実用小型車をお望みなら2代目デイズは候補に入れたほうがいい「新時代の国民車」を探す実地調査企画の第20回。今回の調査対象は、2019年3月に登場するやいなや各方面から大絶賛の嵐となった軽ハイトワゴン、2代目の「日産 デイズ」である。 デイズという車のプロフィール紹介はまるっと省略して、結論から申し上げる。 第2世代となったデイズは、そのほぼ何もかもが「実用小型車(軽自動車)としては大変素晴らしい」と言える水準にある。そのため、何らかの「ちょっといい感じの実用小型車」の購入を検討中の人には、最終的に買う・買わないは別として、一度は検討対象に加えてみることを強くおすすめしたい。 2代目日産デイズの何が素晴らしいかといえば、まずは「内装のデザインセンスと質感」だ。 軽自動車の内装というのは、どうしたって「ちょっと残念な質感」である場合が多い。潤沢な材料費を投入できるジャンルではないため、それは致し方ない話なのだ。 だが2代目デイズの内装には、特に今回の試乗車に付いていたメーカーオプション「プレミアムコンビネーションインテリア(3万2400円)」には、残念の「ざ」の字もない。 その造形と質感、そして手触りなどは軽自動車の枠を完全に超えており、それどころか、ありがちな1~1.5Lクラス車をも凌駕している。 後席は座面の低さが気になるが足元空間は鬼のように広い筆者はデイズの内装を初めて見た際、「……これは英国の超絶有名な家具デザイナー、テレンス・コンラン卿とコラボした何かであろうか?」と思い、思わずカタログを精読した。だがカタログにサー・コンランの名前はなかった。日産のデザインセクション、恐るべしである。やればできるじゃないか。 現行型の日産ノートでは、シフトレバー付近にあるピアノブラック調のパネルが妙に浮いて見える。その周囲にある樹脂の質感があまりにもアレなため、ぬめぬめテカテカしたピアノブラック調パネルが悪目立ちしてしまうのだ。 だが2代目デイズの場合は樹脂製ダッシュボードやその他部分のデザイン性と質感も十分以上に高いため、シフトレバーやナビの周囲にある「ピアノブラック調パネル」が浮かないのだ。浮かないどころか「そこにあってしかるべし」ぐらいの顔をして平気で鎮座している。これには恐れ入った。 諸説あるようだがフロントシートのサイズと座り心地も、筆者(男性/身長175cm/標準体重)には十分良好に思えた。そして後部シートも、座面位置の低さは気になるものの、「子供の体格に合わせています」と説明されれば「ああ、なるほど」と合点がいく。そして最近の軽自動車ゆえ、その足元空間は鬼のように広い。 ノンターボでもぜんぜんOK。気分はイタフラ名作コンパクトカー?そして第2世代の日産 デイズは「走り」が素晴らしい。 市街地や国道、高速道路などをごく普通に走っただけなので「限界領域」うんぬんについてはサッパリわからない。だが常識的な速度とマナーで一般公道を走る限りにおいては「これ以上の何かって、実はほとんど要らないかもな」とすら筆者には感じられた。 試乗車両は最高出力64psのターボチャージャー付きではなく、ノンターボである52psのほう(ただし再始動や加速時にモーターを利用する「スマートシンプルハイブリッド」付きではある)。 だがノンターボのほうでも力はぜんぜん十分。ターボ付きを買うのももちろんご自由だが、基本的には「2代目のデイズはノンターボでもぜんぜんOK」と、まずは認識しておくべきだろう。 デイズのために新しく開発されたこの3気筒エンジンは、競合のそれと比べて低い回転数で最大トルクを発生するため、ほんの2000rpmも回っていればなかなか力強い加速を見せてくれる。 もちろん自然吸気版の場合、より活発に走りたい場合や、上り坂などでは3500~4500rpm付近が多用されることになる。そうなると、そこそこ大きめなエンジン音が絶えず車内に侵入してくるのは事実だ。 だが新開発のBR06エンジンは不快なノイズ成分については上手に遮音できているようで、4000rpm以上回っていても「決してうざくはない感じ」なのだ。むしろその際、人によっては「生の歓び」みたいなモノを感じるかもしれない。このあたりの雰囲気は、イタリアやフランスの名作小型車に近いものがある。 