形はSUVだがステルヴィオの素性はスポーツカーディーゼルなのにスポーティという、新たな境地が生まれたと感じた。それがアルファロメオ初のSUVであるステルヴィオに追加された、ディーゼルエンジン搭載の「ステルヴィオ 2.2 ターボディーゼル Q4」というモデルだ。 既にご存知の方も多いだろうが、ステルヴィオはこれまでのガソリンターボ搭載モデルがまるでSUVとは思えない走りを実現している1台。実際に乗ってみると、12:1というスポーツカー並みのステアリングギアレシオ、さらに前後の重量配分も50:50と好バランスなだけに、ハンドリングは鋭く、コーナリングも極めてシャープな反応を見せてくれる。 そんな特性を持っているだけに、ひとたびステルヴィオに乗って走り出すと、まるでクルマの方から走りたがっているような感覚が伝わってきて、ドライバーは知らないうちに走りを存分に楽しんでしまっている……というのがステルヴィオの魅力。 さらにいえば、トップモデルのクワドリフォリオは、510馬力を発生する2.9LのV6ツインターボエンジンを搭載しており、0-100km/h加速タイムは実に3.8秒を実現して、ランボルギーニ ウルスの3.6秒に次ぐ速さをもつSUVでもある。最高速も283km/hを記録する。だからこのクワドリフォリオは、もはや形がSUVであるだけで、走りは完全にスポーツカーと言えるほどになっているのだ。そしてこれはステルヴィオがいかに高い走りのポテンシャルを秘めているかの証でもある。 同クラスのディーゼル搭載SUV最速、新鮮なスポーティさがあるそんなステルヴィオに一番最近加わったこのディーゼルエンジン搭載モデルは、果たしてどんな走りなのか? 当然期待せずにはいられないわけで、ワクワクしつつ試乗した。するとそこに、冒頭で述べたような新たな境地を感じたのだ。言い換えれば新たなスポーティさの表現がそこにあった。 なぜならば搭載エンジンは2.2Lの直列4気筒ターボディーゼルで、最高出力こそ210psであるものの、最大トルクは470Nmとクラス随一の数値を実現している。それだけに0-100km/h加速タイムも実に6.6秒と、同クラスのディーゼル搭載SUVの中では、もっとも速い1台となる。 とはいえ、ステルヴィオはガソリン搭載モデルが十二分にスポーティだし、エンジン回転の気持ち良さはガソリンターボが一枚上手なのも明らかである。それと比べるとディーゼルターボのエンジン回転は比較的穏やかだが、それでも走行中にアクセルを踏み込む際には、ディーゼルとしてはスポーティでなおかつ独特のサウンドを響かせてくれるため、ガソリンエンジンにはないスポーティさを感じるのである。 加速のフィーリングに関しても、ガソリンターボの加速感とは少し違って、低回転から大トルクが湧き出てくるような加速が実に心地よい。そしてこの加速感に、ガソリンエンジン搭載モデルと共通のシャシーが加わるので、そこに生まれる走りはこれまでにないテイストを持ったものとして感じられるのだ。 どこからでも力が湧き上がる感覚と、シャープなハンドリングの融合によって生まれるスポーツディーゼルならではの走りがそこにある、と表現できる。こうしてステルヴィオに加わったディーゼルエンジン搭載モデルは、新たなスポーティさを表現する1台といえるのだが、やはり真骨頂は普段使いでの足の長さだろう。 総合力ではイチオシのSUV、個性派を望むならオススメ燃費性能に関していえば、WLTCモードで16.0kmを実現しており、うまく走らせてあげれば1タンクで1000km近く走れてしまうのだ。僕も普段はディーゼルエンジン搭載のSUVに乗っているが、やはり足の長さが魅力。取材などで月に1000km以上と、それなりの距離を乗るわけだが、ガソリンスタンドには1ヶ月に1回強くらいしかいかない。今回、ステルヴィオのディーゼル試乗のために借り出した際も、満タン状態でメーターに表示された走行可能距離は1001kmと表示されていた。 さらに普段使いでは、最大トルクが470Nmと太いため、日常の運転では高速道路を含めても2000回転を超えることがほとんどない。基本的に走行中は静かだし、わずかにアクセルを開けて走るだけで全て事足りてしまうという余裕を存分に感じる。その意味ではこのモデル、スポーティさも魅力だが、足も長く普段使いでゆとりを存分に感じられるモデルでもあるのだ。 とはいえ良い部分ばかりではなく、気になるところもいくつかある。まず装備に関してはナビがないことを気にする人は多いようだ。僕はスマホ派なので不足を感じることはないが、やはり車載のナビが欲しいという声は多いらしい。またインテリアの質感に関しては、正直ライバルに分があるといえる。このモデルではブラックのウッドが炭のような感覚でカッコ良いなと個人的には思うが、スイッチやトリム類はもう少し質感の高いものを望みたいところだ。そしてエンジンは、走行中は静かだが、加速時や発進時では音が気になる人もいるだろう。とはいえそれと引き換えに、ゆとりある走りを味わえるわけだが。 といった具合で気になる部分もいくつかあるものの、オーバーオールではイチオシのSUVであることは間違いない。理由はやはり、アルファロメオのSUVを名乗るにふさわしいスポーティを持っているからで、これは他のSUVがどう逆立ちしても手に入れられない世界観だからである。加えて価格(617万円)もライバル比でかなり戦略的なのが我々には嬉しいところ。個性派をのぞむなら間違いなくおオススメだし、まさに他に代わるものがない1台と評することができるのだ。 スペック【 ステルヴィオ 2.2 ターボディーゼル Q4 】 |
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