それが難しい場合でもせいぜい200万円台前半ぐらいまで。自動車オタクが求めがちなマニアックな諸性能はどうでもよく、どんな状況でも普通か普通以上ぐらいに気持ちよく運転でき、燃費が良くて維持費も安く、人と荷物をある程度積載できて、邪魔くさくないサイズで、それでいて大のオトナが乗るにふさわしい質感とデザインも備えているクルマ。 ……そんなある意味ぜいたくな一台を探し出すため、筆者はこのたび「一般社団法人 全日本国民車評議会」を(脳内で)設立し、実地調査に乗り出すことにした。 【国民車調査バックナンバー】 ■第2回 スズキ ジムニー、ジムニーシエラ ■第3回 日産 オールラインナップ ■第4回 スズキ スイフトスポーツ ■第5回 トヨタ カローラ スポーツ ■第6回 ホンダ シャトル ■第7回 ホンダ N-BOX ■第8回 スズキ ソリオ ■第9回 トヨタ シエンタ |
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