最新のクラウンにかつての上級国民車の資質はあるか?「新時代の国民車」を探す実地調査企画の第23回。今回の調査対象は、いささか旧聞に属するかもしれないが、2018年6月のフルモデルチェンジで「15代目」となった「トヨタ クラウン」である。 普段は100万円台からせいぜい300万円ぐらいのモデルを対象に調査を重ねている当コーナーだが、今回のクラウンは明らかに価格帯が異なり、いわゆる国民車枠(大衆実用車枠)からは完全に外れている。 だが、いつ頃まで現役だったフレーズかは知らないが、本邦にはかつて「いつかはクラウン」という強力なフレーズがあった。クラウンは、国民車ではなかったかもしれないが「上級国民車」ではあったのだ。 そんな元・上級国民車は2019年の今、どうなっているのか? それは今もなお「上級国民車」たり得る資質を備えているのだろうか? そのあたりを確認すべく、筆者は都内某所に赴いて「トヨタ クラウンハイブリッド2.5 G」の重厚なキーを受け取り、しばし試乗した。 そして……結論から申し上げると、15代目のトヨタ クラウンは「国民車」ではないのは当然として、もはや「上級国民車」でもなかった。 より正確に言うのであれば、どんな属性のどんな国民が車両価格562万1400円(総額で言えば600万円ぐらいだろうか?)も支出してこの車を買っているのか、筆者はイメージできなかったのである。 同じ予算でアルファードや高級ドイツ車も選択肢に入る悪い車かといえば、まさかそんなことがあるはずがない。普通にシュッと、いい感じで走る車だ。大トヨタのフラッグシップなのだから、そんなことは当然である。 だがドイツを筆頭とした欧州有力ブランドのフラッグシップあるいは各国製600万円級サルーンと比較した場合の「明確なアドバンテージ」は見当たらなかった。言い換えるなら「絶対にこの車じゃなきゃいけない理由」が、特にないのだ。 外観デザインは「BMWをちょっとおっさんくさくした感じ。決して悪くはない」ぐらいのニュアンスである。しかしインパネ付近のデザインは控えめに表現してもとっちらかっている。 わざわざ上下2段に分けられたセンターディスプレイは、その意図はある程度理解できるものの、結果として車内の美観を損ねている。2眼の円形メーターの間にある各種グラフィックは数が多すぎて、なおかつ重要度などに応じての差別化がなされていないため見づらい。 このようにとっちらかった美意識および機能性に基づいた高級車であっても、いわゆる高級セダンがこの世にクラウンしかないのであれば、人はそれを喜んで買うだろう。昔の一部日本国民がそうであったように。 だが今は違う。クラウンを買うのと同程度の予算を投じれば、かなりの数の「魅力的なヨーロッパ製高級車」も同じ土俵に並ぶことになる。 具体的には、新車で買うなら「メルセデス・ベンツ Cクラス」や「BMW 3シリーズ」あたりがトヨタ クラウンの新車価格とほぼ同水準であり、走行1万kmぐらいの中古車でもOKと考えるなら、さらに上のクラスの輸入サルーンやプレミアムSUVなども「クラウンの競合」になる。 また同門の「トヨタ アルファード」というのも今の時代にあっては有力な選択肢であり、むしろ今はアルファードの最上級グレードこそが「上級国民車」の座に収まっている感もある。 そんな状況下で「あえて」このクラウンを選ぶ人の人物像が、筆者には見えないのだ。 クラウンを買う人たちの3種類の人物像を分析してみるまあ官公庁や大企業の社用車としての需要を除けば、「あえてクラウン」なユーザーの人物像はおおむね下記3種類なのだろうとは思っている。 1. 昔からの「クラウン党」。 「1」の人数はかなり減少しており(人は亡くなりますし、ある程度の年齢からは運転自体が難しくなりますからね)、「2」の数は限定的だろう。確かにそういう人もいらっしゃるが、筆者のフィールド調査によれば今や決して多数派ではない。 そして「3」の層は今後もある程度残り続けるはずだが、それでも減少トレンドにあることは間違いない。 その昔は「いや~、ガイシャは悪目立ちしちゃうんでワタシはよう買えませんわ!」みたいに言っていた社長サンやセンセイも、最近では「まあボルボならあまり威張った感じがないよね?」的なノリで普通に欧州車を買い始めているからだ。あるいは、前述のアルファードあたりを買っているからだ。 そんな状況下で、立ち位置としてはかつての「絶対神」から「数ある高級サルーンのひとつ」でしかなくなった15代目クラウンが、しかも「唯一無二の個性」は特に打ち出せていないこの車が、再び「上級国民車」の座につくことはまずないだろう……というのが筆者の結論だ。 和の心を止揚した唯一無二のセダンに変わってほしいもちろん「官公庁&大企業スペシャル」として、あるいは「輸入車は好きじゃない人向け(あるいは諸事情あって乗れない人向け)」として、クラウンというブランド自体は今後も生き続けるはず。 であるならば、願わくばこのような「中途半端に欧州車っぽいモノ」ではなく、「和の心を止揚した、世界的に見ても唯一無二の存在」へのフルモデルチェンジを、今後ぜひ行っていただければと思う。 そんな、日本でしか買えない・作れない唯一無二のセダンが生まれたならば、筆者も、仮に何らかの社長サンに成り上がった際には積極的に選ぶ可能性はある。 全日本国民車評議会(通称:国民車会議)議長としての勝手な評価まとめは以下のとおりである。 【 トヨタ クラウン 2.5 G=572万5500円 】 【 トヨタ クラウンのその他の情報 】 |
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