令和元年は日本のオールシーズンタイヤ元年になるかも「Assurance WeatherReady(アシュアランス ウェザーレディ)」は米国グッドイヤーが開発した最新のオールシーズンタイヤである。日本グッドイヤーは2008年から欧州で開発された乗用車用オールシーズンタイヤ、「Vector 4Seasons(ベクター フォーシーズンズ)」を積極的に展開してきた。2016年にはベクターを国内生産に切り替え、軽自動車用サイズなどを充実させてきたが、SUVユーザーからの強いニーズが増加傾向にあり、ウェザーレディのSUV用サイズを輸入販売することになった。 グッドイヤーはオールシーズンタイヤのパイオニアで、バイアスタイヤ時代を含めると約110年という長い歴史がある。オールシーズンタイヤはカナダを含む北米で大変人気があり、市場シェアはなんと70%を占める。つまり北米ではサマータイヤやウインタータイヤよりオールシーズンタイヤが圧倒的に売れている。たとえばオールシーズンタイヤのスポーツタイプやエコタイプなど、非常に幅広いラインアップが各社からリリースされており、グッドイヤーではオールシーズンタイヤだけで6ブランド、39モデルという驚くべき豊富なラインアップを販売している。 ちなみに欧州は、サマータイヤとウインタータイヤの2種を履き替える日本と似た状況が長く続いたが、2013年ごろから性能を改善したオールシーズンタイヤが注目を集め、年平均成長率は20%をマーク。市場シェアは8%に達し、いまなお増加中だ。一方、日本の市場シェアは1%程度と、まだ少ない。 日本は四季があり寒暖差が大きい。最近では沖縄でも降雪が観測されるなど、雪が降らない地域はない。突然の降雪やゲリラ豪雨も多く、気候変動に強いオールシーズンタイヤはもっと増えてもいい気がする。実は国内メーカーもオールシーズンタイヤ導入を検討している。ブリヂストンは東北や北陸でテストマーケティングを実施。横浜ゴムは欧州向け最新モデルをメディア試乗会で公開。ダンロップも開発中で発表間近といわれ、令和元年は日本の「オールシーズンタイヤ元年」になるかもしれない。 オールシーズンタイヤのサイズラインアップは全部で57種類オールシーズンタイヤの長い歴史と実績を誇るグッドイヤーは、確信や保証という意味を持つアシュアランス・ブランドのウェザーレディ13サイズを2018年に導入。ベクター フォーシーズンズと合わせてサイズラインアップを57種に増やした。 ウェザーレディのトレッドパターンは欧州でトレンドの回転方向指定型V字溝ではなく、北米で一般的な非対称デザインを採用。アウト側ミドルブロックは特徴的な斜め溝を刻み、エボルビンググルーブと呼ぶ新技術を採用した。 ブロックの溝壁に部分的な凸部があり、荷重がかかると凸部が支え合い、ブロックの変形を抑制して剛性を高める。凸部は摩耗が進むと無くなって溝の容積が拡大。摩耗時の排水性を引き上げる仕組みだ。ショルダー部のサイプは内部を3次元立体化してドライ剛性をアップさせた。 コンパウンドは石油系ではなく大豆由来の新開発オイルを採用。シリカコンパウンドとの相乗効果で対応温度を拡大し、低温時の柔軟性と高温時剛性の両立を図った。コンパウンドを触ってみると硬めで、ドライ性能重視に思えるが実際どうなのか。 滑りやすいテストコースでサマータイヤと比較したウエットとドライのテストコースで、サマータイヤの「EfficientGrip SUV HP01(エフィシエントグリップ エスユーブイ HP01)」と比較した。クルマは「トヨタ ハリアー」を使用。HP01はサマータイヤとしては溝やサイプが多く刻んであり、ウエットにも強そうだが、0.3という滑りやすい雪上を模した低ミューのウエットでは簡単にスリップする。 一方、ウェザーレディは数多く刻んだ溝やサイプが効果的で粘り強いグリップを発揮。