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日本の一般道で世界が注目するモデル3に乗ったら、テスラ史上最もスポーティな性格だった ...

2019-5-13 07:00| post: biteme| view: 345| コメント: 0|著者: 文:五味 康隆 /写真:望月 浩彦

摘要: モデル3の北米仕様車を日本の一般道で走らせた まだ価格も出ていない。日本仕様の詳細な情報もない。そんな状況の中、北米仕様の「テスラ モデル3」に“日本の一般道で”いち早く試乗することができた。モデル3は海 ...

日本の一般道で世界が注目するモデル3に乗ったら、テスラ史上最もスポーティな性格だった

モデル3の北米仕様車を日本の一般道で走らせた

まだ価格も出ていない。日本仕様の詳細な情報もない。そんな状況の中、北米仕様の「テスラ モデル3」に“日本の一般道で”いち早く試乗することができた。

モデル3は海外の一部地域では2017年末に納車が始まったが、残念ながら今年の中旬以降までは日本には入ってこない。今でこそ順調に生産されているが、工場が動き出してから半年ほどは生産効率が悪かったのと、右ハンドルかつ受注台数が少ないこともあって日本は後回しになっているのだ。

メーカーが一定数の電気自動車を売ることが義務付けられている北米(の一部)や中国からデリバリーして、電気自動車を持たない自動車メーカーにそのクレジット(二酸化炭素や汚染物質の排出権)を売るというビジネス上の戦略も影響しているだろう。

そんなモデル3のラインナップは、北米仕様を参考にするなら(テスラはしばしば仕様を変えるのであくまで参考までに)3つある。

・ミッドレンジバッテリー
加  速:0-60 mph=5.3秒
最高速度:約201km/h
駆動方式:後輪駆動
航続距離:約418km
価格  :約519万円

・ロングレンジバッテリー
加  速:0-60 mph=4.5秒
最高速度:約233km/h
駆動方式:4WD
航続距離:約498km
価格  :約598万円

・パフォーマンスバッテリー
加  速:0-60 mph=3.3秒
最高速度:約249km/h
駆動方式:4WD
航続距離:約498km
価格  :約723万円

※すべて参考値

今回試乗したのは、実はすでに北米仕様からもなくなってしまったミッドレンジで、FR(後輪駆動)だ。それでもボディや走りの実力を把握するには十分だろう。

高級感はないが、シンプルで斬新な世界観

モデルSでも思ったが、価格を踏まえるとテスラの内装の質感は高くない。プラスチッキーだし、パーツの組み上げ精度も高いとは言えない。バッテリーが高いので、同じ価格帯のモデルと比べたら内外装にお金を掛けられないことがわかる。

それでも、センターに置かれた15インチの大型タッチスクリーンでエアコン、オーディオ、ハンドルやミラーの調整まで操作可能で、運転に必要な最小限のものしかコックピット周りに配置されない超の付くシンプル設計は魅力的だ。仕事机にはパソコンとその時に必要なモノしか置かないような人なら、この内装はとても気に入るはずだ。

さて、モデル3で大きく進化したのは走り、特にハンドリングだ。モデルSよりボディサイズを小さくして街乗り仕様にしたクルマと思いきや、実はそのコンパクトさをスポーティ方向に振っている。

その理由はボディ剛性の向上だろう。僕が乗っているモデルSを含めて、テスラのボディ剛性はそれほど高くない。サーキットをガンガン走ったら一昔前のクルマのようにヨレてボディの建てつけがキシみそうだ。バッテリーがボディの低いところにあるから低重心でコーナーリング速度は高いが、その特性をフルに使おうとは思えなかったわけだ。

しかし、モデル3にはそんな感覚を一切抱かない。ガンガンにタイヤを追い込んでワインディングをスポーティに走っても、全くボディが負ける気がしない。逆にいなし効果が少なすぎて、もう少し操作に対する反応に遊びがあってもいいと思うほどだ。