そしていわゆるハイトワゴンであるにもかかわらず、カーブを曲がっている最中に上屋がグラッと揺れる不快感を味わう機会もほとんどない。もちろん背が低いスポーツカー並みではないし(当たり前だ)、セダン並みでもない。だが「1.5LクラスのSUVっぽい感じ」だとは言えるのだ。ごくたまにユラっと揺れることで「あ、そういえばオレ今、ハイトワゴンを運転してるんだったっけ」と思い出す感じ……と言えばいいだろうか。 前席の乗り心地は軽レベルではきわめて快適だが後席は要チェック直進性についてもズバッと竹を割ったような「まっすぐ感」があり、アクセルとブレーキのタッチも非常にリニア。いきなりガバっとアクセルが開いてしまうわけでも、カックンとつんのめるように減速されるわけでもないということだ。このあたりのタッチも並の軽自動車を超えており、大したことのない1~1.5L車をも凌駕している。 前席の乗り心地はきわめて良好。もちろん「軽自動車としては」という前提付きではあるが、普通ぐらいに巡航している際も、やや飛ばし気味に走っている際も、そして実際の路上でしばしば見かける工事に伴う段差や穴ぼこを越える際も、常に快適だ。 ただし「大人4名乗車状態で後席に座ると、突き上げ感がキツくてやや閉口する」との証言も、筆者が試乗する前に撮影および試乗を行ったbty編集部の某氏からは上がっている。 ひとりぼっちでロンリー試乗を行っている筆者は、そこの部分の確認作業がどうしてもできない。そのため「大人4名で乗る機会が多いかも」という人は、ディーラー試乗車などで実験をしていただければと思う。すみませんです。 以上のとおり、外観はさておきインテリアは非常に見目麗しく、普段使いにおける走行性能も、これまでの軽ハイトワゴンがマークしてきた平均点を大幅に上回ってしまった2代目日産 デイズ。それは「軽自動車の新たな基準」になったと評してたぶん間違いない。良質な大衆実用車を求める多くの日本国民に検討していただきたい「国民車候補」である。 全日本国民車評議会(通称:国民車会議)議長としての勝手な評価まとめは以下のとおりだ。 【 日産 デイズ ハイウェイスターX プロパイロットエディション(2WD)=156万7080円 】 【 日産 デイズのその他の情報 】 国民車とは今、「新時代の国民車」が待たれている。いや、それを待っているのはわたしだけという可能性もあるわけだが、筆者が考える新時代の国民車とは以下のようなクルマだ。 「安価だが高機能かつ低燃費で、それでいておしゃれ感もある、程よいサイズの実用車」 100万円台でまるっと買えるのが望ましく、それが難しい場合でもせいぜい200万円台前半ぐらいまで。自動車オタクが求めがちなマニアックな諸性能はどうでもよく、どんな状況でも普通か普通以上ぐらいに気持ちよく運転でき、燃費が良くて維持費も安く、人と荷物をある程度積載できて、邪魔くさくないサイズで、それでいて大のオトナが乗るにふさわしい質感とデザインも備えているクルマ。 ……そんなある意味ぜいたくな一台を探し出すため、筆者はこのたび「一般社団法人 全日本国民車評議会」を(脳内で)設立し、実地調査に乗り出すことにした。 【国民車調査バックナンバー】 ■第2回 スズキ ジムニー、ジムニーシエラ ■第3回 日産 オールラインナップ ■第4回 スズキ スイフトスポーツ ■第5回 トヨタ カローラ スポーツ ■第6回 ホンダ シャトル ■第7回 ホンダ N-BOX ■第8回 スズキ ソリオ ■第9回 トヨタ シエンタ ■第10回 スバル XV ■第11回 ダイハツ ブーン ■第12回 スズキ クロスビー ■第13回 スバル インプレッサスポーツ ■第14回 マツダ デミオ ■2018年「国民車会議」振り返り ■第15回 トヨタ プリウス ■第16回 ホンダ フリード ■第17回 スズキ スペーシア ギア ■第18回 スズキ ワゴンR ■第19回 トヨタ ヴォクシー |
GMT+9, 2025-3-17 07:41 , Processed in 0.068701 second(s), 18 queries .
Powered by Discuz! X3.5
© 2001-2025 BiteMe.jp .