軽では総合評価1位だけど全乗用車では14位軽として4年連続で国内販売ナンバーワンに輝いたのはもちろん、乗用車全体でも2年連続国内ナンバーワンの「Nボックス」。2000年代、新国民車となったトヨタ「プリウス」や弟分「アクア」を超え、今や時に月2万台超えを続ける超セールス力。この勢いが続けばNボックスこそ次世代の新国民車になってしまうに違いない。 てかそうじゃない。今回小沢がいつも以上に取材にマジなのは、昨秋自分自身ガマンできずにNボックス Gホンダセンシングを買っちゃったという事実が大きい。もちろん職業的意識もあったが、今はあまりの便利さと快適さに愛用するユニクロのフリースレベルで気に入ってるオーナー。マジ、売れるのわかるわ~って気分。 そんな中、愛車への唯一の心配が安全性だった。確かに1995年にJNCAP(Japan New Car Assessment Program:実車衝突試験に基づく車種別衝突安全評価)がスタートし、日本でも本格的なクラッシュテスト評価が行われるようになり、98年には軽にも登録車と同じ衝突安全基準が適用されシビアに見られるようになった。 2017年の衝突安全性能アセスメントでは、Nボックス Gホンダセンシングが新安全性能総合評価で184.1点。軽ではぶっちぎりトップの衝突安全性だ。五つ星って評価も2位の現行Nワゴンと並び軽唯一。ところが全乗用車で見ると14位だし、内訳の乗員保護性能は若干低め。うーむ、どういうことでしょ? それから根本的には測定法の違う欧米基準でみたら結果はわからないし、やはり横幅が狭い軽だけに側面衝突は厳しいに違いない。リアシートだってJNCAPでは後席にダミー置いてのクラッシュテストはしないしね。ってなわけで我が愛車Nボックスやもうすぐ発売される2代目「Nワゴン」をネタに、安全性が試されるNシリーズ安全取材会、気合を入れて行ってみた。 重い方を柔らかく軽い方を硬く作る久々に見たホンダの超本気過ぎる施設にあらためて驚く。2000年に出来た屋内全天候型、全方位衝突実験施設だ。前にも1度来たがこんなに巨大な衝突施設は、トヨタやスウェーデンのボルボ、あと見たことはないがメルセデスやVWぐらいしか持っていないはず。ボルボの施設はイエテボリで見たことがあるが、一部加速コースに屋根がなかった。それくらいの巨大スペースが必要であり、オール屋内全天候型って凄いのだ。 JNCAPでも実車をバリアにぶつけるフルラップやオフセットの前面衝突試験や側面衝突実験ぐらいしかやらないが、今回はよりリアルなラップ率50%の車両同士のオフセット衝突テストを敢行。テスト車はNボックスとインサイト。1回のテストで2台オシャカにしちゃう贅沢なテストだ。 速度は50km/h対50km/hで、速度だけみると単独オフセットより低い。だが、実は重量比で見るとNボックスを「1」とするとインサイトは「1.5」。衝突エネルギーはNボックス側が逆に1.5倍となり、時速60km程度の衝撃を受けるという。いよいよ本番。シーンと静まり返った中、ガラガラと引っ張られる両車が顔半分ズレた位置でガッチャーン!! い、痛い…。音聞いてるだけでも痛すぎる。車重が軽い分、衝突後のNボックスの跳ね返りっぷりがハンパじゃない。インサイトより倍、多く右に回転してる。顔の潰れっぷりもハンパじゃないし。だが、冷静に見るとドアは100%じゃないにしろ引っ張っただけで開いたし、運転席ダミーの足が内装に挟まれるようなこともなかった。ペダル類の突出もなく、キャビンのカタチはほぼキープ。ノーズの部分だけがキレイに潰れている。 それから常識的にはダミーの頭部や身体に入る傷害値、いわゆる衝撃は厳密にはNボックスの方が高くなる。そりゃそうだ。インサイトの1.5倍の衝撃を受けるわけだから。だが、ホンダには衝突安全でコンパティビリティー(互換性)という考え方があり、重い方を柔らかく作ってより衝撃を多く受け止め、軽い方を硬く作ってキャビンをよりよく守るという設計になっている。 歩行者保護性能評価にヒト型専用ダミーを使う結果、今回もインサイトの方がより多く衝撃を吸収し、Nボックスの被害を抑えたのだ。これこそ軽と登録車を両方作っているホンダの強み! 共存共栄という考え方である。実際に小沢はクラッシュテストの直後、肝心の質問を現場エンジニアにぶつけてみた。「ぶっちゃけスズキ スペーシアとどっちが安全なんですか?」。エンジニアは軽く笑ったあと続けた。「他社以上だと思っています」。 無論、このあたりのジャッジは公的テストに委ねるしかないわけだが、JNCAPの衝突安全性能アセスメントでは、Nボックスが184.1点で軽1位なのに対し、スペーシアは157.6点で17位。一部乗員保護性能評価が出てないので比較し難いところもあるが、Nボックス優位と見て良いはず。 またホンダだけが歩行者保護性能の評価にヒト型専用ダミー、「ポーラIII」を使ってる事実にも驚かされた。他社が使ってるのは単なる部分的な傷害値評価。ホンダのリアル過ぎる安全追究姿勢はマジもマジ、大マジだ。 ACCやレーンキープの性能はデイズに遅れを取ったが…オマケにもう一つ気になったのが先進安全性能。実は我がNボックスはホンダセンシングが全車標準で、これがいい。小沢的には特に半自動運転機能がサイコー。高速道路に入ったら毎回ステアリングのスイッチを入れ、前車追従式のオートクルーズ(ACC:アダプティブ クルーズ コントロール)とレーンキープアシストを始動。コイツが実にラクで、流れが順調ならほぼアクセル要らずで前のクルマに追従してくれる上、ステアリング操作も気楽になる。 というタイミングで、先日出た日産「デイズ」と三菱「eK ワゴン」。日産伝家の宝刀「プロパイロット」を初投入、コイツの出来がなかなかいいのである。ACCは渋滞時も使えて完全停止まで出来るし、ステアリング制御も積極的で正確。この点Nボックスのホンダセンシングは負けてて、30km/h以下で作動しなくなるし、レーンキープアシストはあくまでも車線逸脱防止のみ。デイズのプロパイロットほどの積極制御はしない。 ここはもはや結構な欠点だと思ったが、今度出る新型Nワゴンではステアリング制御は変わらないが、ACCの渋滞時完全停止を実現。小沢のNボックスにもぜひ入れてくれ! って感じだ。 ってなわけでNボックス&最新ホンダNシリーズ。競争力十分どころか、軽ではひとまずナンバーワンの衝突安全性能を持ってたことに改めて感心し、安心した次第ですわ。 |
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