電動ドライブは速度コントロールがしやすく、0-96km/h加速で4.5秒と、現行「ポルシェ 911 カレラ」並の速さも備えている。試乗車はFRだったが、強く加速してもフロントが全くと言っていいほど浮き上がらず、加速する際にも4WDのようにハンドルが効いたのも見事だ。テスラはコンパクトなモデル3で街中ドライブを提案しただけでなく、電動ドライブ×高剛性ボディによるスポーティな乗り味、走りの楽しさも狙っているのかもしれない。

ただ、モデルSのタイヤのように内側にスポンジを貼り付けて消音しているわけではないのでロードノイズは鮮明に入ってくる。乗り心地もややハード。ミッドシップスポーツカーのようなスポーティなハンドリングからすると妥当でもあるが、街中のドライブでも、モデルSのような他を圧倒する上質な電気自動車の世界感はない。

大容量バッテリーEVは充電環境を確認してから購入を

テスラのプロダクトは間違いなく賛否が分かれると思う。例えば一般的なルマは、乗り込んで、ブレーキを踏み、スタートボタンを押す(キーを回す)ことで走行可能な状態になる。クルマを走らせる意思の確認を重複して行うことで安全性を高めるからだが、テスラはブレーキを深く踏む動作一つで意思の確認は十分と考え、全モデルにスタートボタンは付いていない。

モデル3では鍵がカードになった。レクサスにもカード型キーがあるが、モデル3の鍵はクレジットカードのような薄さとサイズだ。電池はないので、通常のキーレスエントリーのように身につけているだけでは鍵は開かず、Bピラー部に接触させて施錠解錠を行うが、面倒くさければ普通の鍵もOPで選べる。

スマホのアプリは施錠解錠はもちろん、運転認証も出せるので、キーレスドライブも可能。空調の遠隔操作や、自車位置の確認や、駐車場などで車外からクルマを前後に動かすサモン機能も備わる。こうした機能はソフトのアップデートが繰り返されているので、いずれは車載カメラ映像などから防犯に役立つ機能が追加されるなど、ユーザーが思いつきそうなことは大抵できるようになるのだろう。

何にせよ、今までのクルマにはない新鮮な魅力がある。次世代のクルマへのリアルなイメージが広がるし、クルマ選びのひとつの価値基準にしても良いと思えるモデルではないだろうか。

一方、独特の世界に魅了されても、買う際は熟慮が必要だ。電気自動車の性能とは、充電スケジュールまで含めた性能と心得てほしい。上手く充電スケジュールが組めなければ、電気自動車は不便極まりない乗り物になってしまう。

例えば、最近はモデル3のように大容量バッテリーをもった電気自動車が増えてきたが、その航続距離をいいことに数百km先まで遠出した場合、どうやって充電するのか想定しておかないと痛い目を見ることになる。出先で200V(家庭用の一般充電)は宿泊でもしない限りあり得ないし、高速SAなどに点在する日本の標準的な急速充電器のチャデモでは、帰路を走り切る電力を貯めるのにかなりの時間が必要になるからだ。

こうした理由からテスラは120kWの独自の超急速充電施設の設置を進めているし、同じく電気自動車の販売を予定するポルシェもまた、独自の超急速充電網を日本で組もうと計画している。とはいえ、少なくともこうした施設は、最初のうちは限られた場所にしか展開できないだろう。

電気自動車の性能とは、充電(環境)も含めたものと踏まえてクルマ選びをした方が賢明だ。

スペック

【 モデル3 ミッドレンジバッテリー 】
全長×全幅×全高=4694mm×1849mm×1443mm
ホイールベース=2875mm
駆動方式=MR
車両重量=1610kg
航続距離=約418km
最高速度=約201km/h
サスペンション=前:ダブルウィッシュボーン式
        後:マルチリンク式
タイヤサイズ=前後:235/40R19
価格=約519万円(4万6000ドル)
※すべて参考値


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