サーキット走行して自走で帰れるクルマがコンセプトモータースポーツとスポーツチューニングの振興を目指す「ワークスチューニンググループ」が、毎年メディア向けに開催している合同試乗会。今年は「ツインリンクもてぎ」で開催され、TRD、ニスモ、無限、STIの4社が自慢のデモカーを持ち寄った。 第2弾は2013年モデルの日産「GT-R」を独自のノウハウでアップデートさせたニスモを紹介。「サーキット走行を1日楽しみ、自走で帰宅できるクルマ」をコンセプトとする「クラブマン レース スペック(CRS)」へと仕上げられたR35 GT-Rが試乗車として用意され、レーシングドライバーの柳田真孝選手による同乗走行も行われた。 また、同じコンセプトを共有するCRSチューニングが施されたR32、R33、R34の第二世代スカイラインGT-Rのほか、昨年の合同試乗会でも使用され、新たに新型アルミロードホイール(既に完売)を装着した08年式R35 GT-Rも展示。製造廃止になった純正補修部品の復刻生産を行うニスモヘリテージを含め、日産のハイパフォーマンスカーを長く楽しむためのサポートを行うニスモの活動がアピールされた。 チューニングメニューは動力系やサスペンションなど多岐に渡る年次改良が行われているR35 GT-Rは、デザインの変更も伴う大きなマイナーチェンジが2010年(2011年モデル~)、2013年(2014年モデル~)、2016年(2017年モデル~)に実施されている。現役バリバリのモデルであるため、初期型や中期型といった表現を使うのは難しい面もあるが、最も大きくクルマの方向性が変わったのは、開発主査が水野和敏氏から田村宏志氏へとバトンタッチされた2014年モデルから、というのが衆目の一致するところである。 ニスモが展開するCRSは、現在の視点に立てば古くなってきた歴代GT-Rに向けて、各種チューニングのメニューとパーツを継続開発しているプロジェクト。今回2013年モデルのCRSが登場したということは、よりスパルタンな方向を目指して開発が続けられていた水野和敏氏時代のR35 GT-Rをすべてカバーするメニューが出揃ったということだ。 CRSのメニューは動力系やサスペンション、エアロパーツなど多岐にわたる。まずエンジンはニスモの手によるVR38DETTのエンジンオーバーホールに加え、S1仕様と呼ばれるターボチャージャー、カムシャフト、ECM&TCMの変更とチューニングを実施。ターボのアクチュエーターも改良され、パワーとトルクが向上される。実際試乗してみてもフラットな低中速トルクと応答性を高めたターボの効果が実感され、乗りやすさが増していた。 ちなみにドライカーボン製のフード(ボンネット)は現在開発中。そしてFRP製の前後アンダースポイラー、フェンダー、サイドスカート、ドライカーボン製の「アドオンリヤスポイラー」、「リヤディフューザーフィンセット」は、08~11年モデル用として発売済みのアイテムとの適合を確認中で、近日発売される予定とのことだ。 スポーツサスペンションキットは工賃込みで151万円そしてCRSのハイライトとも言えるパーツが「スポーツサスペンションキット」だ。「GT3」や「N アタック パッケージ」で実績を積み重ねてきたオーリンズ製をベースとするニスモ仕様オリジナル4ウェイダンパーで、サーキット走行に照準を合わせたセッティングが施されているというが、CRSのコンセプトである「サーキット走行を1日楽しみ、自走で帰宅できるクルマ」を体現するように、ツインリンクもてぎの外周路をごく普通のスピードで走るだけでも乗り心地のよさを体感できる。 伸び側と縮み側の減衰力をそれぞれ低速側40段、高速側50段で調整することが可能な4ウェイダンパーに加え、キャンバー角を変更する「フロントアッパーリンクセット」、リヤ側に3段階のレート調整機構を備える「スタビライザーキット」も装備。リヤの追従性が格段に高まり、四輪でビタッと接地するフィーリングは最高だ。前後に備わるLSDの効果も高いと見えて、俊敏なターンインを実現。2月に富士スピードウェイで行われた開発テストにおいては、約1.5秒のタイムアップを実現したそうだ。 同乗走行を担当してくれた柳田真孝選手に聞いてみても、やはりサスペンションの貢献度はかなり大きいとのこと。「今回の試乗コースであるツインリンクもてぎ北ショートコースのような狭いサーキットでも、ノーズを向けたい方向にすっと向けられるため自信を持って攻めることができます。路面追従性が高くて、コントローラブル。この感じは初期のR35 GT-Rにはなかった味で、まるでGT-R ニスモに乗っているような感じです」と解説してくれた。 発売から年数が経ち、中古車の流通も増えているR35 GT-R。それらを購入した後に、サーキットでの走りを存分に楽しむため、リフレッシュとバージョンアップを同時に実現させたいという人にとって、ニスモのCRSは魅力的な選択肢となるに違いない。ただし、スポーツサスペンションキットだけでも工賃込みで151万円と、価格もスペシャル。効果を実感できることは間違いないので、それだけの予算を用意できる人は、ぜひニスモの門を叩いてみては。 |
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