軽自動車より明らかに余裕ある室内スペースいわゆる兄弟車としてこのほど同時にデビューした「ダイハツ ロッキー」と「トヨタ ライズ」。2016年にトヨタの完全子会社となり、現在は同社の軽自動車および小型車部門を担うダイハツが、新たに設計したプラットフォーム「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」を用いて両モデルを開発した。 ロッキー/ライズは今年モデルチェンジした軽自動車の「タント」に続き、DNGA採用の第二弾。今後、DNGAはダイハツ、トヨタの軽自動車および小型車(「ヤリス」よりも小さなモデル)全般に用いられることになる。軽自動車と小型車は、現時点では税制やエンジンの排気量こそ異なれど、すでに車両開発は一元化されているのだ。 軽自動車と同じプラットフォームとはいえ、全長3995×全幅1695×全高1620mm、ホイールベース2525mmと、前後左右にストレッチされている。実際に乗り込んでみると明らかに軽自動車よりも車内スペースに余裕を感じる。特にカップルディスタンス(前席左右席の間隔)が十分確保されていて、せせこましさがない。軽自動車の多くは室内高をたっぷりとって広さを稼いでいるものの、全長3400×全幅1480mmに制限されているため、カップルディスタンスの狭さはいかんともしがたい。 活発で力強い1.0L直3ターボエンジンロッキー/ライズが搭載するエンジンは1.0L直3ターボ(最高出力98ps/6000rpm、最大トルク14.3kgm/2400-4000rpm)の1種類。FFと4WDがあり、全車CVTとの組み合わせとなる。このエンジンが実に活発で気に入った。3気筒らしい音や振動はあって静かでもスムーズでもないのだが、なにせ力強い。アクセルペダルを踏めば踏んだだけクルマがグイグイ前へ出る。 トール/タンク/ルーミーの上級グレードに搭載されているエンジンもこれなのだが、ロッキー/ライズの方が力強く感じた。開発スタッフにこのことを伝えると、車両重量の差によるものだと教えてくれた。トール/タンク/ルーミーは大柄なミニバンボディで、さらにスライドドアも備えるため、ロッキー/ライズよりも重いのだそう。 乗り心地は、不整な路面ではドタバタを演じることがないわけではないが、200万円未満のリッターカーとして納得できる乗り心地は確保されている。16インチタイヤ装着車の方が17インチタイヤ装着車よりもややソフトな印象だが、間髪入れずに同じコースを走らせたからこそわかる程度の違いであり、見た目のために17インチを選ぶのもアリだと思う。ただタイヤは大きいと交換時の負担も大きいことをお忘れなく。 この日は4WDのライズと前輪駆動のロッキーに乗ったが、乗った印象はほとんど変わらない。4WDを選ぶと価格が約23万円高く、燃費(WLTCモード)が1.2km/L悪化するが、この程度の価格差、燃費差ならいざというときのために4WDを選びたい。 話題の最新軽自動車より、さらに出来がいい車内を見回すと、しつらえはプラスティッキーなのだが、無理に高級に見せようとしていなくて好ましい。例えばATセレクター周りに異なる意匠の加飾パネルを用いる代わりにディンプル処理を施して変化をつけている。200万円未満で買える新車としては不満なし。欲を言えば、常時握るステアリングホイールについては現状のウレタンのまんまでも我慢できないわけではないけれど、フェイクレザーでもよいから何か巻いてもう少ししっとりした触感にしてほしい。 後席も頭上、足元ともに広々していて満足できるが、後席は軽自動車も広い。軽自動車と異なるのは広々した荷室スペースだ。容量369リッターと十分確保されていて、開口部も大きく、荷物を出し入れしやすい。デッキボードを上下2段に設定でき、上段にすれば開口部下端と同じ高さになって荷物を滑らせるように出し入れすることができ、下段にすれば125mm低くなってその分容量を稼ぐことができる。 さらにデッキボードを取り外すと床下に80リッター(4WD車の場合は38リッター)のアンダーラゲージが現れる。観葉植物などの寝かせたくない荷物を載せられるほか、洗車道具などの見せたくないモノや使用頻度は低いものの車載しておきたいモノ(例えばチェーンの類いとか)を入れておくのに便利そう。リアサス形式を3リンクリジッドからトーションビームに変更したことで、スペースに余裕ができたためにアンダーラゲージを確保できたという。トーションビーム(梁)があるからスペースを取るのではないかと思いきや、デフが上下に動くスペースを確保するよりもスペース確保の面では有利なのだそうだ。そりゃそうか。 2019年は「日産 デイズ/三菱 eKワゴン」、「ホンダ N-WGN」、そして「ダイハツ タント」と軽自動車が相次いでモデルチェンジし、どれも大幅に性能を向上させて話題になった。ここ数年の間に登場した軽自動車は総じて出来が良く、もはやリッターカー不要とすら思わせたが、今回、ロッキー/ライズに乗って、その出来の良い軽自動車のプラットフォームを用い、軽自動車の忌まわしい制限(サイズやエンジン排気量)を取っ払ってリッターカーをつくれば、もっとよくなるという自然な事実を確認できた。 ロッキー/ライズ170.5万円~という価格は、ターボエンジンのタントの158.95万円~に対し10万円あまり高いが、価格差以上の価値があるように思えた。安全装備は同等。軽自動車のサイズが購入の条件でない限りはロッキー/ライズをオススメしたい。 スペック例【 ロッキー X 】 |
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