手応えからも水の反力を感じにくく、排水性のよさが把握できる。ウエットのピークグリップは若干HP01が有利のようだが、排水性はショルダー部の横溝をしっかり刻んだウェザーレディにメリットがありそうだ。 ドライ路面は意外なほど差がなく驚いた。ウェザーレディはパターンノイズが小さく、大変静かなタイヤだ。硬めのコンパウンドはSUVの荷重にマッチしたもので、路面への当たりもソフト。凹凸や段差をマイルドにスムーズに通過できる。直進性や手応えもごく自然で違和感がない。 高速直進域や大きく荷重をかけたときはブロックの変形を感じるが、サマータイヤと比較して初めてわかる程度。ウェザーレディを装着した「ボルボ XC40」や「マツダ CX-5」では一般道を試乗してみたが、走りと乗り心地が高次元でバランスして快適そのもの。とくにパターンノイズの抑制は、路面によってサイプが発する高周波ノイズがわずかに聞こえるが、溝をしっかり刻んである割にピッチノイズの封じ込めは完璧といえる。ブロックの位相差によるピッチノイズの打ち消し制御が巧みなのだろう、これほどまで静かなオールシーズンタイヤは、いままで出会ったことがない。 静粛性や耐摩耗性を備えているだけに乗用車用サイズが欲しいオールシーズンタイヤは、一般的に摩耗するとパターンノイズが聞こえてやすくなる場合が多い。溝が太く深いため、ある程度は仕方ないことだ。摩耗そのものが早いという指摘もある。しかしウェザーレディは耐摩耗性も特筆すべきレベルを実現している。北米ではワランティと呼ぶ制度があり、摩耗ライフをメーカーが保証し、それより早く摩耗した場合は次のタイヤを安く買える。ロングドライブが多い北米のユーザーニーズを反映した制度だが、ウェザーレディのワランティは6万マイル。なんと9万5000kmを保証しているのだ。 さらに、米国では運輸局基準が設けられ、タイヤのサイドウォールに摩耗や耐久性、トラクション性能などの表示が義務付けられている。ウェザーレディの耐摩耗指数は700という数値が刻印されていた。これは100と刻印されたタイヤより7倍摩耗しにくいという意味で、あまり見たことがない。通常は300~400、スポーツ系で200前後、SUV用は500~600というのが一般的な数値で、ウェザーレディの耐摩耗性は群を抜いている。 ドライ、ウエット、耐摩耗性が良いとなれば、あとはスノー性能だが、ウェザーレディはM+Sだけでなく欧州で冬季の法規制対応の証となる「スノーフレークマーク」が刻印されている。メーカーテストによれば、雪上性能は実績のあるベクター フォーシーズンズ同等だという。 ベクターは北海道や東北で何度も氷雪路テストを実施した。アイスグリップがスタッドレスに及ばない点だけよく理解して、一般道で安全マージンを大きく取って走行すればスキー場などに向かう場合でも問題ないだろう。とくに関東以西の湿雪では大変よくグリップする。夏にオールシーズンタイヤを履いておけば春先や秋口の突然の降雪時もあわてなくて済む。北海道や東北の降雪地域となると、さすがに冬季はスタッドレスが必須だ。 静かで耐摩耗性にすぐれたウェザーレディは、ロングドライブ派に最適。実は北米ではSUV専用ではなく、乗用車やSUV向けに開発されたモデル。2017年1月のリリースには、トヨタの「カムリ」「カローラ」「ハイランダー」、ホンダの「アコード」「シビック」「CR-V」などに適すると書いてある。最新の静粛性や耐摩耗性を備えたオールシーズンタイヤとして、ぜひ乗用車用サイズも発売してほしい。 サイズラインアップ【グッドイヤー アシュアランス ウェザーレディ】 ■20インチ ■19インチ ■18インチ ■17インチ ■16インチ |
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